円安・政府支援の影響で「チャンスの地」となった日本…韓国VCの日本進出ラッシュ
円安・政府支援の影響で「チャンスの地」となった日本…韓国VCの日本進出ラッシュ
韓国のベンチャーキャピタル(VC)業界における日本の地位が変わった。韓国、中国、東南アジアなど周辺国に比べて、まだ初期段階である日本のスタートアップ生態系には多くの投資機会がある。また、円安の影響で、投資回収時には投資収益に加え、為替差益も期待できる。
韓国VCの日本進出も活発化している。現地VCと投資業務協定(MOU)を締結したり、日本現地に事務所を設けて、スタートアップを発掘するアクセラレーター(AC)も出てきている。
「スタートアップ不毛の地」だった日本が「出資を受けたい国」に
/写真提供=VC協会
6日、ベンチャー投資業界によると、韓国ベンチャーキャピタル(以下、VC協会)は先月、「GVIS(ジービス)SEOUL 2023」に参加したVCを対象にアンケートを実施したという。GVIS SEOUL 2023は韓国内外の主要VCと出資者(LP)間の交流の場であり、韓国VCの海外での能力強化を目的として設けられた。
VC協会は、GVISに参加した42社のVCを対象に、韓国VCの海外LPに対する認知度とGVISの満足度に関するアンケートを実施し、そのうち24社が回答した。
6つの質問のうち最も目立った項目は、「今後注目すべき海外LP国家」だった。複数選択方式で行われた調査で、20社のVCから選ばれた米国が1位を獲得した。東南アジアと中東がそれぞれ17社と11社で後に続き、4位(9社)は日本と欧州だった。
過去にVCから人気だった香港と中国は0票という結果だった。新型コロナウイルスのパンデミックと海外投資家に対する規制強化により、中華圏に対する投資注目度が大幅に低下したものと考えられる。
「VCが海外進出を希望する国」という項目でも、日本は高い順位を記録した。20社から選ばれた東南アジアと18社から選ばれた米国に次いで3位(6社)を記録したのだ。中国は0票という結果だった。
VC協会の関係者は「今回の調査で特筆すべき点は、過去に比べ日本と中東の進出希望率が高いということだ。」とし「最近、米中対立で中国のベンチャー投資に対して制限する動きが加速している。」と述べた。
低い企業価値・円安・政府支援…日本のベンチャー投資における3つの好材料
中小ベンチャー企業部のイ・ヨン長官(右)が先月12日、東京の政府庁舎で後藤茂之スタートアップ担当相(左)と二国間会談を行った。
/写真提供=中小ベンチャー企業部
韓国のVCが日本に注目する理由は大きく3つある。まず、日本政府の積極的なスタートアップ関連政策だ。昨年、岸田文雄内閣は5年間のスタートアップ育成政策を発表した。
5年以内にスタートアップの数を10倍(10万社)に増やし、ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)100社を目標に10兆円(約89兆8,980億ウォン)を投入する方針だ。また、△大企業、△大学、△研究機関、△公共機関、△地方自治体、△投資機関などを連携させたネットワークも構築する計画だ。
日本のベンチャー投資市場が韓国に比べて比較的発展途上にあることも好材料だ。昨年の日本のベンチャー投資は8,508億円を記録している。前年比3.03%増の過去最高値だ。しかし、国内総生産(GDP)に対するベンチャー投資は0.16%で、0.31%である韓国に比べるとはるかに低い。ユニコーンも6社のみだ。スタートアップの企業価値も周辺国と比較して相対的に過小評価されている。
過去最高の円安も日本のベンチャー投資市場の注目度を高めている。新型コロナウイルスのパンデミック直後の3月に100円あたり1191.34ウォンまで上昇した円は、現在1,000ウォン当たり897.49円(6月23日)まで下落した。全世界的に中央銀行が緊縮財政を推進する流れにもかかわらず、日本銀行(BOJ)が単独で金融緩和政策を行った結果だ。
「日本のベンチャー市場を攻略すべし」…水面下で動き出す韓国のベンチャー投資会社
韓国で日本市場への投資に最も積極的に取り組んでいるのは新韓ベンチャー投資だ。先月22日、新韓ベンチャー投資は日本のGlobal Brain(グローバル・ブレイン)と投資パートナーシップを締結した。Global Brainは昨年投資額228億円(約2,000億ウォン)、総運用資産(AUM)2,200億円の大型VCである。日本2位の通信会社であるKDDIや日本不動産業界1位の三井不動産など、主要な大企業をLPとしている。
両社は日本現地の有望なスタートアップを発掘し、日本進出を検討している韓国のスタートアップにも投資する計画だ。新韓ベンチャー投資はこのため、年内に500億ウォン(約55億円)規模の日本のファンド設立を準備している。
そのための下準備は早くから始まっていた。昨年、新韓金融グループは新韓Future's Labs Japan(フューチャーズラボジャパン)という、日本市場に進出する韓国のスタートアップを発掘・育成するプラットフォームを作った。その他の大手VCも、日本の事務所設置や現地スタートアップ投資のためのファンド組成を準備している。
日本への関心はAC業界でも同様に高まっている。銀行青年創業財団(D・CAMP)も先月、日本進出を宣言した。日本フィンテック革新センターのFINOLAB(フィノラボ)と協約を結び、現地のスタートアップ育成のためのスペースを設けた。D・CAMPは主に韓国のスタートアップの日本進出と現地での資金調達をサポートする計画だ。1世代ACであるSparkLabs(スパークラボ)のキム・ホミン代表も最近、日本進出に乗り出したことが明らかになっている。
<写真=ゲッティイメージバンク提供>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2023070609114566815
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