中国ITのガリバー、Tencent(テンセント)が、SMエンターテインメントの株式取得を確定し、東アジアのコンテンツ市場に及ぼす「チャイナマネー」の影響力に関心が高まっている。
コンテンツ業界によると、Tencentをはじめとする中国の大型資本は、過去10年余り、東アジアの制作市場全般にわたって影響力を持続的に拡大してきた。特に韓国のコンテンツ産業はポータルとゲームを皮切りに、最近はKポップまで中国資本の影響下に置かれている。
TencentはKakao(カカオ)の初期投資家として参加し、現在まで「MAXIMO PTE.LTD.」名義でKakaoの株式5.95%を保有しており、子会社であるkakaogames(カカオゲームズ)も3.89%の株式を持っている。また、netmarble(ネットマーブル、漢江投資有限公司、17.52%)、KRAFTON(クラフトーン、13.5%)、SHIFTUP(シフトアップ、ACEVILLE PTE.LTD.、34.85%)など、韓国の主要ゲーム会社の株主として参加している。
Kポップ市場でもTencentの動きが目立つ。最近、Tencentミュージック香港法人を通じてHYBE(ハイブ)が保有していたSMエンターテインメントの株式9.66%を取得したのに続き、2014年以降、着実に投資してきたYGエンターテイメント(Tencentモビリティ、4.3%)とグローバルパートナーシップを結んでいるJYPエンターテインメントとの協力も強化している。
こうした動きは日本市場でも続いている。2020年には人気ゲーム会社MARVRUS(マーベラス)の株式20.09%を約541億ウォン(約56億4,300万円)で取得して最大株主となり、2021年にはガンダムとエヴァンゲリオンシリーズで有名な日本の大手メディアグループ・KADOKAWA(かどかわ)の株式6.86%(約3,454億ウォン、約360億4,900万円)を確保して主要株主になった。2023年には日本のビジュアルノベルパブリッシャーであるビジュアルアーツの全株式を取得して存在感を拡大した。
業界はTencentの投資活動について肯定、否定の両面から捉えている。肯定的な側面では、中国の巨大な資本と市場を活用して優れたコンテンツIPをグローバル市場に流通できるという期待がある。特に「限韓令」以降低迷していたKコンテンツの中国進出が再び活発になるとの見方も出ている。

写真=Tencentの公式ホームページ
しかし、懸念もある。政治的な変動によって市場が急変する可能性がある上、ドラマ「朝鮮駆魔師」をめぐる事態や中国資本が介入した制作会社の事例で見られるように、収益に重きを置くあまり、コンテンツの多様性や産業エコシステムの自立基盤が弱まる可能性があるとの指摘が出ている。
実際、コンテンツ産業界では、Tencentをはじめとする中国資本の投資が、鈍化したKコンテンツ市場の新たな成長動力になり得るというのは、おおむね共感されている雰囲気だ。だが、それと同じくらい、業界自らの競争力強化、著作権(IP)確保、投資条件に対する綿密な検討なども重要な課題として浮上している。
あるコンテンツ業界の専門家は「中国資本のコンテンツ分野への投資は、既に市場成長を牽引(けんいん)してきた側面がある」とした上で、「最近のIP確保競争が深化し、中国資本の影響力も併せて大きくなっている。韓国企業は技術力と独自のIP開発能力を育てなければならず、投資条件を慎重に検討し、不利な契約に振り回さないよう、注意しなければならない」と強調した。
<写真=Tencent公式ホームページより>
原文:https://m.etnews.com/20250529000336