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「フードテックスタートアップの生態系構築」で世界市場を狙う

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「フードテックスタートアップの生態系構築」で世界市場を狙う

「韓国は消費者レベルが高く、何より最新技術を適用できるインフラが整っている。様々な技術が研究だけにとどまらず事業化につながるためには、人、技術、資本が一体となった韓国のフードテック生態系構築が重要である。大学は人を、スタートアップは技術を、大企業と投資家は資本を提供することで健全な生態系を作ることができる。フードテック産業の成長可能性は無限大だ。」(韓国フードテック協議会会長イ・ギウォン氏{ソウル大学教授})

食品産業に第4次産業革命技術が融・複合され、食品の生産、製造、加工、流通、消費の全分野で「フードテック革命」が起きている。世界の市場調査機関は、フードテック市場が年平均6~8%レベルで成長すると予測しており、韓国のフードテック市場規模は約61兆ウォン(約6兆7,500億円)と推定されている。

先月26~28日にソウル江南区のcoexで開かれた「2023 グローバル フードテック スタートアップ カンファレンス」は、韓国産業の新たな注目分野として浮上したフードテックの方向性と成長可能性を模索する場だった。韓国フードテック協議会会長のイ・ギウォン氏、大韓商工会議所持続可能経営院長のチョ・ヨンジュン氏、韓国食品研究院院長のペク・ヒョンヒ氏、農林食品技術企画評価院院長のノ・スヒョン氏などの農食品関係者が出席した。

基調フォーラムと6つのセッション(パーソナライズ・ESG・創発流通・創発外食・創発製造・創発農業)で行われたカンファレンスには、「ロボット工学者」で有名なUCLAのデニス・ホン教授や、南陽大学のチョ・ナムジュン碩座教授、韓国初の「農業ユニコーン」であるTridge(トリッジ)のシン・ホシク代表、yanolja cloud(ヤノルジャクラウド)のキム・ジョンユン代表、ソウル大学フードテック学科のチャン・ジェホ教授、Unlimeat(地球人カンパニー)のミン・グムチェ代表、Barogo(バロゴ)のキム・ヒジョンCBO、GOPIZZA(ゴーピザ)のイム・ジェウォン代表、toptable(トップテーブル)のユ・ヒョンジュ代表など、各界の専門家が参加した。

最近進めている「料理ロボット」プロジェクトを紹介したデニス・ホン教授は、「このプロジェクトの本質は、ロボット技術そのものよりも『料理』にある。」とし「料理ロボットはほぼすべての種類の料理が作れるが、技術以前に完成した料理が美味しく健康的でなければならないという点で、『料理ロボット』よりも『料理方法』に重点を置いた。人の料理方法を真似るロボットを作ったのではなく、ロボットのための料理方法を作ったのだ。」と話した。

フードテック(イ・ギウォン氏)提供

フードテック(イ・ギウォン氏)提供

また、「技術に没頭して本質を忘れてはならない。」とし「目的地までの旅の意味を理解していれば、旅程が変わっても意味のある目的地を見つけることができる。」と付け加えた。

南陽大学のチョ・ナムジュン教授は、「料理は、材料をどう調理するかによって千差万別になるように、材料をどう利用するかによって価値が変わる。」とし「産業が進化するにつれて材料活用度の定義を新しくしなければならない。多様性を認め、新しいものを作っていけば、フードテックは間違いなく発展していくだろう。」と話した。

また、「基準の設定・適用を他より先取れば、他がこのトレンドに従う雰囲気が作られる。」とし「ルールを作るか、従うかで競争力の差が生じるため、どのようなルールを作り、どのように適用していくかが重要だ。」と付け加えた。

データ基盤の農業が世界の変化をリードするだろうという展望も出てきた。Tridgeのシン・ホシク代表は、「ロシア・ウクライナ戦争が示すように、農食品は毎年生産量が予測できない『ゼロベース』の領域であるため、どの産業よりもデータが重要だ。」とし「供給の不安定性を解消し、予期せぬ事態に備えるためには、各産地と物流拠点全体を網羅するデータが必ず必要だ。」と述べた。

Tridgeは2015年に設立された農水産物貿易プラットフォーム企業で、創業7年で韓国農食品分野のスタートアップの中で初めてユニコーン企業となった。

フードテック(イ・ギウォン氏)提供

最近、韓国の食品、外食、スマートファーム分野の専門家を対象にしたFGI(フォーカスグループインタビュー)調査では、フードテック産業で人工知能(AI)とビッグデータ、ロボット工学分野がほとんどのバリューチェーンにおいて高い重要性と波及力を持っていることが分かった。また、フードテック生態系の形成過程で最も最初にインフラが構築される分野は小売り、配送、消費部門で、2030年には全体の80%に近いインフラが構築されると予想されている。

韓国フードテック協議会のイ・ギウォン会長は、「若者が中心の、最新の融・複合技術産業であるフードテック・スタートアップの生態系構築を通じて、韓国のフードテック産業を世界最高水準にしたい。」と述べた。



<画像:韓国フードテック協議会会長のイ・ギウォン氏(ソウル大学教授)が先月、ソウル江南区coex(コエックス)で開かれた「2023 グローバル フードテック スタートアップ カンファレンス」で挨拶を述べている様子。>

原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2023073023021399998


/media/UNICORN FACTORY
記事を書いた人
UNICORN FACTORY

2021年に発足したUNICORN FACTORY(ユニコーンファクトリー)は、MONEY TODAY(マネートゥデイ)が韓国の総合誌で初めてスタートさせたスタートアップ専門のメディアプラットフォームです。 溢れるニュースの中でスタートアップ生態系に必要なニュースだけを厳選し深く伝えます。

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