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[COMEUP2023]韓国のスタートアップエコシステム「グローバル開放性」を高めるには

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[COMEUP2023]韓国のスタートアップエコシステム「グローバル開放性」を高めるには

韓国の代表的なスタートアップ支援機関がスタートアップの祭典である「COMEUP(カムアップ)2023」イベント期間中である11月9日に、政策提案発表会を行った。

この日、Asan Nanum Foundation(アサンナヌム財団)とSTARTUP ALLIANCE(スタートアップアライアンス)、銀行青年創業財団D・CAMP(ディキャンプ)、Korea Startup Forum(コリアスタートアップフォーラム)は、韓国のスタートアップエコシステムのグローバル開放性を研究した「2023 スタートアップコリア!」レポートを発表し、政策提案発表会を行った。イベントは、Bein&Campany(ベイン・アンド・カンパニー)ソ・ヒョジュパートナーのレポート発表とパネルディスカッションの順に行われた。

スタートアップコリア!政策提案発表会でBein&Campanyソ・ヒョジュパートナーがレポートを発表している。

レポートの発表では、韓国とグローバル国家間のスタートアップの創業、資本、人材のインバウンドとアウトバウンドの両方向への移動が円滑であるレベルを示す「グローバル開放性(連結性)」における韓国の競争力水準を調べた。レポートで引用したStartup Genome(スタートアップ・ゲノム)が発行した2023グローバル・スタートアップ・エコシステム資料によると、韓国は、米国、英国、イスラエル、シンガポールなどの先進国に比べて「グローバル開放性」の面で劣っている。2022年基準、韓国の起業家が海外で起業したり、韓国から海外に進出したスタートアップの数は約3百社ほどであるのに対し、シンガポールは約2千社、イスラエルも約1.6千社と非常に高い水準である。また、エコシステム内の全体のスタートアップ数に対する割合でも、韓国は海外進出の割合が約7%水準であるのに対し、シンガポールは約90%、イスラエルは約80%水準と、先進国との差が大きい。


グローバル開放性指標における先進国と韓国の競争力比較

これに対し「2023スタートアップコリア!」レポートでは、韓国のスタートアップエコシステムが発展を図り、グローバル主導の地位を確保するための方策として、手続きと規制の緩和、支援プログラムの構成とクオリティの向上、認識改善とインフラ高度化など、大きく3つの政策方向性を提案した。

第一にレポートは、法人設立、創業ビザ、就労ビザなどに対する非効率的で不明確な手続きと、規制を緩和すべきだと強調した。外国人が韓国でスタートアップを創業する場合、最低資本金など様々な要件に対するガイドラインを明確に策定し、韓国人だけが利用できるオンライン法人設立システムを外国人向けにも拡大し、プロセスをさらに簡素化する必要があると伝えた。また「創業ビザ」と「就労ビザ」で求められる高いレベルの発行要件を緩和し、制約事項を改善する必要があると提言した。

また、海外資本の流入、海外投資、海外進出などに対するハードルと制約についても政策の方向性を提示した。国内外投資時、行政および手続き上の制約を解消するため、海外ベンチャーキャピタルの韓国ライセンス取得要件を長期的に廃止する方向で検討するが、管理監督の強化で副作用を放置する体制を整えるべきだと主張した。また韓国のベンチャーキャピタルが、さらに円滑に海外進出できるよう、海外投資主体のファンド・オブ・ファンズ口座新設、創業投資会社ライセンスの出資制限は段階的に縮小および廃止、創業投資会社の海外支社設立は許可されるよう、法令改正の検討が必要だという点も説明した。最後に、海外に本社を移転するflip(フリップ)について、譲渡所得税免税の特例は、起業家も含め、課税繰り延べを検討し、投資家対象の免税特例は、法の適用範囲と要件を明確にすべきであると提言した。

スタートアップエコシステムのグローバル開放性改善課題

第二に、政府と民間の連携を拡大し、国内外のスタートアップを対象に、実質的支援が行われるようにプログラムを構成し、クオリティを高めるべきだと提言した。特に、海外スタートアップを対象とした支援プログラムは、長期運営、密着教育メンタリング、韓国事業進出の義務化など、制度的実効性を強化する形に変える必要があり、同時に海外創業インキュベーションプログラムも構成および運営上の実効性の増大、プログラム審査と教育の専門性強化、財政拡大などを通じて、全体的なクオリティ向上を模索しなければならないと述べた。

最後に、韓国のスタートアップエコシステムでグローバル開放性の拡大が円滑に定着するためには、認識改善努力とインフラ高度化が必要だと考えた。グローバル開放性の拡大と関連し、一般大衆と公共および民間機関内の共感を形成していき、インフラ面では関連ウェブサイト内の「外国語サービス」を強化し、言語的ハードルを解消していかなければならないと述べた。また、民間主導で開催する大規模キャンパスやイベント、外国人を対象としたコミュニティを積極的に設け、起業家、投資会社、開発者など、エコシステム内の様々な主体が情報やアイデアを共有し、ネットワークの場を作るべきだと提案した。

スタートアップコリア!政策提案発表会で、Asan Nanum Foundationチャン・ソクファン理事長が歓迎の言葉を伝えている。

Asan Nanum Foundationチャン・ソクファン理事長は「Asan Nanum Foundationは、韓国のスタートアップエコシステムがグローバル市場をリードするためには、グローバル開放性に関連する問題が改善されなければならないことに共感し、Bein&Campanyと今回のスタートアップコリア!研究を開始した」とし、「特に韓国最大のスタートアップイベントであるCOMEUP 2023期間中に発表されるため、スタートアップコリア!のグローバル開放性の研究結果と政策的インサイトが広く共有され、様々な提案が今後の政策に反映、スタートアップのグローバル開放性を改善し、さらに国家のマクロ的な効益につながることを期待している」と述べた。

パネル討論セッションでは、Korea Startup Forumチェ・ソンジン代表が司会を務め、AntlerKoreaカン・ジホパートナー、TICTAG KOREAキム・セウン代表、銀行青年創業財団キム・ヨンドクD.CAMP代表、seerslabチョン・ジンウク代表がパネルとして参加し、韓国のスタートアップエコシステムのグローバル開放性について議論した。

STARTUP ALLIANCEキム・ドヒョン理事長は「韓国のスタートアップエコシステムのグローバル競争力を高めるためには、世界中のスタートアップが国境を越え、自由にビジネスをしてコミュニケーションできる環境を整える必要がある」とし、「グローバル開放性のためのインフラが、近い将来に整備されることを期待している」と述べた。

銀行青年創業財団キム・ヨンドクD・CAMP代表は「今回のレポートは、グローバル開放性の面で、われわれが何を考察して進むべきか、具体的な実行案をよく示していると思う」とし、「韓国のスタートアップ文化が多様性を拡大し、積極的な外部交流と開放を通じて、国境にとらわれない創業をすれば、韓国の成長と繁栄が進むだろう」と述べた。

Korea Startup Forumチェ・ソンジン代表は「スタートアップエコシステムがグローバルにつながり成長する中で、開放性はグローバル競争力の尺度になっている」とし、「政府も認識を共有しているため、今回の政策提案を積極的に活用し、制度と認識の改善に取り組んでほしい」と述べた。



<画像=スタートアップコリア!政策提案発表会で行われたパネルディスカッション(左からKorea Startup Forumチェ・ソンジン代表、銀行青年創業財団キム・ヨンドクD・CAMP代表、TICTAG KOREAキム・セウン代表、seerslabチョン・ジンウク代表、AntlerKoreaカン・ジホパートナー)>

原文:https://platum.kr/archives/216878


/media/Platum
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Platum

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