去年どのくらいのスタートアップが収益を上げたのだろうか?

INNOFORESTが2024年の損益財務データをもとに韓国スタートアップの営業利益を分析してみました。

その結果、スタートアップ4社に1社。

2024年、全体のスタートアップの約25.3%に相当する1,714社が営業利益を出したことが分かりました。その中でも美容・化粧品、広告・マーケティング、教育分野は上位を占めました。特に広告・マーケティング分野は2024年、40.4%で2位を占め、前年(31.8%)に比べ大幅に増加しました。同産業は2024年、プラットフォームやサービス構造の高度化や費用効率化戦略など、実質的な転換がなされたという報道資料が非常に多く出ました。

今日は2024年営業利益を出したスタートアップはどこか、

そして、産業別には、23年度と24年の間にどのような収益性の変化があったのかを一緒に見ていきましょう。

1. 2024年営業利益を出した韓国スタートアップ

2024年に営業利益を上げたスタートアップ:合計1,741社

* M&A、IPO企業を除く、INNOFOREST登録基準

今回の分析は、INNOFORESTに登録された韓国スタートアップ約7,000社(IPO、M&A企業など一部を除く)を対象として行われ、全体の約25%に相当する1,741社が2024年の1年で営業利益を出したものと集計されました。これは、4社に1社が実質的な収益を記録したという意味のある指標と評価されます。これらの企業のうち、23年赤字から24年に黒字転換した企業は732社(25.06基準)で全体の約10%に相当します。

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2. 営業利益 産業別収益分析

スタートアップの成長性と持続可能性を判断するためには、単純な売上規模や資金調達の現状を超えて、実質的な収益構造確保の有無を調べることが重要です。特に2024年の市場環境では、独自の収益創出能力、すなわち営業利益の有無が企業の財務健全性と直結しました。

これにより、INNOFORESTは個々の企業の損益の有無を超え、産業別に収益性がどのように変わっているのか、また前年度に比べてどのような変化があったかを重点的に分析しました。当該集計もINNOFORESTに登録された韓国スタートアップ(IPO、M&A企業など一部を除く)を対象として行われました。

1位.美容/化粧品

依然として収益性1位を占める

2024年の営業利益率:42.2%

2023年の営業利益率:49.0%

2024年にも最も高い営業利益率を記録した産業群は「美容/化粧品」分野でした。当該産業群に属する企業の42.2%が営業利益を記録し、依然として収益性が最も高い産業に位置しています。しかし、2023年にはこの割合がなんと49%にまで達していたため、比較でいえば小さく下落した数値となります。これには、グローバル消費の萎縮と流通構造の変化、特定の大企業ブランドとの競争の激化などが影響を与えたようです。

それにもかかわらず、美容分野のスタートアップは、比較的回転率の速い消費財、ブランドロイヤルティ、海外進出の可能性などに基づいて一定レベル以上の収益を維持しており、デジタルコマースチャネルとインフルエンサーベースのマーケティング戦略も主要な収益性要因として分析されます。

2位.広告/マーケティング

プラットフォーム効率化により収益性の飛躍、前年比8%以上アップ

2024年の営業利益率:40.4%

2023年の営業利益率:31.8%

2位を占めた産業は「広告/マーケティング」分野です。この産業群は全体の40.4%が営業利益を記録し、前年度(31.8%)より8.2%ポイント上昇しました。

特にこの分野はマージン構造が弱いと認識されていましたが、最近ではパフォーマンスマーケティングツールの精巧化、固定費縮小、インハウス型B2Bプラットフォーム転換などを通じてコスト対収益構造が改善され、収益性に意味のある転換が起きたと見られています。また、SaaS型広告管理ソリューション、AIベースのマーケティング自動化ツール、インフルエンサープールを効率的に接続するサービスも続々と登場し、以前より「単価の高いプロジェクト」に集中する戦略で体質改善が加速しています。

3位.教育

静かに3位に、安定した収益性と順位アップ

2024年の営業利益率:33.2%

2023年の営業利益率:33.7%

2024年に営業利益を出した産業群のうち3位を占めたのは「教育」分野でした。当該産業群の営業利益率は33%で、2023年と同水準を維持しました。数値上の上昇はありませんでしたが、昨年は全体産業のうち5位だったのに対し、今年は3位で、順位がアップしました。これは、他の産業群の収益性の低下の中でも、教育分野が着実な収益安定性を示したという意味にも解釈されます。

特に成人を対象としたリスキリング・アップスキリングプラットフォーム、非対面学習ソリューション、B2B企業教育サービスなどが明確な収益モデルを確保した中で、サブスクリプションベースの学習プラットフォーム、メンタリング中心の有料コミュニティサービスなども安定的な売上の流れを維持したことが影響を及ぼしたと見られます。

その他産業群

上位には上がりませんでしたが、一部の産業群では前年比収益率が急激に改善された事例も観察されています。

それがまさに「物流」産業群です。2023年の営業利益比率が「19%」に過ぎなかった物流分野は、2024年に「29.4%」と約10.4%上昇し、有意義な改善を見せました。これは、フルフィルメントの自動化、ラストマイル配送のIT高度化、プラットフォームベースの物流マッチングサービスの普及などがコスト構造の改善に貢献したためと分析されます。特に、単純な人材中心の物流サービスが技術中心のソリューションモデルに移行するにつれて、マージン構造が比較的改善されたことが主な要因として見られます。

一方、収益性が小幅下落した産業群もあります。 「環境・エネルギー」分野は2024年に17.3%を記録し、2023年に比べて小幅下落しました。 「ファッション」産業群も2024年は31.8%の営業利益率を記録し、依然として高い収益性を見せてはいますが、前年度比ではやや下落した結果となりました。ただし、ファッション分野自体の収益率は依然として平均以上を維持しており、忠誠顧客基盤が確保されたブランドやキュレーション中心サービスは比較的安定した成果を出したと分析されます。

3. トップカテゴリの主要企業、データを見る

産業別営業利益ランキング上位を占めたカテゴリーで、それぞれ3つの主要企業をINNOFORESTの指標とともに紹介します。その他、急上昇した物流カテゴリーでも注目すべき企業を紹介します。これらの企業は、営業利益に加えて、INNOFORESTの中核指標が全体的に成長傾向を示していました。これらの企業の過去36ヶ月間にデータがどのように成長したかをご確認ください。

*紹介企業の順番はハングル順です。

[美容・化粧品]

1.Melixir(メリクサー) [もっと見る]

ビーガンスキンケアブランド「Melixir」を運営する企業

  • 23年の営業利益:1.8億ウォン(約2000万円)
  • 24年の営業利益:5.7億ウォン(約6000万円)

Melixirの主な指標タイムライン

2.TENTECH(テンテック) [もっと見る]

モノポーラ高周波ベースの美容医療機器「10 THERMA(テンサーマ)」を開発する企業

  • 23年の営業利益:-53.3億ウォン(-約5.7億円)
  • 24年の営業利益:5.1億ウォン(約5400万円)

TENTECHの主な指標タイムライン

3.HERREN(ヘレン) [もっと見る]

ビューティーショップ対象CRM顧客管理プラットフォーム「コン秘書院長」およびビューティー用品ショッピングモール「コン秘書ストア」などを運営する企業

  • 23年の営業利益:-8.8億ウォン(-約9300万円)
  • 24年の営業利益:2.3億ウォン(約2400万円)

HERRENの主な指標タイムライン

[広告/マーケティング]

1.Boosters(ブースターズ) [もっと見る]

Eコマースブランドの買収とマーケティングソリューションを提供する企業

  • 23年の営業利益:-8.8億ウォン(-約9300万円)
  • 24年の営業利益:2.3億ウォン(約2400万円)

Boostersの主な重要指標タイムライン

2.I’m web(アイムウェブ)[もっと見る]

ブランドのスタートから成長まで、オンラインビジネスをサポートするブランドビルダー「I’m web」を運営する企業

  • 23年の営業利益:-3.4億ウォン(-約3600万円)
  • 24年の営業利益:10.1億

3.TAGby co.(タグバイカンパニー)[もっと見る]

ビッグデータベースのインフルエンサーを対象としたコンテンツマーケティングプラットフォーム「TAGby Market(タグバイマーケット)」を運営する企業

  • 23年の営業利益:1.1億ウォン(約1100万円)
  • 24年の営業利益:1.4億ウォン(約1400万円)

TAGbyの主な指標タイムライン

[教育]

1.Weolbu(ウォルブ)[もっと見る]

経済コンテンツプラットフォーム「Weolbu」を運営する企業

  • 23年の営業利益:216億ウォン(約23億円)
  • 24年の営業利益:283億ウォン(約30.1億円)

Weolbuの主な指標タイムライン

2.WeaversMIND(ウィーバスマインド)[もっと見る]

AIベースの英語/中国語/日本語教育プラットフォーム「brain study(ブレインスタディ)」を運営する企業

  • 23年の営業利益:106.8億ウォン(約11.4億円)
  • 24年の営業利益:130.1億ウォン(約13.9億円)

WeaversMINDの主な指標タイムライン

3.CLASS CARD(クラスカード) [もっと見る]

スマート単語帳サービス「CLASS CARD(クラスカード)」、サウンド英語学習プログラム「Class5(クラス5)」を運営する企業

  • 23年の営業利益:31.8億ウォン(約3.4億円)
  • 24年の営業利益:48.2億ウォン(約5.1億円)

CLASS CARDの主な指標タイムライン

[その他の急上昇カテゴリ:物流

1.AlgoLab(アルゴラボ)[もっと見る]

オンライン宅配サービスプラットフォーム「Algoquick(アルゴクイック)」およびバイク宅配サービス「GoBike(ゴーバイク)」を運営する企業

  • 23年の営業利益:8.6億ウォン(約9100万円)
  • 24年の営業利益:12.5億ウォン(約1.3億円)

AlgoLabの主な指標タイムライン

2.ASWEMAKE(アズウィメイク) [もっと見る]

地域のスーパーベースのオンラインスーパープラットフォーム「qmarket(キューマーケット)」を運営する企業

  • 23年の営業利益:0.3億ウォン(約320万円)
  • 24年の営業利益:10.8億ウォン(約1.15億円)

ASWEMAKEの主な指標タイムライン

INNOFORESTで営業利益データの他にも、さまざまな指標をまとめてご確認ください。

今日見てきた営業利益データは、単なる実績以上の意味を含んでいます。外的な成長が難しい環境の中でも、一部の産業群や企業は、内実つまった戦略で生存可能な収益構造を作り出しました。2024年に営業利益を実現した企業に心からお祝いのメッセージを送り、25年度上半期を過ぎる今、下半期にもさらに意味のある変化が続くことを期待します。

今後もINNOFORESTは営業利益データだけでなく、消費者取引、訪問者数、組織分析、投資フローなど多様なデータを通じてスタートアップの成長と進化を追っていく予定です。多層的な指標と共に、分析を読んでみたい方はINNOFORESTでご確認ください。よろしくお願いいたします。

原文:https://www.innoforest.co.kr/report/NS00000384

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