インタビュー

日本のマンガの未来をつくる「LINEマンガ」|LINE Digital Frontier キム・シンベ共同代表

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LINE Digital Frontier株式会社  キム・シンベ共同代表

大学を卒業後、LINE Plus株式会社に入社。2017年にNAVER WEBTOONに入社後、韓国内の事業戦略だけでなく、日本を含めたグローバル市場の事業開発を行う。2021年にLINE Digital Frontier株式会社の取締役に就任。2022年7月には、LINE Digital Frontier株式会社の代表取締役CEOに就任。



LINE Digital Frontierはどのような会社で、どのようなサービスを提供していますか?

LINE Digital Frontierは、2018年に設立されたLINEマンガという電子コミックサービスを運営する会社です。法人が設立されるまでは、LINE株式会社の一つの事業として存在していましたが、LINE、NAVERグループのマンガ事業を1 つの方向にまとめるため、アメリカに本社をおくウェブトゥーンエンターテインメントからLINEマンガサービスを買収し、ウェブトゥーンエンターテインメント傘下としてLINE Digital Frontierという会社がLINEから独立することとなりました。

弊社は大きく3つの軸を持って事業展開しています。1つ目はLINEマンガというコンテンツプラットフォームの開発・運営、2つ目はオリジナルコンテンツの制作です。マンガやウェブトゥーンを独自の編集で制作し、日本国内のさまざまなパートナーシップ会社と共同でコンテンツ制作を行っています。3つ目は、IPビジネスです。ウェブトゥーンをドラマや、アニメなど多様な二次産業に展開させながら、コンテンツの生命力を延ばし、波及力をさらに大きくしています。

弊社は「日本のマンガの未来をつくる」ことをビジョンに掲げています。マンガというひとつのコンテンツタイプは常に変化し進化し続けています。昔は紙のマンガを読んでいましたが、今はスマートフォンでマンガを読んでいますよね。スマートフォンでマンガを読むユーザーにとってさらに読みやすくするため絶えずユーザーの環境に合わせてプラットフォームを変化させ、楽しんでいただけるコンテンツを作っていきたいと思っています。そして、そのコンテンツを多様な二次産業に拡大させ、多くのファンを増やしていきたいと思っています。私たちは、このような未来を準備しながらコンテンツ事業とサービス事業をする「総合エンターテインメント会社」であるとお伝えしたいです。


LINEマンガロゴ


LINE Digital Frontierの強みはなんでしょうか?

弊社の一番の強みは、多様な作品を保有しており、どのような好みを持っている方にも満足していただけるマンガプラットフォームであることです。日本国内の他のマンガプラットフォームを見るとファンタジー系や、女性向け、男性向け、BLなど、それぞれ特化したジャンルを持っている場合が多く見られます。

今年LINEマンガは10周年を迎えますが、ローンチした当初はオリジナル作品もなく、ウェブトゥーンの配信もしていませんでした。日本国内の既存のマンガを中心に始まり、次第に韓国のウェブトゥーンが増え、米国ウェブトゥーンエンターテインメントの海外作品が入ることで、本当に多種多様なジャンルのコンテンツが揃いました。

また、日本には既に多くの出版社やスタジオが存在しており、作品の制作方法自体が多様であるため、既に活躍している作家さんやアマチュア作家さんとの共同作品のみならず、スタジオや出版社と協力して作る作品もあります。本当に多様な作品を、多様な方法で制作してきました。

それに伴い、さまざまな好みを持つユーザーがLINEマンガに集まり、どんな方にも満足していただける「総合マンガサービス」になったと思います。

また、昨年統合したイーブックイニシアティブジャパンはウェブを中心とするマンガサービスのトッププレイヤーで、弊社はアプリを中心とする電子コミックサービスのトッププレイヤーです。この統合により、更にシナジーを生み出すことができるようになったことも強みだと言えます。


韓国でネイバーウェブトゥーンが発展した過程は?

韓国でネイバーウェブトゥーンが発展した過程で革新的だったことは、アマチュアプラットフォームを発展させたことでした。日本も韓国もかなり多くの作家がいる国ですが、韓国の場合は、既存の出版マンガ市場が崩壊したことで、作家が制作活動をする環境がありませんでした。

その時、ネイバーウェブトゥーンはアマチュアプラットフォームを作り、直接作家さんたちと関係を構築しながら、新しいスタイルのマンガを作ることを一緒に行ってきました。そしてモバイルの時代の到来とともに、カラーで縦スクロール型の新しいマンガであるウェブトゥーンを始めることとなりました。作家さんと、ネイバーウェブトゥーンの編集部やサービスが一緒になってウェブトゥーンを作ったのです。

そして多くのアマチュア作家さんが作品をアップロードして楽しめる空間を作りました。このアマチュアプラットフォームで作家さんを発掘し、編集部と一緒に新しい作品を作ってきました。その過程でウェブトゥーンスタジオができ、スタジオと、ネイバーウェブトゥーンが協業して韓国のマンガ市場を多様化し、発展させ、そしてグローバル市場に拡大していくことになったのです。

そして、私たちは各国で似たエコシステムを構築してきました。日本でも同様です。まだまだ初期段階ですが、日本でも「LINEマンガ インディーズ」というアマチュアプラットフォームを作りました。アマチュア作家さんたちが投稿した作品はだれでも読むことができます。


日本と韓国の市場のちがいは?

日本のマンガ市場は世界に比べて本当に特別な場所だと思っています。世界で一番多くのマンガ読者が存在し、マンガの消費量はどの国と比べても圧倒的です。そして、日本の読者は、それぞれが多様な好みを持っていることが特徴です。例えば、アメリカのマンガ市場は「スーパーヒーロー」で発展してきましたし、韓国では時代ごとに明確に流行するジャンルがあります。

日本では昔から常に多様な作品が好まれてきたため、それだけ多様な作品を作る作家さんが多く存在し、出版社やスタジオなど、この産業におけるプレイヤーが多いのだと思います。

また、韓国では、マンガがドラマ化されるようになったのは最近のことですが、日本では昔から映像化がされ、二次産業化を成功させてきましたよね。これは、多様な作品を制作する環境があり、作品ごとにファンがつくという特性を持っていることから成功できるのだと思います。

また、日本から世界に愛される作品が多く生まれるのも、制作環境が整っているからだと考えます。ここにも日韓の違いがありますが、日本では作家さん自身が作りたい作品を作る場合が多いと思うのですが、韓国では異なります。もちろん韓国の作家さんも作りたい作品があると思うのですが、それよりも時代の流れ、読者や時代が望むものは何かを考えて、求められているテイストに合わせて作品を作ることが多いです。

どちらの方法も長所と短所があると思いますが、弊社は日韓それぞれの特性を持った作家さんが連載しており、制作環境もあります。なので、既にマンガ産業を行う環境が整っている日本で、日本の作家さんのみならず、韓国をはじめとする世界中の作家さんと一緒に作っていくウェブトゥーンは、韓国やアメリカで作るウェブトゥーンとは違うものになると思います。日本市場の特徴を活用し、日本だけのウェブトゥーンを作っていきたいと思っています。


日本で事業をする上で難しい部分はありますでしょうか?

日本でLINEマンガを運営することにおいて困難なことは、やはり競合があまりにも多いということです。日本には100を超えるデジタルマンガサービスがあり、またその各々のサービスがユニークポイントを持っていて、成果を出しています。フィーチャーフォンの時代から続いているサービスもあります。

競合が多いことで、作品の独占が難しくなりますし、独占できない場合は、他社より少しでも有利な形で作品を獲得することが重要になります。また、読者のみなさんにLINEマンガを選んで読んでいただくために、魅力あるプロモーションを打ち出し、なによりも他社より1日でも早く配信し、1円でも安く提供する必要があります。

このように競合が多いことは厳しい部分ですが、反対に一緒に手を組めるパートナーがとても多く、多様な構造で協業できるという点は魅力の一つであると捉えています。

日本のマンガ市場はこれまでの歴史があるため、産業自体がしっかりと発展しているのです。この環境に、グローバル市場1位のプラットフォームであり、最も多くの作家さんが連載する弊社の強みをしっかりと組み合わせていきたいです。「日本のマンガの未来をつくる」というビジョンは、弊社だけで達成することは難しく、日本のさまざまなプレイヤーの皆さんと一緒に手を組んでいくことで実現できると思っています。


LINEマンガで配信中のウェブトゥーン



―二次産業化の構造について教えてください。また、映像化を前提としたウェブトゥーンが作られることはあるのでしょうか?

二次産業化によって生まれたドラマや映画などの映像を見た方が、原作マンガを読むという構造がウェブトゥーンエンターテインメントが目指している「好循環構造」です。まずは原作であるマンガやウェブトゥーンのファン層を獲得し、その作品を映像化してさらにファン層を厚くします。そして映像のファンとなった方が原作マンガを読むという流れです。この構造は少しずつではありますが、日本でも構築しているところです。

また、映像化を意識したウェブトゥーンが成功した事例は少ないと思っています。映像化をするには、まずは原作として面白くある必要があります。例えば、ウェブ小説は、小説として一番面白い形で作ってこそ読者に届くと思います。ウェブトゥーン化を意識した小説を作ると「小説」という本質を失ってしまうと思います。同じようにウェブトゥーンを作るときは、ウェブトゥーンの読者に合わせて作るべきだと考えています。

そして、私たちは総合エンターテインメント会社であるとお話しましたが、ウェブトゥーンと映像をつなげるためのビジネス事業部があります。

韓国に映像化のためのプリプロダクションをするSTUDIO Nという独立法人があります。マンガやウェブトゥーンをドラマ化、映画化する際に一番良い形で変化させる体制を自社で保有しています。なので、ウェブトゥーンを制作する段階で映像化を意識するのではなく、どんなウェブトゥーンでも映像化を成功させるプリプロダクションを内在化しているということです。


今後の目標はなんでしょうか?

まずは、日本のオリジナルコンテンツを増やしたいと思っています。そして、今のLINEマンガは韓国のウェブトゥーンの比重が大きいですが、同じくらい日本のウェブトゥーンも展開していくことが目標です。

日本におけるオリジナルコンテンツ事業は非常に初期段階ですが、日本国内だけで成功するのではなく、世界で大きな成功をする「日本型ウェブトゥーン」をできるだけ早く生み出したいと思っています。日本独自のウェブトゥーンが世界でセンセーションを起こし、映像化をする好循環構造の事例を作りたいと思っています。

大きく成功したいと思いますし、この好循環構造が回り始めれば、私たちはさらに多くの作家さんやパートナー会社と協業することができると思いますし、日本のアマチュア作家さんたちが新しい夢を見られるような環境を作りたいです。そしていつかは、「ネクスト鬼滅の刃」がLINEマンガから生まれることを願っています。



LINE Digital Frontier株式会社 -キム・シンベ共同代表

HP:https://ldfcorp.com/ja



LINEマンガ

「LINEマンガ」は、スマートフォンやタブレットで気軽にマンガ作品が楽しめる電子コミックサービスです。グローバルでの月間利用者数8,900万、累計ダウンロード数2億超、ひと月の流通額が100億円を超える、同市場で圧倒的世界1位の規模を誇るプラットフォームサービスの連合体 “WEBTOON Worldwide Service”の一員として日本市場で展開しています。

2013年に国内でサービスを開始し、現在では国内マンガアプリ累計ダウンロード数で1位を記録するなど成長を続けています。また、本サービスでは112万点以上を配信。その中でもLINEマンガでしか読めないオリジナル作品や独占配信作品、先行配信作品を1,100タイトル以上取り揃えており、幅広い支持を得ています。また、スマートデバイスでの閲覧に適した、上から下に読み進める縦スクロール形式でカラーのデジタルコミック”webtoon(ウェブトゥーン)”の作品にも力を入れています。

※国内マンガアプリ累計ダウンロード数 (2013年4月~2022年12月) / iOS & Google Play合計 / 出典:data.ai(App Annieより名称変更 )

<アプリダウンロード>

iOS:https://apps.apple.com/jp/app/line%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC/id597088068

Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.naver.linemanga.android&amp


画像提供:LINE Digital Frontier提供

/media/KORIT編集部
記事を書いた人
KORIT編集部

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