政府の国政課題である5世代(5G)移動通信を活用した地下鉄Wi-Fi事業が、なかなか進展しない状況にある。科学技術情報通信部は28GHz帯の公共用周波数を指定することでサービスの活路を開く方針だが、通信大手3社は人工知能(AI)などの新規事業に注力しており、追加投資の余力が低下している。これに対し、政府は電波利用料の減免など、事業負担を最小限に抑える方法を検討している。
16日、通信業界によると、科学技術情報通信部と通信大手3社は最近、地下鉄5GWi-Fi事業再開に向けた実務協議を行ったという。科学技術情報通信部は、28GHz帯を地下鉄に限って、周波数指定方式で利用できるようにする方針を示した。
通信大手3社はネットワーク構築義務を守らなかったため、昨年28GHz帯の周波数割り当てが取り消された。これにより、ソウルの地下鉄一部区間で進められていた、従来の10倍速い28GHz帯のWi-Fi性能改善実証事業も中断された。政府の国政課題だったため、5G特化型ネットワーク(e-Um 5G{イウム5G})を通じてサービス再開を図ったが、申請企業が一社もなかった。
5G 28GHz帯の地下鉄Wi-Fiサービス
これに対し、科学技術情報通信部は周波数を指定することで活路を見いだそうとしている。周波数の供給方式は、大きく「割り当て」と「指定」に分けられる。すでに、28GHzの周波数を回収して再び「割り当て」することはできない状況だが、公共用周波数に「指定」すれば、現在構築済みの設備を活用してサービスを開始することができる。通信大手3社はすでに、地下鉄の線路に約1,500の28GHz帯無線局を構築し、車両内に無線アクセスポイント(AP)を設置し終えた状態だ。割り当て費用がかからず、電波利用料のみの支払いで済む。
しかし、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が可決されたことで、国政課題の推進に支障が出ており、地下鉄Wi-Fi事業に対する懸念の声が上がっている。特に、通信大手3社の投資がAI新規事業に集中していることから、地下鉄Wi-Fiへの投資には消極的になっている。割り当て費用は不要だが、電波利用料や維持費用、年間数十億ウォンに達する占用料も大きな負担となる。
特に、電波利用料の場合、加入者数を基準に算定される「周波数割り当て」とは異なり、「周波数指定」は無線局設備数を基準に算定されるため、負担しなければならない費用が大きくなる。このため、科学技術情報通信部は電波法施行令に基づく電波利用料の減免規定を適用する案を積極的に検討している。
電波法施行令では、営利を目的としない、または公共の福祉向上のために開設した無線局のうち、大統領令で定めたものについては、電波利用料の全額を減免できると定めている。その中にはトンネルや都市鉄道の無線局も含まれる。政府は、地下鉄Wi-Fiの高速化のための28GHz無線局もこれに該当するかどうかについて、事業者と法的検討を進めている。
科学技術情報通信部の関係者は、「電波政策研究班を通じて、地下鉄の28GHzの周波数指定と電波使用料の減免が法の趣旨に合致するかどうかについて多角的に検討中だ。」とし、「今月中の具体的な政策発表を目指して準備している。」と述べた。
<パク・ジュンホ記者 junho@etnews.com>
<画像=地下鉄Wi-Fi>