数兆ウォンの投資が集まり、「ロボットの時代」が到来したというニュースが連日報じられていますが、なぜ、実際に家の近くでロボットに出会うことは少ないのでしょうか?多くの企業が研究所の中で「より良い技術」「より素晴らしい技術」を追求する一方で、市場は目の前の人手不足や物価高を解決してくれる「すぐに使えるロボット」を必要としています。

そんな市場のギャップに挑んでいるのが、Neubility(ニュービリティ)というチームです。皆がランボルギーニのような華やかなロボットを作る中、彼らは誰でも導入でき、どこでも動かせる「ロボット界のマティス(韓国の軽自動車)」になることを目指しています。

江南の街中の複雑な道路で自律走行成功率98%を記録、さらにはサウジアラビアの砂漠にあるネオムにも進出した彼らの武器は、高価な設備ではなく、迅速な商用化です。ロボットを「未来の夢」ではなく「日常」として実現した代表のイ・サンミン氏へのインタビューをお届けします。

Neubilityの会社概要

Neubilityは、Physical AIを基盤とした自律走行ロボット技術を現場に実装し、ロボットのハードウェアから運用ソフトウェア、さらには管制・モニタリングまでを一体で提供するRaaS企業です。日常の不便を解消するロボット自動化サービスを、さまざまな現場に展開しています。同社はこれまで、Physical AIベースの自律走行ロボット「Neubi(ニュービ)」を商用運用してきました。さらに、今年上半期に実機公開を予定しているヒューマノイド型サービスロボット「Billi(ビリー)」、第3四半期に公開予定の四足歩行型偵察ロボット「NeuTrek(ニュートレック)」の開発も進めています。

現在は配送や巡回を主軸としながら適用領域を拡大しており、今後は物流・製造現場や防衛分野への展開も見据えています。韓国内外の多様なパートナー現場での導入実績を通じて運用データとノウハウを蓄積し、現場中心のロボットソリューションの高度化を進めています。

Neubilityのイ・サンミン代表

1.Neubilityについてご紹介ください。

Neubilityは2017年に設立され、自律走行ロボットをいち早く日常サービスとして商用化してきた企業です。2019年以降、本格的にロボットサービスの展開を進めてきました。最も重要なミッションとして掲げているのが「ロボットを日常に取り入れること」です。ロボットに対する関心や期待は高まっている一方で、実際の生活で目にする機会はまだ限られており、ロボット掃除機が代表的な存在にとどまっています。私たちはこうしたギャップを埋めるため、実用的なロボットを開発し、サービスとして素早く社会に展開しています。現在では、AI自律走行ロボット「Neubi」を中心に、配送、物流、警備巡回などの分野で、数百カ所においてロボットサービスを提供しています。

2.採用において重視しているポイントは何ですか。

どこで働いていたかが事業の成否を決めるとは考えていません。私たちのチームには「ランボルギーニではなくマティスをつくる」という哲学があります。高価で華やかなものよりも、多くの人が実際に価値を感じられるものを提供することが重要だと考えているからです。移動手段として本当に必要なのは、ランボルギーニではなくマティスであるということです。

創業当初は学生3人でスタートしたため、不足している専門家に加わってもらいながら組織をつくってきました。その際に重視しているのは、「誰がより優秀か」ではなく、「誰がより情熱を持って素早く実行できるか」です。こうして加わってもらったメンバーの経験は、単に技術力を高めるだけでなく、量産を見据えた設計や安定したシステム構築にもつながり、製品の完成度と信頼性の向上に大きく貢献しています。

3.「Neubi」は身近な存在になってきましたが、現在どのような企業と連携していますか。

Yogiyo(ヨギヨ)、SAMSUNG(サムスン電子)、Samsung C&T(サムスン物産)、SK Shieldus(エスケーシールドゥス)といった大手企業をはじめ、城南市庁などの自治体、さらに外資系のセキュリティ企業まで、幅広い顧客と連携しています。配送や物流に加え、警備巡回や安全管理といった分野で、すでに数百社規模のパートナーシップを構築しています。また現在は、サウジアラビアのネオムにある病院において、検体や血液の搬送業務も担っています。分野を問わず、ロボットによって日常をより便利にできる場であれば、どこでもNeubiが活用されています。

4.多くの自律走行ロボットで採用されている高価なLiDARではなく、カメラをベースに走行する方式を選んだ理由は何でしょうか。

私たちも初期には非常に悩みました。企画し始めた当時は、自律走行ロボットにはLiDARセンサーを使うのが一般的で、その優位性も明確だったからです。

ただ、先ほどお話しした通り、私たちのチームには「ランボルギーニではなくマティスをつくる」という哲学があります。実際に多くの企業が導入でき、無理なく使い続けられるロボットを目指していました。LiDARを搭載すると、カメラと比べてコストが大きく上がるうえ、運用エリア全体を事前にマッピングする必要があり、導入や運用の負担が大きくなります。これはコスト面でもプロセス面でも現実的ではないと判断しました。高価なLiDARではなくカメラセンサーを採用したのは、導入コストを抑えつつ、よりスピーディーに現場へ展開するための戦略的な選択でした。」

5.現在町中での走行も行われていますが、複雑な都市部の走行どのように対応しているのでしょうか。

Neubiの走行システムは、人の行動に最も近い形で動くよう設計されています。突発的な障害物を検知すると、まず即座に停止し、そのうえで最適な迂回ルートを探索します。現在、駅三のような複雑な都市環境でも自律走行率は98%を達成しています。残りの約2%については、ごく例外的なケースに限られますが、その際は管制オペレーターが3〜4秒程度で即時に介入し、安全に状況を解消する仕組みになっています。

6.GPSが届かない場所や屋内外が混在する環境でも、なぜ道に迷わないのでしょうか。

これは、カメラセンサーの情報だけで自己位置を推定するビジュアルSLAM(V-SLAM)技術を採用しているためです。GPS信号が弱いビル街や屋内環境でも、周囲の視覚情報をもとに自分の位置を把握することができます。たとえGPSが一時的に途切れた場合でも、断続的に得られる情報や進行方向(ヘディング)を活用し、人のように柔軟にルートを見つけ出します。

さらに、HDR機能を備えたカメラを搭載しているため、雨の日や暗い夜間でも問題なく走行が可能です。人の目を上回る精度で状況を認識し、厳しい環境下でも安定した走行を実現しています。

7.巡回ロボットとしても活躍するNeubiですが、防犯上の死角をどのように補っているのでしょうか。

固定式の防犯カメラにはどうしても死角が生じますし、人による巡回にはコストや人手不足といった課題があります。Neubiはあらかじめ設定されたルートを24時間体制で巡回し、リアルタイムで映像を管制センターに送信します。これまで見えにくかった場所を継続的に巡回して可視化することで、犯罪の抑止効果を高めています。また、異常の兆候を検知した場合には、警察や警備員へ即座に通知し、初動対応を支援する役割も担っています。

8.韓国初の屋外自律走行ロボットの運行安全認証を取得されていますが、この認証についておしえてください。

これまでロボットは法的に「車両」なのか「歩行者」なのかが曖昧な存在でした。そのため、自転車よりも小型のロボットであっても歩道を走行することができませんでした。しかし、2023年の道路交通法改正により、自律走行ロボットに対して「車両ではなく歩行者に準ずる存在」としての地位を与える認証制度が新たに整備されました。そしてNeubiは、その認証を韓国で初めて取得したロボットとなりました。この認証は、当社にとって単なる技術的な実証にとどまらず、本格的な商用化のスタートを意味すると同時に、B2BやB2G領域において信頼できるパートナーであることを示す重要な基盤となっています。

9.RaaSの統合管理プラットフォームである「NCC」も提供されていますが、そのメリットは何でしょうか。

一般的な管理プラットフォームが配車や位置確認といった機能にとどまるのに対し、NCCはロボットのハードウェアをエンドツーエンドで直接制御できる点が大きな特徴です。単に位置情報を把握するだけでなく、ロボットメーカーとしてセンサーデータの取得から、ドアの開閉、スピーカーによる音声出力に至るまで、基盤レベルの制御権限を持っています。そのため、より具体的で高度なサービス運用と統合管理が可能になります。

また、API連携を前提に設計されているため、顧客企業が既に利用しているシステムともスムーズに接続でき、運用効率の最大化に寄与しています。

10.現場で蓄積された運用データは、どのようにNCCへ反映されているのでしょうか。

現場で取得される各種データは、NCCを通じてリアルタイムでサーバーへ集約されます。走行中に一時的に停止した場面や、障害物への対応記録といった「コーナーケース(例外的なエラー状況)」の映像やセンサーデータを詳細に分析しています。こうして高度化されたAIモデルは、約2週間に一度のソフトウェアアップデートとしてロボットに再配布されます。このように、現場での経験がそのまま改善に反映される点が、顧客ニーズに迅速に応えるための重要な競争力になっています。

11.安定的に納入・管理するためのインフラは、どのように整備されているのでしょうか。

社内の各チームがそれぞれの役割を担い、連携しながら対応しています。購買チームは製造に必要な部品の安定的な調達を担当し、ハードウェアチームは金型の準備や量産体制の構築を進めています。これらの準備が整った段階で、品質チームが最終製品の検査を行い、状況の変化にも迅速に対応できる体制を整えています。

さらに、在庫を保管する倉庫から流通までを含めたサプライチェーン全体についても、各プロジェクトの実行を通じて安定化を図りつつ、継続的に高度化を進めています。

12.従来の人手によるサービスと比べて、実際にどの程度のコスト削減効果が見込めるのでしょうか。

警備・巡回分野においては、運用方法や現場の条件によって差はあるものの、人手中心の運用と比べてコスト効率の改善が期待できます。人の場合、1人で24時間稼働することはできないため交代要員が必要になり、採用コストに加えて各種手当や福利厚生など、さまざまな費用が発生します。一方、Neubiは反復的で定型化された業務を継続的に遂行できるため、現場によっては運用負担の軽減につながります。

また、配送分野においても運用体制次第では経済的なメリットが見込まれます。特にピークタイムや悪天候時には人件費が1.2倍から最大で2倍程度まで上昇するケースがありますが、ロボットは比較的安定したコスト構造で運用できるため、有効な選択肢の一つとなり得ます。

13.YogiyoやSK Shieldus、Lotte Innovateといった大企業が、Neubilityとパートナーシップを結んだ背景には、どのような理由があるのでしょうか。

現在のロボット業界は非常に分断された構造になっています。たとえば巡回ロボットを導入しようとすると、顧客は部品メーカー、ロボットメーカー、さらにそれらを制御するプラットフォーム企業を個別に探す必要があります。その結果、それぞれにマージンが乗り、コストが高くなりがちです。当社はロボットの製造からシステムまでを一貫して内製化し、AからZまで提供できる体制を構築しているため、ここに明確な強みがあります。

また、実行力と経済性も大きな要因です。現場で実際に価値を発揮するロボットを迅速に供給してきたことで、多くのPoC実績を積み上げてきました。こうした商用化のスピードと導入コストの妥当性が評価され、提携につながっていると考えています。

14.3月に公開されたハイブリッド型ヒューマノイドロボット「Billi」は、どのような業務が可能になのでしょうか。

Billiはロボットアーム(マニピュレーター)を搭載することで、これまでNeubiでは対応できなかった積み下ろし作業の自動化を実現します。たとえば物流の現場では、自ら荷物を積載したロボットがラストマイルの配送先まで移動し、到着後には自動ドアを開け、エレベーターのボタンを操作して移動し、最終的に直接荷物を届けるという、真の意味での完全自動化配送が実現可能になります。そのため、物流倉庫や工場における単純反復作業を大きく置き換える革新につながると考えています。

15.今後公開予定のロボットはありますか?

今年はBilliを皮切りに、Neubilityとしてさまざまなロボットラインアップの展開を予定しています。Billiに加え、四足歩行ロボットや、「Neubi」をさらにスケールアップさせ、300kg以上の搬送が可能な高重量対応の物流ロボットなども現在開発を進めています。これらを通じて、物流倉庫や工場の完全自動化を支援していきたいと考えています。

16.代表が思い描くNeubility、そして「Neubie」の姿はどのようなものでしょうか。

大きな未来を語るというより、ロボットが日常の風景の一部になる状態をつくりたいと思っています。2〜3年後には、街で「Neubie」を見かけても特に珍しくない、そんな当たり前の存在になっていてほしいですし、工場や病院などいろいろな現場でNeubilityの技術がしっかり機能している状態を目指しています。そのためには未来を描くだけでなく、今ある課題を素早く見つけて解決していくことが重要で、それが結果的により早くいい未来につながると考えています。

Neubilityは、大きなビジョンを掲げるだけでなく、具体的な解決策によってロボットの商用化を加速させています。ロボットが日常に溶け込む社会の実現に向け、現在直面している課題に対して実行力を持って取り組める人材を募集しています。Neubilityの次の一歩をともに形にしていきたい方は、ぜひ下記の採用情報をご確認ください。
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原文:https://www.innoforest.co.kr/report/NS00000494

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