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「コンパッションがなければ、イノベーションは窒息する」|MIRAKLELETTER

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こんにちは!

シリコンバレーにいる特派員のイ・サンドクです。


こんにちは。先日、ソウル中央地方で異例の判決がありました。 「一人勤務」を強要され、仕事もきちんと与えられなかった社員がチーム長を相手に訴訟を起こし、チーム長に1000万ウォン(約101万円)の慰謝料の支給を命じたのです。韓国のアンケートではありませんが、51.1%が職場内でいじめられた経験があるという回答もありました。会社員にとって職場は家庭よりも長い時間を過ごす場所です。

 

一生にわたって少なくとも10万時間(4166日)を過ごすという研究もありました。ストレスや苦痛だらけの会社とは反対に、幸福感と思いやりのある会社は、社員一人ひとりの満足だけでなく、成果でも明らかに大きな違いを生み出すと思います。そこで、今日は社員の満足度を高めながら、成果も一緒に高めることができる、シリコンバレーの多くの企業が取り入れた「コンパッション(Compassion)」という経営技法について、紹介していこうと思います。それではすぐに始めましょう。


 「コンパッションがなければ、イノベーションは窒息する」

LinkedIn(リンクトイン)の会長が投じたメッセージ

 

写真をクリックでジェフさんの講演映像を見ることができます。 


 

コンパッション経営を積極的に取り入れた会社の例として、ジェフ・ワイナー会長が率いるLinkedInが挙げられます。ジェフ会長は、2008年の役職員が388人に過ぎない頃のLinkedInのCEOを務め、今日の従業員1万5000人、ユーザー数7億7000万人を抱える企業に引き上げた人物です。シリコンバレーでは、コンパッション経営で誰よりも有名です。

 

コンパッションを辞書で引くと、「同情」や「思いやり」などの言葉が出てくるでしょう。ぴったりの表現はありませんが…。おそらく? 「愛の実践」が適切だと思います。では、ジェフ会長の話を再構成してみましょう。

 

🙂リーダーシップについて言及することはありますか?

🧔 はい。今までリーダーシップはとても攻撃的で、社員を従わせるようにすることであると理解していました。実際、このようなリーダーシップは逆効果になることが多いのです。社員が持っているストレスを理解し、これを解決しようとするのが本当のリーダーシップだと思います。

 

🙂ん?慈善団体や宗教論理のようですね。

🧔いいえ。共感は他人の感情を理解することから始まります。そしてコンパッションは、その感情を感じることを超えて行動に移すことを意味します。会社は常に集団的な思考をする存在です。そのため、少数の見解は常に抑えられるようになり、これを放置すれば結局会社の革新は窒息します。

 

😲コンパッションをすると効率が高まるという意味ですね。

🧔 はい、そうです。社員たちは協力的な環境でのみ安定感を感じ、相手の意見を尊重します。また、意見の不一致があっても、もっと仕事に参加するようになります。より多くの参加は、より革新的なアイデアにつながります。

 

🤔 このようなことについてどこで学びましたか?

🧔ある日、出張先で眠れず、PBSドキュメンタリーである『分裂した教室(A Class Divided)』を見てはっとしました。アイオワにある3年生の教師であるジェーン・エリオットに関する内容なのですが、マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された後、一つの社会的実験をしました。

 

🤫どのような実験ですか?

🧔学生を青い目と茶色の目を持つ2つのグループに分けました。そして一日は青い目のグループが優秀だと教え、昼食も先に食べさせる特権を与え、一方で、茶色の目を持つ学生たちは劣っていると伝えたのです。そしてその翌日は役割を変えました。今度は茶色の目を持つ子供たちが優等なグループになったのです。そしてこれを繰り返す実験をしました。

 

😮結果は?

🧔 生徒たちは無視された経験をしたことで、無視されるというのが良くないことであると自然に知ることになりました。エリオット先生は、社会の縮図を教室に作り、これを生徒自身に気づかせるコンパクト実験をしたのです。学生たちを追跡してみると、大人になっても誰よりも他人に対する理解度が高かったそうです。

 

🤔 このようにコンパッションを教えることができるのですね。

🧔 そうなんです!ドキュメンタリーで見たように、コンパッションは誰でも教えることができるし、学ぶことができます。

 

🤔 ところで、LinkedInとはどんな関係が?

🧔 関係あります。2008年、LinkedInにCEOとして加わる前日、創業者のリード・ホフマンに電話をかけました。初めてだから聞いてみました。どうすればいいですかと。彼はとても簡単に言ったのです。「簡単です。これからボールはあなたです」 そして彼は出張の日程を組み、8週間も事務所を開けました。まるでこれからリーダーシップを取るのはあなたですとすべての役員に対して伝えたようなものです。私はコンパッションの最初の条件が「観察」であることを学びました。

 

🤔 ところで、製品とは関係ないじゃないですか。

🧔いいえ。LinkedInのビジョンにはコンパッションが含まれているんです。LinkedInはソーシャルネットワークだけでなく、転職の推薦もします。実際、経験がない人やネットワークが不足している人は、助けを得る機会があまりありません。そこでキャリアアドバイス機能を開発してメンターを集めたのですが、わずか数ヶ月で100万人に達する人々が集まったんです。経営ビジョンを製品にする結果物です。

 

 




🔎ズーム

ジェフ会長はコンパッションを行うために何よりも他人の立場から見てみるように勧めました。他人の考えと自分の考えが余りにも異なるとき、通常このような考えをするそうです。 「うわ、あの人は本当に何も分かってない!」 もしくは、「私が知らないと思ってる?何か隠している魂胆があるはずだ!」 こういう時は、相手がなぜそのような結論に到達するようになったのかをまず考えてみましょう。このような経験を十分に積んだリーダーは、誰かをコーチングすることができ、チームの協業を導くことができます。 (再構成には、ジェフ会長のLinkedInジェフ会長のワットンスクール講演HVOサーチ研究PBSドキュメンタリーなどを参照しました。)


 

「観察、共感、行動をしてください」

ミシガン大学経営学教授のアドバイス

 

ミシガン大学教授のモニカ・ウォーラインとジェーン・ダートン 

 コンパッション経営はすでに経営技法でまとめられた状態です。米国ミシガン大学経営大学院教授のモニカ・ウォーラインさんとジェーン・ダートンさんは、数多くの企業と社員にインタビューしました。その結果として、「コンパッション経営」という本を出しました。かなり短く要約してみます。まずコンパッションは幸福や感謝とは少し異なる概念です。誰かの苦しみや暗い面を和らげてくれるのがまさにコンパッションです。なので「観察」→「共感」→「行動」が必要です。

 

大多数の人は昇進するために、誰かを蹴落とそうとする組織よりもお互いを見守る組織を好むでしょう。コンパッションマネジメントはここから出発します。例えば、ミラさんがいるとしましょう。ミラさんは先日、納得できない人事発令を受けました。金曜日の帰り頃、何の通知もなく、「組織が統合されたので、明日から別の場所に転勤に行くように」という発令です。とても大変な出来事ですが、前例もなく、誰に聞けばいいかもわからないので困り果てています。

 

実は会社で発令は本当に本当に必要不可欠なことです。問題は、社員の立場に立つ会社もあり、そうでない会社もあるということです。コンパッション経営をするなら、社員が十分にストレスを抱える可能性があると考え、これを緩和する措置を同時に行います。大きく4つの方法が使えます。

 

  • 適切なタイミングをとって
  • 尊厳を優先する企業文化を作り
  • (会社との)断絶感を最小限に抑える策を講じ
  • 従業員を尊重するイベントを開きます。

 

そのためコンパッション企業なら退勤頃に人事を出さず、事前になぜこのような人事が必要だったのか説明をし、これまでお疲れ様でしたということで小さなプレゼントやイベントでねぎらうのです。ウォールライン教授は、コンパッション経営はコストをかけずに、大きな効果が得られると強調しました。しかし、すべての組織が簡単にこのような技術を使うことができるわけではないそうです。

 

問題は規律が強すぎる組織です。こんな時はコンパッションが作動しにくいそうです。 「言っても聞き入れないし、ややもすればやる気のない人」という認識だけを植えつけるかもしれないので、むしろ「言わないようにしよう」というふうに考えるのです。なので上にはCEO、隣には仲間、さらには他の部署の従業員まで、同僚の困難を推し測ることができるように文化を構築することが重要です。一部の企業は、コンパッション・アーキテクト(compassion architect)を別に置いて企業文化を作ろうと試みたりもしています。

 

🔎ズーム

コンパッション経営は相手の苦痛を理解し、できるだけ広く解釈してあげることから始まります。例えば「部長、明日妻が出産をしそうなので、今日休暇ちょっと…」「おい、誰が生むんだ」 これはいけません。共感をして行動に出るのがコンパション!組織がお互いに持ちつ持たれつの関係でいることで、当然、業務効率がより高くなるでしょう。

 


ジェフ会長は30歳の時にダライ・ラマの幸福論を読んで多くのことを感じたそうです。私たちみんなが、共感する能力とコンパション(思いやり)する能力がありますが、この2つは異なるものだというのです。しばらく山道を歩くと想像してみてください。少し歩いていると、中腹で岩に押しつぶされている人に出会いました。共感はその人の苦痛を一緒に感じることであり、コンパッションはここからさらに進み、岩をどかして、その人の苦痛を和らげる行動だといいます。言い換えれば、コンパッションは共感から一歩進み、相手の視点で一度世界を見て、行動に移すということです。

 

人生で、少なくとも10万時間を過ごす職場という空間で、コンパッションはなくてはならない徳のようです。またコンパッションは職場だけでなく、私たちのあちこちに必要な人生の原動力です。 「人間関係は時間が経つにつれて自然に深くなるのではない。行動を取らなければ永遠にその場にとどまるだけだ。共感の決定的な瞬間は短いが強烈だ」という『瞬間のちから』(著者:チップ・ハース&ダン・ハース)の名言のように今日一日でも周囲の方々を別の視線で見てみてはいかがでしょうか?それではまたお会いしましょう。

心を込めて

イ・サンドクより

原文:"사랑 보다 더 큰 힘은 없다" (stibee.com) 



 




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