【インタビュー】キム・ヨンオ ソウル大学工科大学長

「宇宙バイオ、宇宙農業のように他の学問との接点を広げていきます。」

キム・ヨンオ ソウル大学工科大学長は、500億ウォン(約54.9億円)規模で推進中の「宇宙融合技術館」設立の背景をこのように説明した。

AI(人工知能)と半導体産業が急速に成長するなか、工学への関心はかつてないほど高まっている。最近では、医学部・歯学部・韓医学部・薬学部・獣医学部に半導体契約学科までの頭文字をとった「医歯韓薬獣半(의치한약수반)」という新造語も登場した。サムスン電子、SKハイニックスなどの大企業就職に直結する半導体契約学科の人気が急上昇し、一部の学科の合格ラインは医学部に匹敵する水準にまで上がってきている。

それでもキム学長は「理工系の確実な変化なしに、医学部への集中が緩和されるという期待は大きな見当違いだ」と述べ、工学部が未来産業を牽引する新たな成長分野を発掘し、人材が挑戦できる舞台を作らなければならないと強調した。彼が次の手として打ち出したのが、「宇宙」と「起業」である。就任2年を迎えたキム・ヨンオ学長と面談し、ソウル大学工学部が描く未来戦略を聞いた。

宇宙、新たな「融合の舞台」

就任2年を迎えたキム・ヨンオ学長は、宇宙を工学部全体をつなぐ融合の舞台として育てようとしている。同学長は「宇宙は航空宇宙工学科だけの領域ではない」とし、「地球でやっていることを宇宙で改めてやってみようという発想でアプローチしている」と語った。衛星や推進体だけでなく、宇宙データセンター、宇宙半導体、宇宙建設まで、ほぼすべての工学分野が宇宙と接点を持つという説明だ。

ソウル大学は500億ウォン(約54.9億円)規模の「宇宙融合技術館」の建設を推進中だ。民間投資100億ウォン(約11億円)と教育部支援400億ウォン(約43.9億円)を合わせた事業で、今年設計に入り、2028〜2029年の完工を目標としている。宇宙航空庁が推進する衛星再突入技術などの各種R&D(研究開発)にも、ソウル大学が貢献できるとの期待も上がっている。

防衛産業との連携も欠かせない。同学長は就任直後に国防工学センターを提案し、教授陣に参加意向を確認したところ、全教授340名のうち97名が関心を示したという。キム学長は「教授100名に大学院生が平均5名ずつでも500名、10名ずつなら1,000名に上る研究人材になる」とし、「この2年間、軍関係者と防衛産業の経営者たちに本当に多く会ってきた」と語った。最近では、韓国内の主要防衛産業企業であるLIG Nex1(LIGネクスワン)が50億ウォン(約5.5億円)の投資を約定するなど、民間資金も集まってきている。同学長は「防衛産業と宇宙は切っても切れない分野だ」とし、「ソウル大学工学部がこの領域でしっかりと位置を確立できれば、世界的な地位も一段階上がるだろう」と述べた。

「型破りな人材が世界を変える」…破格の人材育成プロジェクト

キム学長が特に力を入れているのが「新しい人材づくり」だ。同学長は、中国のAIスタートアップDeepSeekの台頭を見て衝撃を受けたと話した。キム学長は「中国政府が2008年から実施した人材育成プログラム『千人計画』に後押しされてDeepSeekのような企業が生まれたように、我々も天才は天才らしく育てて産業革新を引き出さなければならないという反省をするようになった」と述べた。

そこで始めたのが「世界を変える革新人材」プロジェクトだ。学部2〜4年生の中から計40名を選抜し、奨学金2,000万ウォン(約219.5万円)を支給するとともに、教授をメンターとしてマッチングし、共同で研究・起業できるよう追加で1,000万ウォン(約109.7万円)を支援する計画だ。申請書はわずか2枚、質問は2つだけだ。「世界を変えようとする試みをしたことがあるか」、「工学に没頭した経験があるか」の2問である。

約3倍の競争を勝ち抜いて選抜された学生たちは、発展的な研究や起業に直接挑戦しながら、特別講義とワークショップをともに消化している。この事業は今年から教育部の支援も受けることになった。教育部が全国10大学に8億5,000万ウォン(約548.7万円)ずつ、総額85億ウォン(約9.3億円)を配分したためだ。

3年生向けの起業プログラムは、理論を超えて現場経験に焦点を当てている。学生が実際のスタートアップの現場でインターンシップとメンタリングを経験し、起業家として成長できるよう支援するスタンフォード大学の「メイフィールド・フェローシップ」を参考に作ったという。このプロセスで学生たちは、前期にはエネルギー・バッテリー・AIなどの分野別講義を教授から受け、7月にはシリコンバレーに渡って卒業生起業家たちと交流する。キム学長は今年の後期には、起業に成功した卒業生4名がベンチャーキャピタルとともに直接教壇に立ち、実戦中心で学生たちを指導する計画だと明らかにした。

「医学部出身」のジェンスン・フアンも驚いたロボット競技大会優勝者

キム学長は会話の途中で、NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・フアンCEOが最近ソウル大学を訪問した際のエピソードを紹介し、専攻の壁を壊す「開かれた教育」が生み出す多様な人材育成の可能性を強調した。

キム学長によれば、当時ジェンスン・フアンCEOは、医学部から工学部に転科したある学生が学内ロボット競技大会で優勝したという話を聞き、深い印象を受けたという。キム学長は「工学部と医学部を行き来して学ぶ道を開いたことが、新たな能力を生み出す起爆剤になったようだ」と語った。そして「工学部生と医学部生がお互いの授業を受けるようになれば、医療機器など医工学分野で新たな革新が生まれ得る」と強調した。

さらに「18歳、19歳から異なる専攻の友人たちと交流させると、社会に出た後も自然に異分野を理解し、協働する力が身につく」とし、「こうした力がソウル大学の真の競争力になるだろう」と付け加えた。

キム学長は「宇宙と防衛産業、ロボットとAIが一体となって絡み合うこの時期は、大韓民国がかつて経験したことのない特異な時期だ」とし、「この融合の流れを逃してはならない。準備した者にチャンスが来るという信念のもと、残りの任期にも新たな道を作り続けていく」と語った。

<画像=キム・ヨンオ ソウル大学工科大学長/リュ・ジュニョン記者撮影>

原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2026070108194086567