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2025年に売上を大きく伸ばしたコンテンツスタートアップを検証:コンテンツとテクノロジーの融合
概要:2025年コンテンツ分野でソフトウェア・AI技術を武器に存在感を高めたスタートアップ

今回のレポートでは、2025年の財務データをもとに、コンテンツ分野でソフトウェア技術やAIを中核的な競争力とし、実際に業績拡大を実現したスタートアップを取り上げます。
これらの企業には、大きく3つの共通点が見られます。第一に、技術がコンテンツ制作コストの削減や新たな収益モデルの創出に直接貢献していることです。AI動画編集のVoyagerX(ボイジャーエックス)、AI動画制作・流通のJiro(ジロ)、AI広告ソリューションを提供するDraftype(ドラフトタイプ)がその代表例です。第二に、技術そのものが新しいコンテンツフォーマットを生み出していることです。バーチャルアイドル制作技術を展開するVLAST(ブラスト)、Metalocat(メタロケット)、SCON(スコン)や、AI音声合成技術を手がけるNeosapience(ネオサピエンス)がその例に挙げられます。第三に、GALAXY CORPORATION(ギャラクシー・コーポレーション)のように、強力なIPとAI・エンターテック戦略を組み合わせることで、爆発的な成長につなげているケースです。
企業別トピックと業績

1.GALAXY CORPORATION(ギャラクシーコーポレーション)
AIエンターテック企業として急成長を実現
2024年売上高:52億8,000万ウォン(約6億円) → 2025年売上高:2,490億ウォン(約264億円)|売上成長率4,614%
自らを「AIエンターテック企業」と位置付けるGALAXY CORPORATIONは、2025年にK-エンターテインメント業界屈指の成長を遂げました。その最大の原動力となったのは、所属アーティストであるG-DRAGON(ジードラゴン)のワールドツアーの大ヒットです。2025年の年間売上高は2,490億ウォンに達し、前年の52億8,000万ウォンから4,614%増と急成長しました。さらに、営業利益125億ウォン(約13億円)を計上し、黒字転換にも成功しています。総資産も前年比300%超の増加を記録したほか、ユニコーン企業評価額を基準とした普通株投資を含め、約1,000億ウォン規模の新規資金調達を完了しました。
同社の成長は、単なるスターIPの効果だけでは説明できません。その背景には、AIを軸とした技術戦略があります。「1泊2日」、「ミスター・トロット3」、「フィジカル100 シーズン2」など、400本を超えるグローバル向けバラエティ番組の制作実績を持つ一方で、AIとメタバース技術を融合した新たなコンテンツ事業モデルも展開しています。また、NASDAQやニューヨーク証券取引所(NYSE)の幹部が相次いで本社を訪問したことで、海外上場の可能性にも注目が集まりました。さらに、Microsoftのサティア・ナデラCEOから「AIコンテンツ分野のパイオニア」と高く評価されたことも話題となりました。2026年のKOSDAQ上場を目指しており、今後はAIやロボティクス分野への投資拡大も計画しています。
2.VLAST(ブラスト)
バーチャルアイドル「PLAVE」が切り拓くK-POPの新たな地平
2024年売上高:454億ウォン(約48億円) → 2025年売上高:855億ウォン(約91億円)|売上成長率88.4%
VLASTは、MBC出身のイ・ソング代表が独立して設立したバーチャルIPスタートアップです。2023年にデビューしたバーチャルボーイズグループ PLAVE(プレイブ) の急成長を追い風に、売上高はわずか2年で6倍以上に拡大しました。2025年、PLAVEはメロンミュージックアワード(MMA)で2冠を達成したほか、Billboard Korea Hot 100(ビルボードコリアホット 100)にランクインするなど、バーチャルアイドルの枠を超えてK-POPのメインストリームに進出しました。さらに、アジア初のツアーも成功裏に終え、強固なファンダムの存在を証明しています。
VLASTの競争力を支えるのは、高度なコンピューターグラフィックス技術とリアルタイムコンテンツ制作能力です。独自開発したバーチャルスタジオを基盤に、メンバー一人ひとりの動きや表情をリアルタイムでレンダリングできる技術を確立しており、これによってオフラインコンサートとオンラインでのファン活動を両立しています。また、韓国のコンビニチェーンGS25とのポップアップストアやグッズ販売など、IPを活用した収益源の多角化も加速しています。
3.Intellivix(インテリビックス)
13年連続黒字を達成したAI映像解析の代表企業
2024年売上高:340億ウォン(約36億円) → 2025年売上高:466億ウォン(約49億円)|売上成長率37.2%
Intellivixは、2000年の創業以来、一貫してビジョンAI分野に特化して事業を展開してきた企業です。2025年は売上高466億ウォン、営業利益49億ウォン(約5億円)を記録し、創業以来最高の業績を達成しました。同社は過去3年間にわたり年平均50%を超える売上成長率(CAGR)を維持しながら、13年連続で黒字経営を続けており、韓国のAI企業の中でも極めて珍しい事例として評価されています。現在、韓国の公共部門向けインテリジェント映像解析市場で68.5%のシェアを占めており、全国の自治体に導入されたAI防犯カメラの累計設置台数は約1万台に達しています。
2025年の最大のトピックは、独自開発したVLA(Vision Language Action)ベースの映像解析エンジン「VIX 2.0」と、安全管理向けAIエージェント「VIXA(ビクサ)」の商用化です。同社は単なる危険検知にとどまらず、現場の状況をリアルタイムで理解し、自動で状況報告書を作成するほか、案内放送の配信やファイアウォール制御などの物理的な対応まで実行できる「行動するAI」を実現しました。また、主力製品である「VIXallcam(ビックスオールカム)」は、2026年の CES 2026 イノベーションアワードを受賞しました。同社は2026年に、技術特例ではなく業績を基盤とした一般方式での KOSDAQ 上場を目指しており、2026年の売上高目標として700億ウォン(約74億円)を掲げています。
4.Dotmill(ドットミル)
XR技術を武器に企業研修市場を開拓
2024年売上高:236億ウォン(約25億円) → 2025年売上高:338億ウォン(約36億円)|売上成長率43.2%
Dotmillは、XR(拡張現実)技術を活用した教育・シミュレーションコンテンツを手がける企業です。企業や公共機関における没入型トレーニングコンテンツへの需要拡大を追い風に、着実な成長を続けています。VR(仮想現実)・AR(拡張現実)技術を活用した安全教育や職務研修などの分野で企業向け案件が増加しており、それが業績拡大を後押ししています。
5.VoyagerX(ボイジャーエックス)
AI動画編集ツール「Vrew」が切り拓いたサブスクリプション収益化の成功モデル
2024年売上高:73億8,000万ウォン(約8億円) → 2025年売上高:142億ウォン(約15億円)|売上成長率92.6%
VoyagerXは、AI動画編集ツール「Vrew(ブリュー)」とモバイルスキャンアプリ「vFlat(ブイフラット)」を展開し、BtoC向けサブスクリプションビジネスの収益化に成功した代表的な企業です。売上高は2022年の3億3,000万ウォンから2025年には142億ウォンへと拡大し、わずか3年間で43倍以上の成長を遂げました。Vrewは、2023年5月に有料プランを導入して以降、ARR(年間経常収益)が急速に拡大しました。2025年5月には月間決済額が10億ウォン(約1億円)に到達し、ARRは111億ウォン(約12億円)を記録しています。このうち35%は日本を含む海外市場からの売上です。
2025年の大きなトピックは、AI動画生成機能の導入です。オープンソースの動画生成AIモデル「Wan2.1」をベースに、AWS環境向けの最適化を行ったうえでサービスへ実装しました。すでにAIによる台本作成、音声合成、画像生成機能を提供していたVrewは、動画生成機能の追加によって、企画から制作までを一括で行える「ワンストップ型AI動画制作ツール」への進化を目指しています。また、2024年10月にはIntervest(インターベスト)およびMurex Partners(ミューレックスパートナーズ)から165億ウォン(約17億円)の追加出資を獲得し、累計調達額は465億ウォン(約49億円)に達しました。
6.Neosapience(ネオサピエンス)
AI音声プラットフォーム「Typecast」が売上高100億ウォンを突破
2024年売上高:64億ウォン (約7億円)→ 2025年売上高:106億ウォン(約11億円)|売上成長率66.4%
Neosapience(ネオサピエンス)は、KAISTおよびQualcomm(クアルコム)出身のAI専門家らによって設立されたスタートアップです。AI音声生成プラットフォーム「Typecast(タイプキャスト)」は成長を続けており、2025年には売上高100億ウォンを突破しました。累計登録ユーザー数263万人、サービス提供国・地域数225というグローバルな実績を背景に、法人顧客も急速に増加しています。また、CHZZK(チジジク、NAVER運営)、LG U+(LGユープラス)、SBS(エスビーエス)をはじめ、教育関連企業やゲーム会社など多くの企業がTypecastのAI音声技術を実際のサービスに導入しています。2024年時点の法人顧客数は前年から42%増加しました。
2025年の大きなトピックは、自社開発の生成AIモデルの高度化とプレIPOの資金調達です。同社は、感情表現の細かな制御や話し方のスタイル調整が可能な新モデルを公開したほか、33言語への対応、リアルタイムストリーミングAPI、トーキングアバター機能などを新たに提供しました。さらに2025年11月には、Intervest(インターベスト)やHB Investment(HBインベストメント)などから165億ウォン(約17億円)規模のプレIPO投資を調達し、累計調達額は427億ウォン(約45億円)に達しました。同社は2026年のKOSDAQ上場を準備しています。米国のCedar Lane社(シーダーレーン)との特許紛争は継続しているものの、事業拡大の勢いは維持しています。
7.CALIVERSE(カリバース)
世界最高水準のメタバース技術、成長と事業継続の岐路に立つ
2024年売上高:32億8,000万ウォン(約3億円) → 2025年売上高:71億ウォン(約8億円)|売上成長率116.7%
CALIVERSEは、LOTTE Innovate(ロッテイノベイト)の子会社として、アンリアルエンジン5ベースの超高精細メタバースプラットフォームを2024年8月に正式リリースしました。売上成長率は116.7%と高水準ですが、その多くがグループ会社との取引に依存している点が構造的な課題として挙げられています。また、営業損失は売上高の約2.8倍に達しており、収益性の改善が求められています。LOTTEグループは2021年の買収以降、累計640億ウォン(約68億円)を投資してきましたが、2025年には業績動向を踏まえながら事業継続を検討する条件付き運営体制に入ったと報じられています。同社のメタバース技術は業界最高水準との評価を受けている一方で、今後は持続可能な収益モデルを構築できるかが重要なポイントとなります。
8.Jiro(ジロ)
AI動画制作・流通プラットフォームで成長、CESイノベーションアワードをダブル受賞
2024年売上高:24億6,000万ウォン(3億円) → 2025年売上高:46億5,000万ウォン(約5億円)|売上成長率89.2%
Jiro(ジロ)は、生成AIを活用した動画制作・流通プラットフォームを展開する企業です。同社は、動画制作会社とのマッチングサービス「ドロップショット・マッチ(旧ドゥドゥム)」、アジア市場に特化したストック動画プラットフォーム「ドロップショット・ストック」、さらにAIスタジオ機能を統合したオールインワン型クリエイティブプラットフォームを運営しています。同社の特徴は、ドロップショット・マッチを通じて制作された動画を再編集し、ストック動画として流通させる循環型のビジネスモデルにあります。
CES 2025でイノベーションアワードを2部門で受賞し、グローバル市場でも技術力が高く評価されました。また、BytePlus(バイトプラス)との提携を通じて生成AI技術をプラットフォームへ導入し、サービスの高度化を進めています。さらに、2025年の「革新の森アワード」では「未来成長賞」を受賞しました。2026年初頭には、複数の生成AIモデルをオーケストレーション方式で連携させ、動画生成精度を高めた独自モデル「ドロップショットFlow 1.0」を正式リリースしています。顧客には Google(グーグル)、HYUNDAI(現代自動車)、NAVER(ネイバー)、DOOSAN(ドゥサン)などの大手企業が名を連ねています。また、SBS、LOTTE VENTURES(ロッテベンチャーズ)、IBK Capital(アイビーケーキャピタル)などから累計32億ウォン(約4億円)の資金調達を実施しています。
9.MetaRocket(メタロケット)
バーチャルアイドルの舞台裏を支える存在として売上高7倍超の成長
2024年売上高:10億2,000万ウォン(約1億円) → 2025年売上高:61億6,000万ウォン(約7億円)|売上成長率501%
MetaRocketは、韓国放送局MBCの社内ベンチャーから誕生したスタートアップです。アンリアルエンジンとAI技術を組み合わせ、バーチャルアイドル向けの仮想ステージや照明演出、XRコンテンツを制作するリアルタイムコンテンツスタジオとして事業を展開しています。特にPLAVE(プレイブ)の人気拡大に伴い、大幅な成長を達成しました。同社は、MBCの音楽番組「ショー!音楽中心」をはじめ、メロンミュージックアワード、MAMA 、歌謡大祭典など韓国を代表する音楽イベントのほか、NHKや日本テレビでの放送、Weverse Con、アジアツアーなど、PLAVEのほぼすべてのバーチャルステージ制作を担当してきました。2025年8月には、Unreal Fest Seoul (アンリアルファストソウル)において「K-POPバーチャルステージ制作ワークフロー」をテーマに講演を行い、自社の技術力を公開しました。また同年には、NIPAパートナーズデイで「超格差AIイノベーション賞」を受賞しています。現在はPLAVEに加え、Sphaze(スペイズ)、LUVITA(ラビタ)、nævis(ナイビス)など、さまざまなバーチャルアーティストのステージ制作案件を受注しており、事業ポートフォリオを急速に拡大しています。
10.Draftype(ドラフトタイプ)
AIとデータで広告業界を変革、売上高は7倍超に成長
2024年売上高:4億800万ウォン(約4,000万円) → 2025年売上高:30億1,000万ウォン(約3億円)|売上成長率638%
Draftypeは、ビッグデータとAI技術を広告業界全体に活用するBtoB SaaS企業です。同社は、広告戦略の立案からクリエイティブ制作、メディアプランニング、広告媒体開発までを一貫して提供する統合型ソリューションを展開しています。主要顧客には、新世界免税店や、MEDIHEAL(メディヒール)をはじめとする大手ブランドや広告代理店が含まれています。2025年にはシリーズAラウンドの資金調達を完了し、高い成長性が市場から評価されました。同社の大きな特徴は、ソフトウェアだけでなくハードウェア領域まで自社で開発している点です。韓国初となるモーターエンジンベースの可動式OOH(屋外広告)メディア「明洞Following Media(ミョンドン・フォローイングメディア)」を独自開発し、広告体験の高度化を進めています。また、回転型広告制御技術や生成AI画像技術など、10件の特許を保有しています。2025年の売上高は約30億ウォンとなり、前年比で約7.5倍という急成長を記録しました。
11.SCON(スコン)
3D VTuberソリューションとMCN事業で売上高2倍超の成長
2024年売上高:21億4,000万ウォン(約2億円) → 2025年売上高:52億ウォン(約5億円)|売上成長率142.8%
SCON(スコン)は、2018年に設立されたバーチャルキャラクターソリューションおよびMCN事業を展開する企業です。同社は、独自開発した3Dリアルタイムキャラクターアニメーションソリューション「meechu(ミーチュ)」を基盤に、顔出しをせずにライブ配信やコンテンツ制作が可能なVTuberプラットフォームを運営しています。また、所属VTuberであるデウォルヒャンがYouTube登録者数100万人を突破するなど、30名以上のクリエイターを抱えるVTuber専門エンターテインメント企業としても成長を続けています。2025年には、自社VTuber IPを活用したモバイルゲーム「VTuber育成:RPG」をリリースし、IP収益化の多角化を進めました。さらに、SM Culture Partners(SMカルチャーパートナーズ)、NAVER D2SF(ネイバーD2SF)、KCC情報通信などから累計110億ウォン(約12億円)の資金調達を行い、成長基盤を強化しています。
12.Crevasse AI(クレバスエーアイ)
AI音楽レコメンドサービス「Pinply」で3.5倍成長
2024年売上高:10億9,000万ウォン(約1億円)→ 2025年売上高:38億3,000万ウォン(約4億円)|売上成長率250.9%
Crevasse AIは、AIベースの音楽レコメンド・ソーシャルサービス「Pinply(ピンプリー)」を運営するミュージックテックスタートアップです。音楽プロデューサー出身の創業者が率いる企業で、AI音楽レコメンドアルゴリズムと画像生成技術を組み合わせたサービスを開発しています。2025年には前年比250.9%という高い成長率を記録しました。詳細な事業内容や成長指標については、「革新の森」の企業ページで確認できます。
本レポートは、革新の森(innoforest.co.kr) が保有する2024〜2025年のスタートアップ財務データおよび公開ニュースをもとに作成しています。
原文:https://www.innoforest.co.kr/report/472/
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