開業を控えた医師たちの「ある悩み」を解決したことで投資家からの資金調達に成功

医院開業を支援するプラットフォーム「Open doctor」の運営会社OPNがシードラウンドで資金調達に成功

小規模医院の院長は、医者とCEO（最高経営責任者）という二つの役割を同時に遂行しなければならない難しい職務だ。医療人としては長い間の訓練経験があるが、経営者としての経験はない。そのうえ、意思決定を行うための情報も不足している。

特に開業を控えた医師の最大の悩みの一つは、不動産問題だ。一度定着すると簡単に移転できないため、立地選定から規模、競争構図、推定売上など、検討すべきことが数十項目ある。

医師本人が自分で調べて決めなければならないが、初開業を準備している医師は、何から準備すればいいのか分からないだろう。このような困難に直面している医師たちの心強い味方になってくれるスタートアップが注目されている。

開業に必要なすべての情報と、ビッグデータを基にした立地・売上など様々な分析結果を提供するプラットフォーム「Open doctor（オープンドクター）」の運営会社OPNだ。BCG（ボストンコンサルティンググループ）出身の経営コンサルタントと、サムスン峨山病院出身の医師が集まり、2021年に設立された。

Open doctorは、医療経営データ分析を通じて診療分野別の医師に合った立地を推薦してくれる。立地を選定した後は不動産物件まで調査し、契約できるようにサポートしている。

OPNのオ・ジョングァン代表は「医師が、経営者として初めての一歩を踏み出す開業時に最も情報が不足している。」とし「韓国での医院開業において、低いデジタル転換率と情報の非対称性のせいで、医師が明確に意思決定をすることが難しい。」と述べた。

また、「Open doctorは開業過程で正確かつ信頼できる情報を提供し、不動産契約まで安心して進めることができるサービスだ。」とし「良質の情報を提供し、デジタル転換を通じて医療界を発展させる。」と強調した。

病院の成功可能性と開業のメリットを多角的な分析を基に提供

開業を控えた医師は、Open doctorで自分の専門分野や地域など簡単な情報を入力するだけで様々な情報が提供される。各医師に最も合った候補地を推薦してもらえたり、調査をすることもできる。また、適切な賃貸物件情報も得ることができる。

これ以外にも、開院候補地周辺にある医院の△月平均売上高、△平均患者訪問数、△曜日別・時間別・性別・年齢別平均売上高、周辺の△住宅情報、△流動人口、△居住人口、△年齢分布、△医院数など、具体的なデータも確認可能だ。

別途分析レポートを要請すれば、長・短期の売り上げ推移、医院別のシェア率と競争指標、新規・廃業医院、性別・年齢層別・所得水準別の売上分布など、より具体的なデータとともに「開業のメリット」がどの程度あるのかを文章で説明してくれる。

病院を開く前に必ず確認しなければならない8段階47項目の具体的なチェックリストとともに、先に開業した先輩医師の成功の秘訣もチェックすることができる。開業の事前準備から最終的な準備まで、丁寧に全過程を熟考できるようにサポートしてくれるのだ。

これまでに、医学部約700人、歯学部約500人、計1,200人以上の開業を準備する医師がOpenDoctorを利用した。毎月100人以上の開業準備医が流入しており、新しく加入した医師の15%以上が分析レポートを活用して意思決定を行ったという。

「医師が診療だけに集中できる環境を構築」

このような技術力を基に、最近、韓国初のスタートアップアクセラレータ（AC）であるKRYPTON（クリプトン）と医師・医学生の創業者に投資するベンチャーキャピタル(VC)のTALE（テール）をはじめ、BA Partners（BAパートナーズ）、Donghyun ASP（トンヒョンASP）などからシードラウンドで約10億ウォン（約1億円）の資金調達に成功した。

医師出身であるTALEのキム・ナムベック氏は「OpenDoctorは開業医の需要を把握し、不便さを解消することで、医師たちの役に立つサービスになるだろう」とし「今後、不動産やコミュニティ、製薬など、医師に多様なサービスを提供する総合メディカルプラットフォームに発展することが期待される」と述べた。

OPNは、短期的には医師が明確なデータに基づいて開業立地を決定できるように支援し、不動産を安全に契約できるサービスを高度化することに集中する計画だ。

今後は、有益な情報を共有するコミュニティ機能の追加とともに、病院運営に必要なインテリアや医療機器、医療材料などに対する推薦サービスなど様々な領域に拡大する予定だ。最終的には、開業プラットフォームだけではない、病院総合運営・管理プラットフォームに生まれ変わることが目標だ。

オ・ジョングァン代表は「高齢化時代の個人医院は、良質な国家保健システムを構築するための核心であるため、これに貢献する事業をしたい。」とし「最終的には医療人が診療だけに集中できる環境を作り、より良い医療サービスを提供できるよう支援したい。」と強調した。

原文：https://www.unicornfactory.co.kr/article/2023042004380229826