Kビューティー市場の最終勝者は誰か

1.上場美容企業の2025年の成果
この一年、最も注目を集めた産業の一つは、間違いなく美容分野でした。多様な韓流コンテンツが世界へと広がったことに加え、為替の高止まりが続いたことも追い風となり、同分野は年間を通して高い関心を集めました。関税庁の統計によれば、1〜3四半期の化粧品輸出額は前年同期比15.4%増の85億2,000万ドル(約1兆3,400億円)に達し、同期間として過去最高を記録しました。昨年も過去最高の輸出実績を記録しており、毎年記録を塗り替える力強い成長が続いています。さらに、基礎化粧品だけでなく、日焼け止めや口紅、洗顔フォーム、香水など、幅広い品目で輸出が伸びた点も特徴です。
2025年は韓流、為替、世界的需要という三つの要因が重なり、美容品の輸出は好調に推移したと言えるでしょう。では、韓国の上場美容企業の株価は上昇しているのでしょうか。

今年、KOSPI・KOSDAQの両指数がいずれも予想を上回る上昇を記録したにもかかわらず、代表的な美容企業の株価は期待ほど伸びませんでした。上半期には市場の期待感を背景に一時上昇する場面もありましたが、下半期は調整局面が続いています。11月25日時点で主要化粧品企業をまとめたETF「TIGER化粧品」は年初比29.29%の上昇にとどまり、同期間に60.29%上昇したKOSPI指数と比べると差が目立ちます。KOSDAQ上場の美容企業も、11月末時点ではおおむね横ばいの動きとなっています。その中で、SILICON2(シリコンツー)はKビューティー競争の恩恵を受け、比較的大きな上昇幅を示しています。

こうした中、KOSPI市場でひときわ投資家の視線を集めた企業が2社あります。昨年2月に上場したAPR(エーピーアール)と、今年5月に上場したd’Alba Global(ダルバグローバル)です。APRは通年で株価が急伸し、d’Alba Globalも上場段階から投資家の関心を集め、11月末時点でも高い評価倍率を維持しています。2024年末業績を基準に今年の株価推移を反映したPSR・PERバンドを見ると、APR、SILICON2、d’Alba Globalが市場から相対的に高い評価を受けていることが確認できます。


売上高や利益規模がすでに成熟段階に入っているLG H&H(LG生活健康)、AMOREPACIFIC(アモーレパシフィック)、HK Kolmar(韓国コルマー)、COSMAX(コスマックス)といった従来の美容大手に比べ、APR、SILICON2、d’Alba Globalは、3,000億ウォン(約322億円)から7,000億ウォン(約752億円)規模の比較的小さい売上高でありながら、市場の期待は格段に高い水準にあります。これは企業価値評価指標であるPSRバンドにはっきりと表れており、APRは1.4〜5.1倍のレンジで推移し、高い評価倍率を維持しています。さらに、当期純利益ベースでは、従来大手と同水準のPERバンドを形成していることから、APRが売上高に対して非常に高い利益率を確保していることが読み取れます。SILICON2もPSR3.1〜5.4倍を示しましたが、PERは40倍未満にとどまりました。これは売上に対する利益率の高さが評価されていることを示しています。
一方、最も高い期待を集めたd’Alba GlobalはPSR4.5〜8.9倍とさらに高い水準を形成し、PERは一時177倍まで急上昇しました。これにより、市場では過熱感を指摘する声も上がりました。総合すれば、市場は新興企業の将来的な急拡大余地を積極的に株価へ反映していると解釈できます。世界的な化粧品需要の拡大を追い風に、一定規模の売上・利益を確保しつつ高成長を持続し、海外市場への浸透力を備えた企業に資金と関心が集中している状況といえるでしょう。

実際、主要な上場美容企業の業績を振り返ると、業界環境の改善を追い風に、2024年は多くの企業が前年を上回る売上・営業利益の成長を達成していることが分かります。特にAMOREPACIFICような大手企業は、営業外収益を除いた本業ベースでも収益性の改善が見られました。
また、HK KolmarやCOSMAXといったODM企業は、技術力とインディーブランドのグローバル需要拡大を背景に、高い利益成長を実現しています。それにもかかわらず、APR、d’Alba Global、Silicon2といった比較的新しい上場企業や、売上高3,000億〜7,000億ウォン規模の企業が、実績を上回る評価倍率を与えられている事実は、市場が捉える「ビューティー産業の成功モデル」が根本的に変化していることを示唆しています。
従来はブランド力や垂直統合型モデル、オフライン流通支配力が競争優位の源泉でした。しかし現在は、産業構造自体が新たな要因によって急速に書き換えられつつあります。
第一の要因は、デジタルマーケティング環境と消費者の情報接触行動の急速な変化と複雑化です。消費者はInstagramやTikTokを通じて情報を取得し、そのまま購買判断に結び付ける傾向を強めています。これにより、強いファン基盤と拡散力を持つインディーブランドが短期間で成長できる土壌が形成されました。加えて、そのスピードと複雑性は過去とは比較にならないほど深化しています。特定の成分やテクスチャー、ビューティーチャレンジ動画などは短期間で流行と終息を繰り返し、企業はほぼリアルタイムで市場の声を追い続けなければなりません。
さらに、著名インフルエンサー一人に頼る時代は終わりを迎えつつあります。多数のマイクロ/ナノインフルエンサー、一般消費者のレビュー、ライブコマース、アルゴリズム型フィードなどが複合的に作用し、購買意思決定に至るまでのプロセスはより高度化しています。このような環境下ではマーケティング費用の増加は避けられず、ROI最大化のためにはターゲティング精度、コンテンツの質、実行スピードのすべてで高水準が求められています。
Kビューティーの新興勢として注目されるAPRは、トレンド対応を最優先課題と位置付け、積極的なマーケティング投資を行っています。2024年は売上高に占める広告費と販売手数料の合計が30%を超えたとされ、時期によっては製造原価よりもマーケティング費の方が大きい割合を占めたこともありました。一方、大規模組織を持つ総合化粧品企業は、コスト管理や社内承認プロセスの複雑さから、意思決定に時間を要する傾向があります。商品企画や予算承認、マーケティング方針の確定までのプロセスが、超短期化するトレンドのスピードに追いつかず、効率面で不利に働くケースがあると指摘されています。その点、インディーブランドは組織が小さく意思決定もシンプルであるため、機動力を武器に急速な成長を遂げていると分析されています。
第二の要因は、化粧品ODMの進化による参入障壁の低下です。同時に、ブランディングとマーケティングの分野では機能分化と専門化が進展しています。ODM企業の成長と化粧品製造エコシステムの整備が進んだ結果、小規模スタートアップであっても自社生産設備を持たずに、高品質かつ革新的な製品を企画・発売できる環境がすでに確立されています。実際、米国でも化粧品ブランドの創業コストは、かつて約2,000万ドル(約32億円)規模を要したのに対し、現在では約2,700万ウォン(約290万円)水準まで大幅に低下したとされており、起業のハードルが劇的に下がっていることがうかがえます。
これまでは、研究開発から製造、ブランディングまでを一社で完結させることが強みとされてきました。しかし近年は、研究開発・製造と、ブランディング・マーケティングの領域が分化し、より機動力の高い企業が成果を上げる構図へと変化しています。経営に絶対的な正解はありませんが、こうした美容産業の構造変化は、韓国化粧品の輸出構成にも明確に表れています。世界市場におけるインディーブランドの影響力拡大を背景に、韓国の化粧品輸出額に占める中小企業の比率は、2022年の55%から2024年には68.7%へと大きく上昇し、Kビューティーの海外展開を牽引しています。これに呼応する形で、AmazonやAliExpressといったECプラットフォームもKビューティー専任組織を設置するなど、韓国ビューティー産業の国際展開は急速に進んでいます。
2.非上場美容企業の世界市場での躍進
革新の森のデータを分析した結果、最近注目を集めている非上場の美容企業は、上場企業と比べて明らかに高い売上高および当期純利益の成長率を記録しており、美容産業の新たな主役として存在感を高めていることが分かりました。中には売上や利益が2~3倍以上に拡大する高成長企業も少なくなく、美容産業の成長スピードが、上場市場よりもむしろ非上場市場でより顕著に現れていることを示しています。

こうした高成長企業の代表例として挙げられるのが、The Founders(ザ ファウンダーズ)です。非上場企業の中でも圧倒的な成長スピードを見せており、2023年に1,432億ウォン(約153億円)だった売上は、2024年には4,000億ウォン(約427億円)台に乗り、今年は約7,000億ウォン(約757億円)に達する見込みです。
特に注目すべきは、売上の約90%が海外で発生している点です。2019年にローンチしたAnua、YUSE(ユズ)、FROM LABS(フロムラボ)といった主力ブランドがグローバル市場で定着したことで、2021年に300億ウォン(約32億円)だった売上は、今年には7,000億ウォンへと約23倍に拡大する見通しです。営業利益も2021年の79億ウォン(約8億円)から昨年は1,456億ウォン(約155億円)へと急増しており、収益性の面でも目覚ましい成長を遂げています。これまで外部投資を受けることなく、共同創業者が株式の100%を維持している点も注目に値します。革新の森の消費者データによると、3カ月以内の再購入率は21.4%に達しており、消費者取引額も着実な右肩上がりの傾向を示しています。興味深いのは顧客層の違いです。韓国の訪問者では20代以下が32%を占めていますが、実際の購入者を見ると、10代の子どもを持つ40代女性が30%に達しています。このことから、The Foundersは若年層、とりわけ10代からも高い支持を集めていると推察されます。

The Foundersの消費者の性別・年齢・家族構成
同社の成長で特に注目されるのは、美容業界での長年の経験ではなく、データ分析と経営戦略を軸に市場へアプローチしてきた点です。共同代表のイ・ソンヒョン氏とイ・チャンジュ氏は、ソウル大学の同窓生で、2017年にブランドビルダー企業The Foundersを立ち上げました。設立後はコンサルティングファーム出身の人材を多数迎え入れ、商品企画からマーケティングまでをデータベースで徹底管理しています。顧客レビューや再購入率、SNSの反応などの分析結果を製品改善に迅速に反映できる点が同社の強みです。さらにマーケティング戦略では、TikTokやAmazonレビューといったショート動画コンテンツ・EC指標を中心に最適化を行い、世界各地のオン・オフライン流通網を通じて販売網を急速に広げながら成長を続けています。
現在、未上場の美容企業の中で最も強い影響力を持つ企業として挙げられるのが、Goodai Global(グダイグローバル)です。2019年にBEAUTY OF JOSEON(朝鮮美女)を買収したことをきっかけにブランド事業を本格化させ、このブランドが米国や日本市場で爆発的な人気を獲得したことが、同社の成長の大きな原動力となりました。
特に、Relief Sun(米由来の日焼け止め)は、Amazonの日焼け止めカテゴリーで1位を獲得し、同社の優れたグローバルブランド運営力を象徴する商品となっています。その後も、Craver(クレイバー・コーポレーション)、TIRTIR(ティルティル)、LAKA(ラカ)、Seorin Company(ソリン・カンパニー)、SKINFOOD(スキンフード)などを相次いで買収し、多角的なブランドポートフォリオを基盤とした売上構造を構築しました。2023年には売上高1,396億ウォン(約148億円)、営業利益690億ウォン(約73億円)を記録しましたが、現在は買収ブランドの実績を含めると売上規模は1兆ウォン(約1063億円)を超えると評価されています。海外ECを中心とした迅速な販売戦略と、SNSを通じたブランド拡散力が、同社の成長を支える重要な要因となっています。また、革新の森の消費者データによると、3か月以内の再購入率は26.7%に達しており、韓国では主に単身世帯の20〜30代女性が主要顧客層となっています。

Goodai Globalの消費者の性別・年齢

出典:Goodai Global
Benow(ビーナウ)もまた、急速に成長を遂げている非上場企業の一つです。革新の森のデータによると、イ・イルジュ代表はKPMG(サムジョン会計法人)、AMOREPACIFIC、HK Kolmarなどでキャリアを積んできた経歴を持ちます。Benowは「numbuzin(ナンバーズイン)」や「fwee(フィー)」など、実際の使用感と効能を重視したスキンケアおよびメイクアップブランドを展開しており、2024年には約2,600億ウォン(約276億円)の売上高を記録し、前年比130%以上の成長を達成しました。営業利益率も約28%と高い水準を維持しています。さらに、TikTokやInstagramのショート動画を活用したバイラルマーケティングによって、20代の消費者層で強い支持を獲得し、これを足がかりに海外売上の比率も急速に拡大しました。また今年4月には、新株発行を行わない形でIMM Investment(IMMインベストメント)などから600億ウォン(約64億円)以上の既存株投資を受け、企業価値の高さを市場に示しました。

Benowの商品ラインナップ
最近、非上場の美容企業の中でも、BEAUTY SELECTION(ビューティーセレクション)が存在感を強めています。同社はグローバル市場を明確に見据えた戦略を掲げ、着実に成長してきました。自社ブランドの商品は、アメリカのAmazonや日本のQoo10といった主要な海外プラットフォームで上位に入っており、現在では世界89カ国に流通するなど、強い海外展開力を持っています。創業からわずか6年で約40倍の成長を遂げ、売上は1,000億ウォン(約106億円)規模に到達しました。
特に「Biodance(バイオダンス)」のゲルマスクパックがTikTokで数億回の再生を記録し、世界的なヒット商品となったことが大きな転機となりました。こうした取り組みにより、Amazon、Sephora(セフォラ)、Boots(ブーツ)といったグローバル流通チャネルで急速にシェアを拡大しました。ブラックフライデーやサイバーマンデーの期間には、Amazonのビューティー・パーソナルケアカテゴリーで上位にランクインする成果も上げています。
その結果、売上は2023年の415億ウォン(約44億円)から2024年には1,356億ウォン(約144億円)へと大きく伸び、営業利益も267億ウォン(約28億円)を記録し、完全なターンアラウンドを実現しました。同社は、ITおよびグローバルプラットフォーム出身の創業者によるデータ基盤の戦略と、化粧品専門のCPO(最高製品責任者)による製品企画力が組み合わさり、技術・コンテンツ・製品の競争力を兼ね備えた企業として市場で高く評価されています。革新の森の消費者データによると、韓国市場では主に20代以下の単身世帯の女性から支持を集めており、3カ月以内の再購入率は22.4%となっています。

BEAUTY SELECTIONの顧客の性別と年齢
OLIVE INTERNATIONAL(オリーブインターナショナル)も、最近急速な成長を見せている未上場企業の一つです。最近では、売上が1,100億ウォン(約117億円)台に達し、120%を超える成長率を記録するなど、高成長企業として注目されています。同社は「sbedt(成分エディター)」や「MILK TOUCH(ミルクタッチ)」をはじめとする5つのビューティーブランドと生活用品ブランドを展開し、マルチブランドによるポートフォリオ戦略を進めています。デジタルマーケティングを軸にした商品発売と市場拡大のスピードの速さが、同社の大きな強みです。
昨年の売上は608億ウォン(約65億円)で、前年に比べて48%成長しました。インフルエンサーとの協業やショートフォームコンテンツを活用した消費者アプローチ戦略が、業績に直接結びついた成功事例として評価されています。こうした成長性を背景に、OLIVE INTERNATIONALは今年11月、ハナ証券などの投資家から約50億ウォン(約5億円)の資金調達に成功しました。消費者データを見ると、同社は主に20代以下のシングル世帯の女性顧客から支持を得ていることが分かります。一方、「sbedt」のブランドに限って見ると、訪問者データでは50代女性の比率が最も高く、20代と50代の双方から良好なマーケティング成果を上げていることが確認されています。

OLIVE INTERNATIONALの消費者の性別・年齢構成

<左>BEAUTY SELECTIONのBiodanceマスク<右>OLIVE INTERNATIONALのsbedt
総合的に見ると、先に紹介したGoodai Global、Benow、BEAUTY SELECTION、OLIVE INTERNATIONALといった主要な非上場美容企業には、いくつかの共通した成功要因が見られます。これらの企業の成功の鍵は、グローバル市場を中心とした売上構造、安定したマルチブランドのポートフォリオ戦略、ショート動画やSNSデータを活用した精緻なデジタルマーケティング、そして迅速な商品テストと市場拡大の実行力にあります。こうした若い企業の機動力とグローバル志向は、従来の大企業中心で定型化されていた化粧品産業の構造を超え、現在の美容市場を再編する明確な流れとなりつつあります。
3.投資段階別に見る、今年注目された美容スタートアップ
2025年の美容産業は、Kコンテンツの世界的な広がりとともに非上場美容企業の業績が伸び、それに伴って投資も増加するなど、スタートアップのエコシステムが大きく成長した一年となりました。革新の森のデータによると、2025年第3四半期までに実施された美容関連の投資は合計53件で、前年(2024年の46件)と比べて約15%増加しており、市場の関心の高さがうかがえます。シードなどの初期投資からフォローオン投資、M&A、さらにIPOを控えた企業まで、美容産業のバリューチェーン全体において、これまで以上に活発な資金流入が見られました。特に、クリーンビューティー、ヴィーガンコスメ、バイオテクノロジーを基盤とした高機能成分、そして海外市場への展開力を持つ企業が主要な投資先として注目され、投資を牽引しました。
シードラウンド
シードラウンドでは、BEST INNOVATION(ベストイノベーション)が特に注目を集めました。2019年の設立以降、毎年安定した売上成長を続けており、2023年には売上100億ウォン(約11億円)を突破し、市場における存在感を明確に示しています。同社は2025年1月、MIRAE ASSET(未来アセットベンチャー投資)をリード投資家として、シードラウンドで230億ウォン(約24億円)の資金調達に成功し、初期スタートアップ投資の新たな指標となる事例を生み出しました。スキンケアブランド「KOPHER(コペル)」と健康機能食品ブランド「安堵(アンド)」を展開する同社は、海外市場でも良好な顧客反応を得ており、今回の投資を契機として海外展開を本格化させる計画です。
プレシリーズA ラウンド
プレシリーズA ラウンドでは、ニッチ市場とオンラインマーケティングの強みを持つスタートアップが投資を獲得しました。フランス発のビューティーブランド「Selvatico(セルバティコ)」を展開するbonjac(ボンジャク)は、今年1月、AJU IB INVESTMENT(アジュIB投資)やFuturePlay(フューチャープレイ)などから約25億ウォン(約3億円)の資金を調達しました。特に、世界的な香料メーカーであるRobertet(ロベルテ)から戦略的投資を受けている点が注目されており、香水をはじめボディローションやハンドクリームのラインアップを中心に専門性を強化しています。
また、メイクアップブランド「tiptoe(ティップトウ)」を展開するFruitful(フルートフル)は、blank Corpolation(ブランクコーポレーション)出身のイ・サンビン代表が持つオンラインマーケティングおよびマスブランディングのノウハウを強みにカラーコスメ市場へ参入し、今年7月にSchmidt(シュミット)、AMOREPACIFIC、KD investment(KDインベストメント)からプレシリーズA投資を獲得しています。ローンチからわずか1か月でOLIVE YOUNG(オリーブヤング)のオフライン店舗への入店を確定させるなど、素早い市場浸透力を示しながら成長を続けています。
革新の森のデータを見てみると、20代以下の女性の顧客比率が41.8%に達しており、若い顧客層を中心に支持を集めていることが分かります。興味深い点として、消費者データを詳しく見ると、40代女性の購入比率も31.6%に達しています。さらに、消費者の家族構成を見ると、10代の子どもを持つ世帯の割合が高いことから、保護者を通じて10代が商品を購入しているケースも少なくないと分析されています。

<左>bonjacの「Selvatico」、<右>Fruitfulのtiptoe

Fruitfulの直近3年間の主要成長指標
シリーズAラウンド
シリーズAラウンドでは、海外市場に特化したプラットフォームや、連続起業家が主導する革新的なビジネスモデルを持つ企業が相次いで投資を獲得しました。インド市場をターゲットとする化粧品流通プラットフォーム「Limese(リメセ)」は、今年3月、IBKベンチャー投資やKDB Capital(産銀キャピタル)などからシリーズA投資を受けています。2016年に設立された同社は、インドの20〜30代を主なターゲットにKビューティーブランドを現地ECに流通させており、2023年には韓国の対インド化粧品輸出額の約25%を担うなど重要な役割を果たしています。
また、シェア型美容室プラットフォーム「WENEED(ウィニット)」を運営するLIVE X(ライブエックス)も化粧品事業に進出し、今年シリーズA投資を受けました。2021年に設立された同社は、昨年約150億ウォン(約16億円)の売上を達成するなど急速に成長しています。スキンケアブランド「PODL(ポドル)」を展開するLast Spring(ラストスプリング)は、KakaoVentures(カカオベンチャーズ)、coupang(クーパン)、GS、Murex Partners(ミューレックスパートナーズ)など複数の投資家からシリーズA投資を獲得しました。同社は、ペット用品EC「PET FRIENDS(ペットフレンズ)」の創業者であるキム・チャンウォン代表と、アンダーウェアブランド「THEZAM(ザ・ジャム)」の創業者であるホン・ユリ代表2人の連続起業家が共同創業したことで市場の期待を集めました。ブランドローンチ後は顧客から良好な反応を得ており、それが今回の投資調達につながったとみられます。このほかにも、EGONG EGON(イゴンイゴン)やnmodelin(エヌモデリン)など複数の美容企業が投資を獲得し、市場の活況を後押ししています。

<左>Last Spring「PODL」、<右>LIVE X
シリーズB以降のラウンド
シリーズB以降のラウンドでは、独自の技術力を持つ企業が大規模な資金調達を実現しました。天然植物体の軟化技術やBSG技術を基盤に化粧品を開発するスタートアップ、RAFIQ(ラピック)は今年150億ウォン(約16億円)規模のシリーズB投資を獲得しました。2017年の創業以来着実に売上を伸ばし、昨年は約33億ウォン(約4億円)の売上を記録しています。植物体軟化技術やアップサイクルエクソソームなど独自技術に関する知的財産権を保有しており、今回の投資資金は新工場の建設に投じられる予定です。これにより同社は技術パートナーとしてのポジションをさらに確立する見込みです。また、ビューティーマルチブランド「Parnell(パーネル)」や「Growus(グロウアス)」などを運営するeleven corporation(イレブンコーポレーション)も、今年8月に約90億ウォン(約10億円)のシリーズB投資を獲得しました。2018年の創業以来成長を続け、昨年時点で売上410億ウォン(約44億円)を達成しました。また今年は、中小ベンチャー企業部が選定する「予備ユニコーン企業」に選ばれるなど、高い成長性が評価されています。革新の森の顧客データによると、20〜30代の単身女性が全体の購入顧客の70%以上を占めていることが分かりました。また、MEMEBOX(ミミボックス)も2019年にシリーズD投資を獲得して以降、今年さらに約105億ウォン(約11億円)の追加投資の調達に成功し、成長を一段と加速させています。

eleven corporationの消費者の性別・年齢および家族構成 / 出典:革新の森

<左>RAFIQ、<右>eleven corporationの「Growus」
M&A
2025年のM&A市場では、単なるブランド買収にとどまらず、化粧品容器メーカーやODM企業など、美容産業のサプライチェーン全体で大型ディールが相次ぎ、市場の注目を集めました。最大の案件は、グローバルPEファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が韓国の化粧品容器メーカーで韓国首位のSamhwa(サムファ)を7,330億ウォン(約779億円)で買収した取引です。また、スキンケアブランド「ROUNDLAB(ラウンドラボ)」を保有するSEORIN COMPANY(ソリンカンパニー)はGoodai Globalに6,000億ウォン(約638億円)で売却されました。Goodai Globalはさらに「SKIN FOOD」を1,500億ウォン(約160億円)で買収し、事業規模を拡大しました。製造分野での競争も激化しており、カラーコスメのODM企業C&C International(C&Cインターナショナル)は2,850億ウォン(約303億円)でAscent PE(アセントエクイティパートナーズ)に売却されました。またKB証券のPE本部とNAUIB CAPITAL(ナウIBキャピタル)は、化粧品OEM/ODM企業のECISCOSMETIC(イシスコスメティック)を総額900億ウォン(約96億円)で買収しました。
IPO
IPO市場では、海外での実績をもとに安定した成長を示してきた企業が、資本市場へのデビューを果たしました。化粧品ブランド「d’Alba(ダルバ)」を展開するd’Alba Global(ダルバグローバル)は、2025年上半期に韓国株式市場への上場を成功させました。上場予備審査の承認後に実施された機関投資家向け需要予測では、競争率が1,100対1を超える結果となり、一般公募では申込証拠金が7兆ウォン(約7,440億円)以上に達するなど、大きな注目を集めました。公募価格は希望価格帯の上限である6万6,300ウォン(約7,000円)に決まり、上場後も公募価格の約2倍水準の株価を維持しながら安定した動きを見せています。革新の森の消費者データによると、20〜30代の単身女性からの再購入率は23.1%に達しており、継続的な支持を集めていることが確認されています。

d’Alba Globalの消費者の性別・年齢・取引パターン/出典:革新の森
クリーン・ヴィーガン商品ブランドのAromatica(アロマティカ)は、2025年下半期にKOSDAQへの上場を果たしました。10月に上場予備審査を通過した後、約240億ウォン(約26億円)規模の公募を実施し、一般投資家向け公募では競争率が2,800対1を超え、2025年のIPOにおける一般公募の中で最高記録を達成しました。上場初日には公募価格の1.5倍以上まで株価が上昇し、市場の期待を十分に反映する結果となりました。革新の森のデータによると、主な購買層は30〜40代の女性であり、再購入率も19.9%と、一般的な美容企業と比較して高い数値を示しています。

Aromaticaの消費者の性別・年齢・取引パターン/出典:革新の森
2025年の美容業界では、充実した化粧品製造エコシステムを背景に、ブランディングやマーケティングに強みを持つ新興インディーブランドが存在感を高めていることが分かりました。では今後、美容業界で最も高い企業価値を認められる企業は、LG H&H(LG生活健康)やAMOREPACIFICのような総合化粧品企業やラグジュアリーブランドへと再びシフトしていくのでしょうか。それとも、FruitfulやLakaのように、より細分化されたニッチ市場を狙うインディーブランドが次々と登場し、競争を激化させていくのでしょうか。あるいは、APRのMEDICUBEのようにハードウェア技術と融合した新たなイノベーションが市場の注目を集め、美容業界の新しい潮流を生み出すのでしょうか。
私たちが探し続けている「ネクストAPR」がどこから生まれるのか。その可能性を探るうえで、本コンテンツが少しでも参考になれば幸いです。
原文:https://www.innoforest.co.kr/report/NS00000435/
革新の森:https://www.innoforest.co.kr/
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