去る4日、Channel Corporation(チャネルコーポレーション)の日本法人代表チェ・ジェヨンは、東京で開催された「CHANNELCON26(チャネルコン26)」の冒頭で、1枚の粘土板の写真を映し出した。約4,000年前のメソポタミアで、ある商人が受け取った「あなたの商品は品質が悪いので取引を打ち切る」という内容が刻まれた、人類最古のクレームとして知られる品だ。彼は「顧客の声は4,000年前にも存在していた。今やAIの時代が来た」としたうえで、「我々には二つの選択肢がある。AIで顧客の声を無視するか。もしくは、AIで顧客とより深く向き合うか。」と語った。
Channel Talk(チャネルトーク)が選んだ答えは後者だ。この日、Channel Corporationは顧客対応メッセンジャーの枠を超えて「AIビジネスインテリジェンスプラットフォーム」へと進化すると宣言し、全社員向けAIビジネス秘書「CoS(Chief of Staff)」を初めて公開した。分散していた売り上げ・運営・マーケティング・相談のデータを自然言語で分析できる機能だ。
「AI IS HERE ― Back to the Customer Driven(顧客中心に立ち返る)」をテーマに、6月4日に東京・中央区京橋のTODAホール&カンファレンス東京で開催された今回のイベントは、日本進出11周年を記念して東京で初めて開かれた。2024年に始まったCHANNELCONが日本で開催されるのは今回が初めてで、現地の顧客企業やIT・Eコマース・投資業界の関係者500人余りが参加した。日本企業のAI活用率が55.2%と、先進国平均の90%超と依然として大きな差があるという問題意識が、イベントの背景となった。
チェ代表は日本市場での成果の背景として「おもてなし」の精神を挙げた。「日本特有の接客文化をオンラインCSで体現したことが成果につながった」とし、「顧客との継続的なコミュニケーションとVIP顧客の育成を重視する日本企業の方向性が、チャネルトークと自然な形で合致した」と述べた。初期の営業は容易ではなかった。突破口を見つけるために100社以上の顧客を直接訪問し、現場の課題に耳を傾けた。この過程で誕生した「顧客中心(Customer Driven)」の文化が、Channel Talkの製品開発における核心理念となった。

日本での急速な成長を牽引した核心的な原動力はAIだ。2024年にリリースされたAIエージェント「ALF(アルフ)」は、従来のチャットボットとは異なり、自然言語で会話の文脈を自発的に理解し、回答に必要な情報を自発的に探索して、人間のオペレーターのように対応する。チェ代表は「AI基盤の相談解決率が世界平均で約40%である一方、ALFは日本で80%に達している」とし、「単純で反復的な問い合わせを自動化し、顧客企業のコスト削減と効率化を実現する」と語った。導入後の問題解決率は従来比5倍に向上した。さらに「ALF導入後、問い合わせ全件数がむしろ3倍以上増加した」とし、「顧客がAI対応を敬遠するという懸念とは裏腹に、コミュニケーション窓口がなく声を上げられなかった潜在的な需要が顕在化した結果だ」と分析した。
ALFはテキスト・Excel・PDF・ウェブサイトなど多様なデータを参照して精度を高め、「Tasks(タスク)」機能によって予約・注文変更・キャンセル・交換・返品などのステップを構造化して能動的に処理する。日本ではファッション・ビューティー・旅行・F&Bなど3000社以上がALFを導入しており、累計処理相談件数は650万件を超えた。顧客基盤も厚い。100店舗以上を運営する日本の上位20ファッションブランドのうち半数以上がChannel Talkを利用している。UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)・しまむら・アダストリアなどの大手ファッション企業や、日清・ルタオ・一保堂茶舗などの食品ブランドが顧客企業として名を連ねる。この勢いに乗り、Channel Talkは昨年の日本売り上げが約50%の成長を遂げたた。今年は150億ウォン(約15億6,077万円)を目標としている。
残る課題としてチェ代表が挙げたのが「電話」だ。日本における問い合わせの多くが依然として電話で発生しており、これを解決しなければ現場スタッフが真の顧客対応に充てる時間を確保しにくいという予測だ。Channel Talkは電話のモニタリング・記録をAIで処理する機能に続き、今回は音声応対機能「Voice ALF(ボイスアルフ)」を発表した。デモでは、一般的なAIが「サイトにログインして自分でキャンセルしてください」と案内するにとどまったのに対し、Voice ALFは発信番号で本人を確認し、注文履歴を呼び出して特定商品のキャンセルまで直接処理してみせた。オンラインを超えて実店舗予約やインバウンド電話対応へとコミュニケーション領域を広げる構想だ。
この日初めて公開されたCoSは、こうしたデータ分析機能の頂点に位置づけられる。CRM・相談・マーケティング・売り上げ管理システムに分散した企業データを、Excel・CSV・Wordなど多様なフォーマットや自社開発アプリとも連携して一元統合する。これまで経営陣やマネージャーだけが扱っていたレポート・分析を、現場の担当者も自然言語で活用できるようにすることが核心だ。チェ代表は「データの抽出や前処理といった複雑な作業なしに、『先月1カ月の新規顧客流入経路を分析して』『売り上げ上位10%の品目をまとめて』といった自然言語の質問だけでインサイトを引き出せる」と説明した。通常2週間以上かかっていた分析を5分に短縮するという。
チェ代表はステージ上で、CoSに質問を入力し、売り上げ推移と相談データがただちにグラフとして描かれ、それを掛け合わせたクロス分析結果が表とチャートで表示されるプロセスのデモンストレーションを行った。CoSの差別化ポイントとして強調したのは「実行」だ。「既存のBIツールは『問題がある』という診断までしか行えず、次のアクションにつながらなかった」とし、「CoSは分析後、実際の顧客に電話・SMSで働きかけ、売り上げ転換まで導く統合AIプラットフォーム」だと語った。これに合わせてChannel Talkは、分析結果をもとにオーダーメイドのマーケティングキャンペーンを設計し実行まで支援する「AIマーケティング」機能を予告した。外部リサーチ代行会社にアンケートを依頼する代わりに、自然言語の命令だけでメール・SNS・SMSはもちろん、Voice ALFが直接顧客に電話をかけてアンケートを実施し、分析レポートまで提供する方式だ。イベントでは、CoSが当日の参加者リストをリアルタイムで呼び出してアンケートキャンペーンをその場で設計し、聴衆の携帯電話に電話をかけて回答を収集・要約するデモも披露された。

会場では顧客企業による導入成果の共有も相次いだ。with(ウィズ)、Koala JP(コアラJP)、Gray Parker Service(グレイパーカーサービス、GPS)、博報堂コンタクト&ロジスティクス、SODA Corporation(ソダコーポレーション)、Onward Digital Lab(オンワードデジタルラボ)、UNITED ARROWS、Notion Labs(ノーションラボス)、Shopify Japan(ショッピファイジャパン)などが登壇した。昨年のオリコン顧客満足度調査マッチングアプリ部門で1位を獲得したwithでカスタマーサポート・カスタマーケア部門のマネージャーを務める藤平直也氏は「機械的だった他社AIとは異なり、ALFは顧客の微妙な感情まで捉え、社内の知識とノウハウを素早く習得して精緻な回答を提供する」とし、「メール対応が中心だったときには聞けなかった隠れた顧客の声まで把握できるようになった」と語った。
第2セッションでは、イム・サンウク日本法人COO(最高執行責任者)が博報堂とともに顧客企業のAX(AI変革)を支援する「チャネルパートナープログラム」を紹介した。キム・ジェホン Channel Corporation CRO(最高売り上げ責任者)は「11年前、本当に何もない状態から始めたのに、日本で自社製品を使う顧客に直接会えるようになったことが感慨深い」と感想を述べた。Channel Corporationは企業のAI導入を支援する専門AIコンサルティングチームも組成した。約2カ月間で30社以上をコンサルティングした結果、AI相談解決率が80%を超えた事例を確保したと同社は明らかにした。
Channel Corporationは日本をグローバル展開の核心拠点と位置づけている。チェ・ジェヨン代表は「韓国で作り、日本で収益化を証明して世界へ出るという話をしてきた」とし、「今がその収益化を証明するタイミングだ。韓国より人口・経済規模の大きい日本でより多くの売り上げを生み出す」と語った。CoSは今月末に韓国・日本をはじめグローバル市場にベータ版としてリリースされ、AIマーケティングは7月初旬に公開される予定だ。チャネルトークはAIエージェントALF、チャット相談、CRMマーケティング、インターネット電話、ビデオ通話、チームメッセンジャーを組み合わせた統合ソリューションとして、世界22カ国20万社以上の企業が顧客対応チャネルとして利用している。
