宇宙航空庁の発足後、国家主導のオールドスペース(Old Space)から民間主導のニュースペース(New Space)へとエコシステムが急速に転換しています。発射体、衛星通信、宇宙探査など多方面に大規模な政府のR&D資金と民間投資が集中し、韓国の宇宙航空企業の技術成長は加速傾向にあります。
グローバル市場にはすでにSpaceX(スペースX)をはじめ、ボーイング、エアバスなど先進国企業が構築した強力な先行特許障壁が存在しています。一方、韓国は宇宙技術特許の相当数を公共機関が保有しており、民間企業の自生的なIPポートフォリオ構築がこれまで以上に急がれているのが実情です。
今回のガイドでは、宇宙産業の特殊性を考慮して、企業経営陣とIP担当者が気をつけなければならない重要な問題をまとめてみます。
宇宙空間における特許権侵害の判断と「属地主義」の限界
「属地主義」の原則に基づき、特許権は登録国内でのみその効力が発生します。特許権というのは、登録国内でのみ効力が発生する「属地主義」を原則としています。したがって、国の領土から離れた宇宙空間での侵害の判断は簡単ではありません。
宇宙条約第8条により、宇宙物体は原則として「登録国」の管轄権に属します。しかし、実用的には、宇宙空間での動作よりも地上での実施行為に視点をおいて、請求項を設計しなければなりません。
つまり、特許侵害の判断、侵害立証のためには次の3つの要素を複合的に考慮しなくてはなりません。
- 該当部品を製造した国
- 衛星を発射した国
- 信号を送受信する地上局が位置する国
単に「宇宙で動作する機器」にのみ権利範囲を限定すると、特許侵害が成立しない可能性があり、侵害立証が棄却されるリスクが高くなります。したがって、地上で行われる地上の製造・発射・制御段階と連携した戦略的な特許設計が不可欠です。
属地主義を逆利用した「特許マイニング」:海外先行技術の合法的活用と改良
海外企業との技術格差を狭めるために、韓国の宇宙航空企業は「属地主義ベースの特許マイニング」を行う必要があります。グローバル大手企業が韓国で特許出願していない技術(すなわち、韓国での特許権が存在しない技術)は、国内で自由に利用可能な技術となるのです。
- 空白技術の合法的な導入:韓国内の権利が確保されていない発射体部品構造や衛星制御ロジックを選別してR&Dパイプラインに適用・借用することで、開発期間とコストを大幅に短縮することができる可能性があります。
- 改良特許の確保:源泉技術の導入にとどまらず、これを韓国の環境と衛星規格に合わせて最適化して権利化しなければなりません。このような改良特許は、今後グローバル企業との交渉や海外進出時の強力なクロスライセンスの柱となります。
衛星通信特許戦略:宇宙ではなく「地上局」と「端末」を連携した立体的権利化
最近、低軌道(LEO)衛星通信網の構築が話題になっています。独自の軌道スケジューリング方式により、衛星通信分野で強力な権利を確保するための衛星通信特許戦略の核心は、宇宙に浮かぶ衛星単独の機能に限らず、「通信システムの全データフロー」を分割して権利化することにあります。
多数の主体による分割侵害問題を防止するために、衛星通信関連特許の請求項は、必ず以下の3つの観点から多角的に構成する必要があります。
- 衛星:衛星が地上局や端末から信号を受信して変換して再送信するデータ処理方法
- 地上局:ゲートウェイ(地上局)が軌道上の複数の衛星との接続をスケジュールし、ハンドオーバーを制御する方法
- ユーザー端末:地上アンテナ(端末)が移動する衛星のビームフォーミング信号を追跡し、位相誤差を補正する方法
このように権利範囲を立体的に設計すれば、競合他社が衛星を海外で製作・発射しても、最終的に韓国内で地上局を運営したり端末を販売する過程で特許侵害に抵触することになります。
示唆点/結末
ニュースペース時代が到来するにつれて、企業にとって知識財産権の戦略的管理は技術の高度化と同様に企業の尊望を左右する重要なスキルとなりました。宇宙空間の法的特殊性と属地主義の限界を正確に理解し、これをもとに緻密に設計された特許権を確保出来た時、初めて真のグローバル競争力を持ったといえるでしょう。
グローバル大手企業の細かい特許網の中で孤立しないためには、R&D企画の初期段階からIP専門家が介入し、権利確保の青写真を描く作業を先んじて行っておかなくてはなりません。
特許法人YNP(旧特許法人セウム)は韓国の宇宙航空企業が莫大なR&D投資の結果を安全に保護し、グローバルのステージで確固たる独占的地位を享受できるように詳細なIP法律諮問を行っています。
原文:民間宇宙時代(New Space)、韓国の宇宙航空企業のグローバルIPポートフォリオ構築案
執筆者:特許法人YNPキル・セヨン弁理士
