コロナで変化した働き方のその後|ニュースから読み解く「韓国IT・スタートアップ業界トレンド」
ニュースから読み解く「韓国IT・スタートアップ業界トレンド」では、今、韓国のIT・スタートアップ業界では何が起きているのか、何がホットなのかを「いっき見」できるようにKORIT編集部がまとめるコーナーです。関連する過去の記事や、会社の記事に飛べるようになっているので、気になった情報は元記事からさらに詳しい情報をキャッチしてみてください!
韓国スタートアップは今、「人・人・人」 Vol.2
前回の記事は、IT人材不足や、役員レベルの人材の取り合いについてお届けしました。
📝韓国スタートアップは今、「人・人・人」|ニュースから読み解く「韓国IT・スタートアップ業界トレンド」
今回は、「コロナで変化した働き方のその後」に焦点を当てていきたいと思います。また、番外編として、「韓国・HRテック最前線」をお届けいたします。
2020年の新型コロナウイルスの流行により、ソーシャルディスタンスを余儀なくされ、全世界で行動や働き方を変えざるを得なくなりました。
しかし、韓国では5月からマスク原則不要、日本も十分な距離の確保が出来ていたり、ほとんど会話のないタイミングであればマスクはしなくてよいと呼びかけられたりと、これまでの厳しい対策に比べて、社会活動も重要視した対策に変わりつつありますよね。
「コロナで変化した働き方のその後」
そこで、ソーシャルディスタンスによって進んだ働き方の変化、「テレワーク」「ハイブリット勤務」「リモート会議」などは元に戻るのでしょうか…?
日本では、出社ベースに戻す会社、テレワークを維持する会社、さらに自由な働き方に移行する会社など様々な動きがありますが、「テレワーク継続は9割」というデータや、「コロナ後、完全出社は3割か」などのニュースが目立ち、やはりコロナによって変化した働き方は継続されていく流れのようです。
韓国ではどうでしょうか?韓国のIT企業、スタートアップ各社の様子を見てみましょう。
①韓国最大のインターネットサービス会社「NAVER」
- 職員が自由に選択する新しい勤務制「Connected Work」を導入
- チェ・スヨン代表「NAVERだけの文化を基に新しい勤務制を導入することになり、今後も『仕事の本質』に集中し、職員が最適な環境で業務に没入できる多様な方案を模索していく」
②韓国内メッセンジャーアプリ1位カカオトークを運営する「Kakao」
- 7月から「メタバース勤務制」を施行
- オンラインで可能なことはオンラインで行う方針
- 音声につないで、リアルタイムで接続しながら勤務
③韓国の代表的なプロップテック企業「Zipbang」
🦄ユニコーン企業
- オフライン事務所をなくして全面遠隔勤務を導入
- 自社開発した仮想オフィス「メタポリス」に本社を移転
- 「オフィス勤務と在宅勤務の長所を集めた仮想オフィスSomaを未来勤務環境の新たな基準として提示しようとグローバルローンチをすることになった」
- チャットや瞬間移動の機能はなく、アバター間の距離が近いと自動的に相手の顔と音声を確認することができ、オフラインに近い環境を提供
④AI物流プラットフォームを運営「FASSTO」
- ハイブリッド制度と時差出退勤制度を導入
- 勤務場所の制限をなくし、出退勤時間も7時から10時まで自由に選択
- 最高のチームプレイで同じ目標に向かって進む選手たちというワーク文化定着のため、オフィス空間を「グリーングラウンド(Green Ground)」と定め、部署間の区分のない自律座席制の導入および、リモート勤務のための個別装備支援金も支払う
⑤IT人材養成スタートアップ「CODE STATES」
- 全社員を対象に「スマートワーク」制度を導入(オフィス、リモート、ハイブリッドなど勤務先を自律的に選択)
- 役職員のための空間もすべてなし、代表も内部役職員と同様に個人執務室ではなく自律座席制を活用する予定
いまや日本も韓国も在宅勤務や、ハイブリット勤務がスタンダードになりつつあります。
また、この新しい勤務方法をコロナ渦における一次的なものでなく、維持していくと決めた会社では、「リモートワークの円滑化」を測っており、メタバースオフィスや、社内コミュニケーション機能の高度化など、次々と遠隔で働くための環境整備が進められている印象があります。
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「韓国・HRテック最前線」
日本でもHRテックのスタートアップがユニコーン企業になったりと話題ですよね。デジタル変換(DX)が進んでいない最後の分野ともよばれる「人事まわり」。クラウド化が進んでいることに加えて、やはりコロナによって非対面化が重要視されたことで、市場はさらに加速しています。
韓国でも同じ状況にあり、人材管理やミスマッチ防止などの業務効率化サービスを打ち出すHRテック系スタートアップがぞくぞくと頭角を現しています。その中でも今回は「キャリアに特化したHRテック」と「エンジニアに特化したHRテック」をご紹介いたします。
キャリアに特化したHRテック
韓国では、MZ世代(ミレニアム世代+Z世代)を中心に自分のキャリアを自分でマネジメントする、ということが一種のブームとなりつつあり、キャリアマネジメントに関するプラットフォームサービスが急成長しているようです。
①IT業界の社会人コミュニティ「Careerly(キャリアリー)」
キャリアマネジメントに特化したHRテック分野のスタートアップPUBLYが運営しており、「20~30歳代の社会人キャリアSNS 」として使用されています。自分の趣味や価値観、関心のある業界のキャリアに関するニュースなどを記録・共有したり、自分自身のポートフォリオを管理することができます。
②求人情報と求職者をAIでマッチング「WantedLab(ウォンテッド・ラボ)」
自社開発のAIシステムを活用し、求職者にマッチした求人情報をおすすめする機能が好評を得ているようです。求人情報が出ると、AIが事前に合格結果を予測してくれるそうで、合格率が高い募集をお知らせする機能もあります。その他、簡単な履歴書で、直接企業の人事担当者から面接の打診が受けられる機能なども備わっています。
③社会人の匿名コミュニティ「blind(ブラインド)」
大企業~中小企業までの企業に所属している現職者同士で、匿名で率直な話ができることが特徴です。他社のリアルな社会人ライフを共有できることが人気のようです。また、企業から転職の提案をする「スカウティング」のサービスが昨年オープンし話題となっています。
エンジニアに特化したHRテック
前回の記事のとおり、韓国でもIT人材の確保に各社苦戦している状況にあります。その流れからエンジニアに特化したHRテックサービスが話題となっています。
①情報技術(IT)専門キャリアプラットフォーム「Rallit(レリット)」
手数料0でコストを削減してエンジニア採用のサービスを利用できます。企業がRallitを通じ、求人広告を利用者が約90万人にもおよぶIT技術中心のオンライン講義プラットフォーム「inflearn(インフラーン)」に流すことができる機能が魅力です。また、事前の質問機能によって、書類選考の段階で応募者のスクリーニングを行うことで、採用期間の短縮も実現してくれるようです。
②grepp(グレップ)が運営するエンジニアキャリアプラットフォーム「Programmers(プログラマーズ)」
Programmers内のエンジニアの評価と採用を同時に行うサービス「Dev -Matching」では、コーディングや課題テストにおいて上位5%の成績を収めると「トッププログラマー」の認定バッチを受けることができ、このバッチを持ったエンジニアは入社時に支度金として100万ウォン(約10万5000円)の支給を受けることがきます。
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7月以降の韓国IT・スタートアップ業界トレンドも引き続きKORIT編集部よりお届けしていきます!
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