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「韓国のシリコンバレー」に重工業企業が集まる理由とは?

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「韓国のシリコンバレー」と呼ばれている京畿道城南市板橋(キョンギド·ソンナムシ·パンギョ)に重工業企業が相次いで集まっている。 韓国の現代製鉄、現代重工業、斗山重工業、SKケミカルなどの代表的な重工業企業からLIGネクスワン、ハンファテックウィンなどの防衛産業企業まで、板橋にR&Dセンターを建設する革新を求めて板橋を訪れる非IT企業が増えている。

 

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自動的に生成された説明 パンギョの全景<出典:京畿道HP>  

一例として、韓国の代表的な財閥現代(ヒョンデ) グループの重工業系列会社である現代製鉄は、板橋に統合事務所を構築する計画だ。 今後、ここをスマートオフィスにし、水素還元製鉄や水素·電気自動車素材事業など会社の次世代事業支援業務と営業業務の前進基地にする計画だ。 また、系列会社の現代自動車は現代製鉄に先立って、完成車業界では初めて板橋に未来車研究組織を新設した。 

 

もう一つの韓国の代表的な財閥斗山(トゥサン)グループは、板橋近くに新社屋を建てている。 重工業や建設など、主要系列会社が入居しているという。 特に、斗山重工業は板橋移転を契機に新成長動力に拍車をかけている。 最近は自社の既存事業分野に限られていたデジタル技術を多様な分野に拡大するため、エリクソンやLGなどと手を組んで、5G基盤の次世代デジタル事業の協力関係を構築した。

 

また、もう一つの財閥SKグループの重化学系列会社であるSKケミカルとエネルギー系列会社のSKガスは、板橋に本社を移すなど伝統的な重工業企業の「板橋行きラッシュ」に注目が集まっている。

 

では、板橋にこのような伝統的な重工業企業が集結する理由は何だろうか。 財界によると、板橋という都市が持つ「革新イメージ」が一役を買っている。 ある財界関係者は「本社が板橋にあることで相手側が革新企業と認識している点も無視できない」と明かした。 昨年、全国8800の企業を対象に大韓商工会議所が実施した夏の調査で、板橋のある城(ソンナム) 市は企業満足度が最も高い地域に選ばれた。


また、板橋はひとまずソウルに近いという立地条件と多様なIT企業間交流が可能な一種の「産業生態系」が構築されており、ソウルと京畿道東南部を結ぶ交通ハブとして浮上していることから若くて優秀なR&D人材も集中しているという点も大きな魅力として挙げられる。 製造業も今では単純な製造を超えて、第4次産業革命に合わせたDXを図っているため、関連人材が必須になっている。 

 

実際、現代重工業やサムスン重工業などは最近、情報通信技術(ICT)などを造船分野に取り入れたスマートシップの高度化に乗り出している。 サムスン重工業は2014年、かつて板橋にR&Dセンターを建設し、江南から本社を移転してきた。 現在450人余りがスマートシップソリューション「エスバッスル」など様々なスマートシップの高度化研究開発に邁進している。

 

ダイアグラム

自動的に生成された説明現代重工業グループが開発したスマートシップ技術「航海支援システム」の概要<出典:現代重工業>


現代重工業も近いうちに板橋時代を開く。 現代重工業は2022年に完工予定の19階建て「板橋グローバルR&Dセンター」で本格的なスマートシップ研究に拍車をかける計画だ。 売上高に占める技術開発投資の割合もグローバル先進企業水準の6-7%まで引き上げる計画だ。 特に、板橋R&Dセンターを中心に首都圏の優秀大学と共同研究を通じてスマートシップ、スマートヤード、ICT基盤サービスなど技術開発に乗り出す方針だ。

防衛産業企業LIGネクスウォンとハンファテックウィンドウも板橋に入居している。 特にLIGネクスウォンは龍仁と板橋を中心にR&D開発に乗り出しているが、現在全社員の半分に達する1500人ほどが板橋研究センターに勤めている。

アメリカの動力の中心がデトロイトからシリコンバレーへ動いたように、韓国も蔚山(ウルサン)などの製造業拠点から板橋というIT中心地へ新成長の中心軸が移動している。

/media/KORIT編集部
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KORIT編集部

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