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うちの会社の企業価値はどうやって決まる?
企業価値の算定方法3種類

M&Aや資金調達について悩んでいる社長なら、1度くらいはこのようなことを考えたと思います。
しかし、答えを見つけるのは容易ではありません。それだけ外部の諮問を受ける場合が多いです。この時、専門性が不足した人に会うと、企業は適切な準備もなく、市場に出ることになります。これは最終的に損害につながる可能性があります。残念ながら、実際多くのディールがこのような状況の中で行われています。今日は買収・売却に悩んでいる方が多くいる分、企業価値に対する核心概念及び正しい評価方法をご紹介します。
1.企業価値はどのように決められるのか?
COVID-19以降、世界中で市場を安定させるための流動性が大規模に供給されました。
韓国も例外ではありませんでした。不動産金融と企業金融の両方が類例のない好況となりました。しかし最近では雰囲気が急変しています。不動産市場は金利が十分に低くなっていないうえに、建設費の上昇などの要因で資金調達が難しくなっています。これにより事業性を創出できず、多くのプロジェクトが中断されました。
ベンチャーキャピタル投資市場も同様の流れを示しています。資金調達が以前ほど簡単ではなくなったためです。そのため、リストラ、新事業中止、さらにはイグジット(Exit)の推進など、困難な状況を経験している企業が増えています。
それでも、市場自体が止まるわけにはいきません。投資家は依然として収益を得ることができる良いディールを見つけなければならず、企業も既存の事業と相乗効果を出したり、収益多角化を図る機会を見つけたりしなければなりません。このような環境の中で多くの方々が「当社の企業価値は市場でどの程度と評価されるのか?」、「私の持分価値はどれくらいか?」等の疑問を抱いています。
今回は、このような疑問を解決するために市場で企業価値を評価する方法を紹介します。
2.企業価値の算定方法にはどんなものがあるのか?
2-1.市場アプローチ法
市場アプローチ法は、企業価値を評価する際に売上、営業利益(EBIT)、EBITDAなどに同種業界の倍数(Multiple)を乗算する方式で使われます。
企業価値 = 売上高 (or EBIT or EBITDA) x 同種企業の倍数 (Multiple)
例として、同種業界の類似企業の売上基準倍数が3であるとします。
すると、次のように計算できます。
企業価値/売上= 3
ex.A社の売上が200億(約21億円)ウォンであれば、A社の企業価値は200億×3 = 600億ウォン(約63億円)
倍数(Multiple)は主に2つの方法で計算されます。
1) 過去に実際に行われていたM&A事例基礎計算(Transaction Multiple):A企業がB企業を売上の3倍で買収した場合、売上基準の倍数を3と見ることができます。最初の方法は主に非上場企業の価値評価に広く使用されており、業界内に類似の取引ケースが十分にある場合は高い信頼性を持っています。
2) 上場企業の株価及び実績比較算出(Trading Multiple):上場されたC企業の時価総額が1,000億ウォン(約110億円)でEBITDAが100億ウォン(約11億円)であれば、EBITDA基準倍数は10と計算できます。この方法は、市場の現在の評価をリアルタイムで反映できるという利点がありますが、上場企業と非上場企業との構造的な違いを考慮して適切な補正が必要です。
*追加の詳細な説明は次回紹介する予定です。
市場アプローチにはどのような特徴があるでしょうか?
– 市場アプローチ法は実際の取引事例と実績を基準とするため、主観的要素が最も小さくなります。
– これにより、売り手と買い手間の期待価格差を減らし、より標準化された企業価値評価が可能になります。
– このため、市場では最も広く利用されている評価方式の1つです。
2-2.収益価値アプローチ法
先に紹介した市場アプローチ法が企業の現在の実績と市場内の類似企業の取引倍数に基づいて企業価値を算定する方法だとすると、これを補完したり、企業の今後の成長計画をより具体的に反映したい際には、収益価値アプローチ法であるDCF(Discounted Cash Flow、キャッシュフロー割引法)方式が使われます。
DCF方式は、会社が立てた今後3~5年以上の事業計画をもとに「毎年生まれると予想されるキャッシュフロー」を算定し、これを現在価値から引いて企業価値を計算します。一般的に5カ年程度の事業計画に基づいていますが、このとき適用される割引率は、資金調達時に会社が負担する金利(借入金費用)と投資家が要求する期待収益率(自己資本コスト)を適切に合わせた加重平均資本費用(WACC、Weighted Average Cost of Capital)が活用されます。
収益価値アプローチにはどのような特徴があるでしょうか?
– 今後の業績を推定して価値を算出するため、企業の方向性と内部戦略が具体的に反映されます。
– 将来予測に基づいているため、比較的多くの主観が介入します。
– 一般的に市場アプローチ法とDCF方式を共に並行して企業価値を総合的に検討します。
2-3.純資産価値法
純資産価値法は、文字通り企業が保有する資産から負債を差し引いた値、すなわち「資産-負債」で持分価値を算定する方法です。この方法は、すべての資産と負債を公正価値で再評価し、不足なく反映することが重要です。
たとえば、資産項目には、土地や建物などの不動産が含まれることもあります。非上場株式を保有している場合もあります。不動産は鑑定評価を通じて現在の公正価値を算定し、非上場株式は実際の取引価格があればこれを基準にすることができます。 (そうでなければ2の収益価値アプローチ法などを通じて推定した公正価値を使用します)
一方、負債項目には財務諸表上に現れている負債だけでなく、今後一定条件で発生する可能性のある支払義務、すなわち偶発負債まで含めて評価しなければなりません。このように公正価値で測定された資産から負債を差し引くと、企業の純資産、持分価値が導出されます。
純資産価値法にはどのような特徴があるでしょうか?
– ファンドの基準価を評価したり、不動産などの資産中心の会社で主に使用されます
– これ以外にもワークアウトや法定管理企業を対象に清算価値を算定することを目的として活用されます。
– すべての会社に適用される方法ではありませんが、上記の事業を営んでいるなら、より正確な方法です。
まとめ
今日紹介した3つの企業価値評価方式は、それぞれの状況や目的に応じて使用されます。 どのような方法が最も適しているかは、企業の業種、成長段階、保有資産、今後の計画などによって変わるため、本記事を参考に3種類の方法の違いと特徴を理解し、その中で最も現状に合った評価方法を選択してください。
次の記事では、3つの方法のうち市場アプローチ法について適用事例を使用してご説明します。ありがとうございます。
原文:https://www.innoforest.co.kr/report/NS00000380
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