構造化データ基盤モデル開発スタートアップ、Nums AIが自社モデル「Causilo」を公開した。同社によると、Causiloは定型データAIの性能を比較する公開ベンチマーク「TabArena」において、総合・分類・回帰の3部門すべてで1位を記録した。
構造化データとは、売り上げ記録、取引履歴、顧客情報のように行と列で整理された表形式のデータを指す。これを扱う予測AIは、顧客の離脱可能性を把握したり、商品の販売量を予測したりするなど、企業の意思決定に用いられる。構造化データ基盤モデルは、課題ごとにモデルを新規に作成するのではなく、どのような表データの予測課題に対しても別途の調整や再学習なしにそのまま使えるよう、あらかじめ学習された汎用モデルである。
Nums AIによると、CausiloはTabArenaの51個の数値データセット評価において、Googleリサーチが今年6月に公開した「TabFM」、AmazonとXiaomiがそれぞれ9月に公開した「Mitra-v2」と「Xiaomi-TabLDM」、SAPが買収したドイツのAI企業Prior Labsが5月に公開した「TabPFN-3」よりも高い順位を獲得した。総合点数だけでなく、カテゴリーを区分する分類課題と数値を予測する回帰課題においてもそれぞれ1位となり、TabArenaの運営陣が別環境で再度試験した結果でも同水準の性能が確認されたと同社は説明している。同社は予測速度についても競合モデルより速いと明らかにした。
構造化データAIは、GoogleとLGが自社モデルを公開し、SAPが専門企業を買収するなど、大手企業が参入している分野である。Nums AIは今年設立された5人の会社で、機械学習分野のGoogle PhDフェローシップ受賞者であるユ・ジェミン代表と、ソウル大学・KAIST出身の創業メンバーで構成されている。創業メンバー全員が主要AI学会での論文発表経験を持つ。
Nums AIはCausiloのコードと事前学習済みモデルの重み(学習結果が含まれるモデルパラメータ)をすべて公開し、研究者や開発者が直接使用し性能を検証できるようにした。商業利用には別途ライセンスが適用される。
同社はすでに、Stonebridge Venturesが主導し、SBVA・KT Investment・Base Venturesが参加した40億ウォン(約4億2,000万円)規模のシードラウンド資金調達を完了していた。ユ・ジェミン代表は「創業初年度に成し遂げたこの成果は、構造化データAIに集中してきた研究陣の専門性と開発力を示すものだ」とし、「この技術を企業現場の予測と意思決定につなげ、世界的な構造化データAI企業に成長する」と述べた。
