9月30日、AIデータ・ソリューション企業Flitto(フリット)が「Flitto 2nd Media Insight Day」を開催した。新しく生まれ変わったAI通訳・翻訳ソリューションが、この日はじめて報道陣に披露された。

会場はソウル・三成洞(サムソン)のグランドインターコンチネンタル ソウルパルナス。クラシック音楽が流れる落ち着いた空間に、多くの記者が足を運んだ。ブランド発表のあとはCEOによる基調講演、Q&Aと続き、最後は昼食を囲んでのネットワーキングで締めくくられた。

初の正式ブランド名「Vogl(ヴォーグル)」が誕生

この日注目が集まったのは、リアルタイムAI通訳・翻訳ソリューションの統合ブランド「Vogl(ヴォーグル)」の発表だ。「Voice of Global Languages」の略で、「話している瞬間を、目で見て理解する体験」を届けたいという思いが込められている。

これまでFlittoのソリューションには、全体をまとめるブランド名がなかったが、はじめてひとつのブランドに集約し、本格的にサービスを広げていくという。

強みは、データの会社だからできる「パーソナライズ」

AI通訳・翻訳サービスが次々と登場するなか、Flittoは何で勝負するのか。CEOの講演を聞いて、その答えが見えてきた。

もともとFlittoは、AIの学習用データを構築・提供するデータ事業を軸に歩んできた会社だ。積み上げてきたデータがあるからこそ、ユーザー一人ひとりに合わせた翻訳やメモ、関連サービスを提供できる。この「パーソナライズ」こそがFlittoの最大の武器だという。

Voglに新しく加わった「おすすめ用語」機能も、そのひとつだ。AI学習レポートをもとにユーザーの利用データを分析し、よく使う用語や言い回しを自動で反映してくれる。使い込むほど、自分に合った翻訳に近づいていく仕組みだ。

イ・ジョンスCEOは「すべてはデータの力から始まります。それが『パーソナライズ』であり、言語において最も大切な部分です」と語り、これこそがVoglの一番の強みであり、創業以来ずっと磨き続けてきた部分なのだと力を込めた。

OLIVE YOUNGや大型書店でも活躍中。目標は「グローバルで唯一無二の存在 」へ

Flittoのソリューションは、すでに韓国のあちこちで使われている。外国人観光客にもおなじみのヘルス&ビューティーストア「OLIVE YOUNG(オリーブヤング)」や大型書店もその一例で、韓国旅行中に見かけたことがある方もいるかもしれない。

今後は、大企業や公共機関向けのオンプレミス導入に加え、携帯型端末や講義室専用端末といったハードウェアとの連携にも広げていく計画だ。データ事業では、企業や個人が眠らせているデータを高品質な資産に変えて流通させる「データマーケットプレイス」構想も明らかにした。

そして目指す先は、やはりグローバル市場だ。イ・ジョンスCEOは、世界でも唯一無二の存在になりたいと語った。

一方で、「常に初心を忘れず、誠実かつ着実に事業を進めていると信頼してもらえるよう努力したい」といった発言もあった。大きなビジョンを掲げながらも、足元の姿勢を大切にする言葉が印象に残った。

取材を終えて

AI通訳・翻訳ツールがすっかり身近になった今、これからは「どれだけ自分に合った翻訳ができるか」が勝負どころになりそうだ。データ事業で力をつけてきたFlittoが、Voglという新しいブランドとともにどう世界へ広がっていくのか。日本市場での展開も含め、今後の動きに注目したい。

▶ Flitto Japan 公式サイト:https://flitto.jp/

▶ Vogl サービスページ:https://www.vogl.ai/ja/