<出典:yna.co.kr>

去る1月、奈良県で日韓首脳会談が開催されました。昨年9月末、石破茂元首相が行った首脳会談から約3ヶ月、韓国慶州(キョンジュ)で行われたAPECから約2ヶ月ぶりの首脳会談となりました。今回首脳会談が行われた奈良県は、高市早苗首相本人の故郷でもあり、古代朝鮮半島と日本との長い交流の歴史を象徴する法隆寺を訪問するなどし、その意味を強めました。

今回の首脳会談で両国は消耗的な歴史問題を超え、激動する国際情勢の中で経済・安全保障及びAIをはじめとした先端技術分野への協力拡大に合意しました。グローバルAI覇権がアメリカと中国という二大勢力体制に再編される中、独自の言語構造と産業的特殊性、少子高齢化といった社会文化的特性も類似する韓国と日本がどのようにこの危機を克服するのか議論が急がれる時です。両国はその答えの一つをAX同盟(AI転換)に見出そうとしています。本稿では、両国の協力モデルに着目し、それが私たちの生活と産業にもたらす実質的な変化と機会について整理してみたいと思います。

<出典:wowtale.net>

日韓首脳会談の余熱は民間市場にも急速に広がっていきました。1月20日に東京で開催された「日韓AIスタートアップ・ミートアップデー」がその象徴でした。今回、両国企業はAXを最優先課題として共有したほか、韓国貿易協会と日本経済同友会は共同声明を通じてAI中心の産業インフラ構築のための強力な連帯意向を明らかにしました。これは、単純な技術交流を超え、両国が共同の産業エコシステムを構築するという宣言でした。

続いて再び政府省庁でも協力が本格化し、2月5日に東京で韓国外交部と日本外務省による「第1次日韓AI実務協議」が開催されました。AI分野においての外交部と外務省間の実務協議は、初めての試みでした。ここでは両国のAI政策とフィジカルAI(Physical AI)、G7会議で決定された広島AIプロセス(HAIP)などAI産業の全般を議論し、協力を強化することになりました。

政府と民間の両方がこのようにAX(AI転換)に集中する理由は何でしょうか?それは、従来のDX(デジタル変換)が紙の書類をデジタルへ移行する「記録方法の変化」であったのに対し、AXはAIがデータを分析し、意思決定を支援し、自ら業務を処理する「働き方の革新」を意味するからです。そして、それがAI以前と以後の生活を確実に変える転換点として認識されているからでしょう。

<出典:NHK>

だからでしょうか?最近では、日本の公共放送NHKでもメインニュースで異例的に韓国のAIスタートアップ事例を大きく取り上げ、日本社会にとってまだ馴染みの薄いAXという概念を定義し、「日本は韓国の事例を参考にすべきだ」と報じています。韓国政府が推進してきたAX政策と民間の実行力が日本国内で信頼できる「参考モデル」の一つとして浮上したことを示してくれるテーマです。

このように韓国と日本がAIを業務と日常生活に組み込もうとする理由は、単なる技術競争力を超え、両国が直面する社会文化的問題に対する現実的な解決策の一つとして注目されているからです。

<出典:KBS>

韓国の合計特殊出産率は5年前の時点で0.84、日本も1.33といずれも歴代最低値を更新しています。現在はさらに低下しています。また、日本は高齢者人口の割合が29%を超え、韓国は高齢社会への参入速度が世界最速の国となっています。生産年齢人口の急減は、もはや未来のシナリオではなく、体感できる程の現在の問題として顕在化しています。

これに対し、両国は実務協議を通じてAIをロボットや自律走行など物理的実体に組み込む「フィジカルAI」協力を最優先課題に掲げました。日本の精密機械のようなハードウェア競争力と、韓国のダイナミックなソフトウェア技術を融合し、新しい形態のデジタル労働力を創出するという戦略です。

イメージ作成:Gemini

また、近年AIが私たちの生活の隅々まで浸透する中、国家が自国のデータと文化的価値を反映して独自のAIインフラを構築する概念であるSoveregin(ソバリン)AIの重要性がこれまで以上に強調されています。NVIDIAのようなグローバルビッグテク企業も、自国語と自国文化を盛り込んだAIの重要性を強調することで一致しています。

特に、独自の言語体系を持つ韓国と日本の両国は、北米中心のAIモデルに依存した場合に生じうるデータ主権の喪失に対する懸念を共有しています。第一次日韓AI実務協議でグローバルAIガバナンス協力を協議文に明示したのは、言語構造と社会文化的親密度の高い両国が巨大覇権に左右されず、自分たちだけの価値観と産業データを守っていくという「技術的自主権」の宣言でもあります。これは、米・中二大勢力体制のはざまで両国が見出した、最も機転の利いた第三の道と解釈できるかもしれません。

法隆寺の瓦が長い年月を経てもその場にあり続けるように、「AI協力」という外交表現をきっかけにして、今後の韓日関係の土台はこれまでとは異なる次元で強固なものになるでしょう。それは、両国がそれぞれが取り組むべき課題をすでに正確に認識しており、その答えも互いの手にあるという事実を知っているからです。両国が単なる「隣国」という古い表現に終止符を打ち、互いの技術と市場が生存の支柱となる「戦略的パートナー」へ発展していく一つのきっかけとして、AI協力は今後、さらに評価されることになるでしょう。

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