韓国の温度計は前例のない領域に入った。慶尚南道梁山は8月2日、日中の気温が42.5度まで急上昇し、韓国内の気象観測史上最高気温を記録した。122年の気象観測史で初めて経験する気温だ。ソウルをはじめとする首都圏でも連日猛暑が続いている。
42度時代が変えているのはエアコンの販売量だけではない。部屋全体を冷やしていた冷房の単位が、人一人、衣服一着、建物の屋根へと分かれ始めている。暑さを避けられない場合に生じる経済的損失までを気象データで補償する商品も登場した。猛暑に対応する「気候適応」が新たな製品・サービス市場を生み出し始めているのだ。
冷房需要の増加自体は構造的な現象だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、空間冷房は建物部門で最も速く増加しているエネルギー需要だ。現行の政策が続く場合、2035年まで年平均で約4%増加する見通しだ。今後も記録的な暑さが更新されていく場合、冷房需要はこれ以上に大きくなる可能性がある。
部屋の代わりに人を冷やす
冷房機器において最も目立つ変化は「パーソナル冷房」だ。家やオフィス全体を冷やす代わりに、人の体の周辺だけを冷やす方式だ。
日本で建設労働者や配達員などが着用するファン付き冷却服が代表例だ。衣服の腰部分などに取り付けられた小型ファンが外部の空気を服の中に引き込み、汗の蒸発を促進し、気化熱で体を冷やす。
日本で「空調服」という名称で知られるこの製品は、元Sony(ソニー)エンジニアの市谷弘 氏が開発した。1990年代に東南アジアを訪れた同氏は、経済成長とともにエアコン使用が急増すればエネルギー消費も急増すると考え、「空間全体ではなく人一人だけを冷やせないか」という発想から開発を始めた。1999年に最初の試作品を作り、2004年に製品を市場に投入した。2016年の販売量は36万着まで増えた。以降、作業服だけでなくアウトドア・一般衣料ブランドと協業した製品も登場した。

写真=sony
服の中に風を送るレベルを超え、体に冷却装置を装着する市場も拡大している。
Sonyの社内スタートアップ育成プログラムから始まった「REON POCKET」は、首の後ろに装置を密着させ、接触部位を直接冷却または加熱する。室内の空気を下げるエアコンとは異なり、一人の熱的快適性を調整する方式だ。2020年にSony内部の新事業として販売を開始し、事業拡大のため2023年にSony Thermo Technologyが設立された。
2024年にはREON事業を引き継ぎ、別法人として運営が始まった。今年4月には最新製品「REON POCKET PRO Plus」も発売された。同社によると、既存モデルより冷却性能を最大20%高め、冷却板の表面温度をさらに最大2度下げた。専用センサーを通じて周辺の温度と湿度、ユーザーの動きを検知して冷却強度を調整する。
スタートアップも同じ市場を狙う。米MITから始まったEmbr Labs(エンバーラボ)は、手首に装着する冷・温ウェアラブル「Embr Wave 2」を販売している。手首の内側に冷却や温熱刺激を繰り返し伝え、ユーザーが感じる熱的な不快感を減らす方式だ。現在の販売価格は299ドルだ。同社はこれまで20万人以上が製品を使用したと明らかにしている。
これらの装置は、エアコンのように周辺の空気や人体の深部体温そのものを下げる製品ではない。REON POCKETは皮膚と接触する部位を冷却し、Embr Waveは局所的な温度刺激を通じて体感する快適性を変える。熱中症を防ぐ医療機器というより、「全員に同じ室内温度」の代わりに個人に必要な温度を提供しようとする製品だ。
冷房がもはや建物に固定された設備だけを意味しなくなったわけだ。服を着て、首にかけて、手首に着ける消費財へと冷房が移動している。

写真=SkyCool Systems
屋根自体をエアコンに
人一人を冷やすのとは反対方向のアプローチもある。エアコンをより強く動かす代わりに、そもそも建物が熱を溜め込まないようにする方式だ。
米スタートアップSkyCool Systems(スカイクールシステムズ)はスタンフォード大学の研究から始まった。創業者らは太陽光を反射しながら、建物が持つ熱を特定の赤外線波長で空へ放出する「昼間放射冷却」技術を研究した。研究陣は2016年頃に会社を設立し、この技術の商用化に取り組んだ。
原理は、日光の下にある物体が熱くなる過程を逆に利用することに近い。太陽光は最大限反射し、表面が持つ熱は大気が吸収しにくい波長で放出する。放射冷却表面自体には圧縮機や冷媒が必要ない。
SkyCoolは現在この技術を屋根材とパネル製品として販売する。「SkyCool Roof」は建物の屋根が受ける太陽熱を減らして冷房負荷を下げ、別のパネルは冷凍・空調設備が持つ熱を外部へ放出するのに活用する。同社によると、実際の適用現場は30カ所を超えた。
このアプローチの意味は、エアコンの性能競争とは少し異なる。室内に入った熱をより多くの電力で排出する前に、建物が吸収する熱そのものを減らすということだ。既存の冷房設備を代替するというより、エアコンがすべき仕事を減らす技術に近い。気候適応と温室効果ガス削減の境界もこの点で重なる。猛暑から建物を保護すると同時に、冷房に必要な電力自体を下げられるためだ。
暑さで仕事ができなければ保険金を
猛暑に適応する方法は必ずしも体や建物を冷やすことだけではない。どれほど技術を適用しても避けられない被害を経済的に補償する市場も生まれている。
韓国内では損害保険協会と韓国気象産業技術院が7月、「気候保険総合ポータル」の構築に着手した。気象庁の気象気候データと保険情報を連携させ、指数型気候保険の補償条件の充足状況を自動判定し、保険会社の補償や新商品開発に活用するプラットフォームだ。
指数型保険は一般的な保険のように被害規模を一つ一つ調査した後にお金を支払うわけではない。気温や降水量、風速といった事前に定めた指標が一定基準を超えると、約束した金額を支払う。気象データそのものが保険金を作動させる一種のスイッチになるということだ。
すでに猛暑を条件にお金が支払われる実際の事例も生まれた。済州道は7月下旬から公共建設現場の日雇い労働者を対象に、全国初の指数型気候保険を実施した。猛暑により建設現場の作業が中断される場合、気象庁の猛暑重大警報の発令と現場作業の中止状況を基準に、所得減少分の一部を補填する。労働者が別途、猛暑によってどれほどの損害を受けたかを証明する必要はない。
冷房技術で暑さを避けられないなら、暑さによって発生した経済的損失を補填する方式で、適応の範囲が広がっているわけだ。

画像=気象庁
エアコン1台から「分散型冷房」へ
猛暑が作る新たな市場の共通点は、冷房の単位が小さくなっている点にある。
以前は暑ければ空間全体を冷やすことが基本的な解決策だった。今は服の中の空気だけを動かし、首の後ろや手首だけを冷やす。建物全体を冷やす前に屋根が熱を吸収しないようにし、それでも避けられない猛暑被害には気象データを基準に保険金を支払う。
この変化の背後にはエネルギー問題がある。猛暑が深刻化するほどエアコンの普及と使用時間は増えるが、すべての空間を継続的に冷却するには膨大な電力とコストが必要だ。そのため「どれだけ強く冷やすか」だけでなく、「必要な場所だけをどう冷やすか」という問いが新たな事業機会になっている。
42度時代が一時的な記録で終わらないなら、冷房はもはやエアコン製造会社の領域だけに留まらない。衣服やウェアラブルを作るスタートアップ、屋根材を開発する気候テック企業、気象データを利用する保険会社まで市場に参入している。
空間全体を冷やしていた冷房は、人・表面・経済的リスクをそれぞれ狙う方式に分かれつつある。猛暑が日常になるほど、「どれだけ冷やせるか」より「どこを、誰を、どれだけ効率的に冷やすか」が冷房市場の新たな競争基準になっている。

