[CHOI&LEEのスタートアップ×法] #3 NFTで偽物と本物の商品を区別できる？

前のセクションでは、NFTに関連して発生する可能性のあるさまざまな法的問題を紹介しました。今回のセクションでは、NFTが持つポジティブな役割を紹介したいと思います。

現在、私たちが直面する法的紛争はより深刻で複雑になっています。もちろん、いろいろな理由がありますが、国の境界が崩れ、新しいプラットフォームが出現し、技術が発展し、電子商取引が急速に発展しているなど、世界が急速に変化していることもあるでしょう。このプロセスにおいて、1つの法的行為、1つの契約に多くの利害関係者が介入し、予期しない法的紛争が発生したりします。

近頃、オンラインファッションストアMUSINSAが販売した「Fear of God」ブランドのTシャツが本物か偽物かをめぐって、MUSINSAとNaverリセールプラットフォームKREAMの間で紛争がありました。MUSINSAでTシャツを購入した消費者が、それを転売しようとリセ―ルプラットフォームであるKREAMに査定を依頼したところ、KREAMはそのTシャツを偽物であると判断しました。

しかし、MUSINSAは、Tシャツは本物であり、Naver KREAMの偽物という判断は認めることができないと主張しました。結局、KREAMはFear of God本部に製品の査定を依頼し、その結果、その製品は偽物であると判断されました。

企業はすでに本物であるかを検査するため、常時モニタリングや売り手への製品保証書・正規流通を証明する書類の提出、ブランド品鑑定会社との提携導入、公式著作権をもつ企業とのパートナーシップを締結など様々な方法を使用していますが、それですら充分でない状況になっています。

では、NFTがそれをどのように補完できるのでしょうか？

最近、新しい方法として浮上しているのが、NFT証明書です。では、NFT保証とは何でしょう？既存の方法通り、流通を証明出来る書類を提出しても、ブランド品証明書自体が偽造や改ざんに対して脆弱です。企業の努力とコストにもかかわらず、本当に完全に偽造されたブランド品証明書であれば、ブランド品と偽物を区別することは困難です。

各NFT、すなわち代替不可能トークンは、それぞれ固有の価値を持っています。したがって、固有の価値を持つNFTで保証書を発行すれば、どの製品が本物か偽物かを判定できるのです。このデジタル保証書には、製品情報、購入履歴、保証期間、セキュリティ情報などが含まれているため、最終的に自分の元にある製品が、過去どんなヒストリーを辿ってきたのかを把握できます。

NFT保証書を偽造、改ざん出来ない原理は次のとおりです。ブロックチェーンを適用したデジタル資産については、すべてのユーザーが別々に取引履歴を持っているため、取引履歴を確認するには、全員が所有する帳簿を照会して確認する必要があります。もし一部に情報の改ざんが発生した場合、取引履歴が確認できないため、事実上、偽造や改ざんは不可能であると考えられます。

最近、SSG.COM、LF mall（LFモール）等もNFT保証を導入し、韓国ブランド鑑定研究所もMASS ADOPTION（マスアダプション）とNFTデジタル保証書業務契約を締結しました。このようなさまざまな企業や機関によるNFTの導入を見て、正規品認証のプロセスにおいて、NFTがどのように発展していくのか期待されます。

NFTの登場により、既存の、実物を前提とした所有権と著作権の概念では保護できなかったデジタルアート分野も注目されています。インターネットの世界にファイルとして存在するデジタルアートは、私たちが一般的に知っている実物の美術品よりも価値が低いと評価されています。

しかし、NFTの導入により、デジタルアートにも取引記録や作業情報が入力されるなど、固有性が与えられたことにより、デジタルアートの価値が高まりました。デジタルアートのアート時代が始まる中で、既存の実物の美術品のように少数の人々に独占されてきた美術作品取引市場が少しずつ一般に近づいてきており、専門家はそれをポジティブに評価しています。

NFTの出現によるポジティブな影響を強調するためには、新しい技術であることに応じたNFT技術への高い理解を通した適切な法律とガイドラインを持つことが重要であると思われます。NFTといえば、連想されるホットイシュー、メタバースについての説明を省くことはできませんよね。次の記事からは、メタバースについて学んでいきます。

投稿：CHOI&LEE法律事務所ハン・ダウン弁護士

原文：https://platum.kr/archives/186821