輸出するために作ったサービスではなかった。日本現場の要求から始まった。
Enclueのパク・ジョンファ技術理事は、WEEDYの始まりについてこう語る。
Enclueは日本のEコマース市場で長年事業を行ってきた会社だ。Qoo10、Amazon、楽天といった現地プラットフォームに韓国化粧品を登録・流通させ、物流まで代行してきた。そのうちブランド各社がインフルエンサーマーケティングを求めるようになった。最初は社員3、4名がSNSを調べてマイクロインフルエンサーを1人ずつ手作業で選定し、製品を送っていた。要望が続けて入ってくるうちに、「いっそシステムを作ってしまおう」という結論に至り、日本版インフルエンサーマーケティングプラットフォームWEEDYが生まれた。
「『こういうプラットフォームがあればいいな』ではなく、こうした要望が続いているからシステム化しよう。という発想でした」
パク理事は17年間システムエンジニアとして働き、企業のITインフラを構築・運営してきた技術者だ。その後、ファッションプラットフォーム構築を経てコマースへと関心を広げ、エンクルの日本Eコマース経験と自身のプラットフォーム運営経験を組み合わせてWEEDYを企画した。
同社によると、WEEDYは商用化初期の段階で、日本国内の登録会員約2,000人を獲得した。別途確保しているインフルエンサーを含めると、約6,000人規模のネットワークを形成している。これまでに広告主43社が計139件のキャンペーンを実施し、約1,400人のインフルエンサーが参加した。広告主の約半数がキャンペーンに再び参加しているという。
WEEDYは、インフルエンサーマーケティングにおいて従来、手作業で行われていた業務を一つのプラットフォームに集約した。キャンペーンの登録からインフルエンサーの募集・選定、コンテンツ管理、成果確認、レポート作成までを一貫して管理できる。中でも、広告主から特に好評なのがレポート機能だ。
「手動でやっていた頃は、レポートも一つ一つワードで作成していました。インフルエンサーに製品のPRを任せると投稿が上がってきますが、いいねの増減や、コメントのチェック等、蓄積され続ける反応のすべてを人が追うことはできません。そこで、私たちはデータを毎日プログラムで取り込み、時系列で表示して、1枚のレポートにまとめられるようにしました。また、AIで反応を分析・要約してレポートに盛り込みます。こういった機能に関して、利用企業の満足度は高いです」
測定には明確な限界もある。Enclueが運営するQoo10・Amazonのオンラインショップに掲載された商品はキャンペーン後の購入・売り上げまで追跡できるが、オフラインや他のマーケットに出た販売は追いにくいと彼は話す。
AIはインフルエンサーの選別で特に活用されている。1つのキャンペーンに数百名が応募すると、人がすべて確認することは難しいためだ。
「キャンペーンが1つ上がると数百名が応募します。ですが、人がそれを全て確認することはできません。AIがインフルエンサーの投稿全体を分析して、その製品のPRに合う人かどうか、最上・上・中・下の中で等級を付けます。そこから絞り込まれたものを社員がもう一度確認し、AIが最終レポートとしてをまとめます。AIを利用しながらも、すべての過程で人の検収は入ります」

日本向けインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「WEEDY」のサービス画面とシーディングプロセス/資料提供:エンクル
CSは依然として人が担当する。LINE(ライン)で入ってくる問い合わせへの対応だ。配送がいつ行われるか、商品が紛失していないかといった顧客サービスは、まだ人の役割だという。
競争力を尋ねると、彼は日本での経験を前面に挙げた。韓国のブランド各社が最も難しいと感じているのは、現地のインフルエンサーを見つけて接触し、起用することだが、エンクルは韓国語と日本語が可能な人材を抱え、運営代行で積み上げたシーディング経験が豊富だという説明だ。すでに日本で運営経験とデータを蓄積している点も、現地の信頼を得るのに役立つとみている。
収益は手数料ベースだ。ただしWEEDYが目指す最終的な形はインフルエンサーマーケティングのサービス型ソフトウェア(SaaS)だ。広告主向けページはすでに作られており、サブスクリプション型モデルを付加するのは難しくないというのが彼の判断だ。
日本のインフルエンサーを扱う中で確認した現地の特性もある。
日本でインフルエンサープールを広げるには、現地の信頼を積み上げる過程も必要だ。初めて接触するサービスでは得に反応を得にくく、Enclueは日本国内の認知度と検索露出を高め、現地法人の設立も準備している。信頼が積み上がればインフルエンサーの確保も容易になるとみている。
東京を選んだ理由は、主要ブランドや流通会社、広告・マーケティング企業が集まっており、事業モデルを直接検証するのに適していると判断したためだ。オンラインサービスではあるが、初期は現地企業の担当者に直接会って要求を確認する過程が重要だという判断だ。
現地で最も求められているのはバイヤー発掘だ。
「私たちはバイヤー発掘をしたいんです。日本企業に直接会って、私たちがやってきたことが現地でも通用するか検証も必要です。日本法人も準備中なので、それを実際の事業拡大につなげようとしているんです」
日本の後には他国への進出も念頭に置いている。コードは最初からグローバル拡張を考慮して作成したという説明だ。次の候補地はベトナムだ。現在準備中の現地事業はオフライン流通中心だが、その展示機会を通じてWEEDYベトナム版も併せて広める計画だという。
簡単な市場ではない。パク理事は韓国内プラットフォーム「レビュー」の日本市場撤退事例を挙げ、韓国法人でありながらも日本に進出したマーケティング企業が思ったより多いと語った。強みとしては開発スピードを挙げた。
「私たちの長所は素早い企画、素早い機能開発です。トレンドを追う機能を素早く付加して、市場シェアを積極的に広げていきたいです」
パク理事は広告主とインフルエンサーのうち、広告主に重きを置いていくと話した。ただし運営の上でより難しいのはインフルエンサー側だ。1つのキャンペーンに数百名が応募しても、その中からキャンペーンに合う人を絞り込むことは容易ではない。プールを広げるだけでは不十分だ。キャンペーンに合うインフルエンサーを選び出すことも課題だ。
「日本にはマイクロインフルエンサーが思ったより非常に多いので、そういったインフルエンサープールをひたすらに増やしたいです。」
<画像=Enclueパク・ジョンファ技術理事/©Platum>
