ニュース

「スタートアップコリア」デジタル大航海時代に国境のなき起業国へ

アイキャッチ
目次

「スタートアップコリア」デジタル大航海時代に国境のなき起業国へ

韓国政府が先月30日に発表した「スタートアップコリア」総合対策には、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の中・長期起業支援政策の方向性が盛り込まれた。韓国人が起業した海外法人も韓国内の法人と同じ水準の起業支援を行い、外国人が韓国で設立した法人も同様に支援する。優秀な海外の人材が韓国で自由に起業や就業ができるよう、ビザ制度も大々的に改編する。2027年までにグローバル100大ユニコーン企業を5つに増やし、ソウルの起業・ベンチャーエコシステムの順位を現在の10位から7位に上昇させることが目標だ。

中小ベンチャー企業部(省、中企部)のイ・ヨン長官は「ベンチャー・スタートアップが経済成長をリードする国、『スタートアップ・コリア』の実現に向けて、各省庁が力を合わせて総合対策を策定した」とし、「現在1社のグローバル100大ユニコーンに、Kスタートアップを5つまで増やし、ベンチャー投資の拡大などを通じて起業・ベンチャーエコシステムの順位を引き上げるなど、韓国をアジアナンバー1、世界3大起業大国に成長させる」と述べた。

◇韓国人が設立の海外法人も韓国企業と同様に起業支援

最大の変化は起業支援政策の対象だ。韓国人の韓国内での起業に限定していた政策対象を、韓国人が起業した海外現地法人と韓国で起業の外国人に拡大する。韓国で税収確保や雇用創出など、韓国経済に寄与できる海外法人なら韓国内の法人と同様に支援する。本社は外国にあるが、韓国内の事業を並行しながら韓国内の売上高と雇用を増やしたスタートアップMEMEBOX(ミーミーボックス)、海外での起業に成功し、韓国で事業拡大を模索するMOLOCO(モロッコ)、enuma(エヌマ)などが代表例だ。

詳しい支援要件は起業支援法に盛り込む。韓国人が設立した海外法人と韓国内のスタートアップが支配・従属関係を結ぶ場合、韓国人の海外での起業や海外本社の移転(flip)などで本社が海外にあるが、韓国経済に寄与している場合など、支援要件を明示して法令を改正する計画だ。

海外ベンチャーキャピタル(VC)から資金を調達し、海外法人を設立したスタートアップには、海外進出資金など、政府支援をマッチングして資金調達拡大と海外進出も誘導することにした。20社を対象に、今年、優先プログラムを導入する。

グローバル市場進出のための海外進出専用ファンドも大幅に増やす。海外VCにファンド・オブ・ファンズが資金を出資するグローバルファンドを来年までに10兆ウォン(約1兆1,022億4,900万円)規模に拡大する。海外の現地法人や合弁法人を設立した起業・ベンチャー企業に集中投資する海外進出専用ファンドも助成する。2027年までに2兆ウォン(約2,204億4,800万円)規模で造成するスタートアップコリアファンドのうち、相当規模を割愛する計画だ。

業種別スタートアップ支援も拡大する。 △コンテンツ △データ △エドテック △フードテック △海洋新産業 △知的財産 △プロップテックなど、業種別専担部署と協業して海外進出を支援する。

◇優秀な海外の人材による起業エコシステムへの参入が自由に

起業・就労ビザ制度も大々的に改編する。米シリコンバレーのように優秀な人材と資本を内部起業エコシステムに参入させるためだ。豊富な投資資本はもちろん、活発に起業に挑戦できる文化を内部に醸成し、技術発展と革新を成し遂げるという構想だ。

技術性と事業性などに優れた事業モデルを有する外国人には、起業ビザを付与することはもちろん、事業化資金の支援も検討する。売上高の要件だけでなく、資金調達、雇用、特許権、R&D実績などを考慮して技術起業ビザ(D-8-4)の延長を定める。起業を希望する留学生(D-2ビザ)が起業準備ビザ(D-10-2)に簡単に切り替えられるよう、ビザ変更制度を活性化させる。中企部と法務部(省)が協議して細部基準を設ける計画だ。学生ビザを有した外国人が韓国の創業企業インターンとして勤務できるよう、活動許可範囲も拡大する。

外国人専門人材ビザ(E-7)の発行要件の緩和も推進する。コンピュータシステム設計及びアナリスト、システムソフトウェア(SW)開発者など、スタートアップの人材需要が高い業種が対象だ。法務部長官が定める分野に中企部長官が推薦する方式で業種を選別する予定だ。

中企部のイ・ヨン長官は「IBM、NVIDIA、Googleなど、グローバル企業でも米国人最高経営者(CEO)を見つけるのが難しいほど、外国人にエコシステムが開かれている」とし「法務部で移民庁設立を検討しているように、現場の生産人口が減る状況で韓国内の人材だけでは経済体制を維持しにくいという判断が反映されたものだ」と話した。

◇アウトバウンド-インバウンド起業で「オン-オフライン」起業エコシステム構築

韓国人の海外進出、外国人の韓国参入のハードルを下げ、国境と空間を超越して起業できるエコシステムを作ることが「スタートアップコリア」の中核目標だ。このような構想をもとに、オン・オフラインの両方にグローバルスタートアップエコシステムのための支援環境も造成することにした。

オフラインにはグローバル企業とスタートアップ、VCなど、革新主体が自由に意思疎通して交流できるスタートアップハブ「スペースK」を造成する。候補地選定から運営まで全過程を民間中心に推進することが目標だ。年末までに造成の基本方向を確定し、来年から基本計画の樹立などを経て、2025年から構築する計画だ。来年の予算にも既に15億ウォン(約1億6,500万円)を編成した。

ネットワーク上の仮想スタートアップエコシステム「Kスタバース」も構成する。物理空間の制約なしにデジタル仮想空間で自由に交流できるようにしようというアプローチだ。エストニアで既に導入中の「電子永住権」と同様の方法で、仮想空間で外国人が韓国で起業できるようにする制度も導入を検討中だ。事業体の設立と口座開設、税金納付など公共サービスを全て仮想空間で可能にするのが骨子だ。

このほか、スタートアップコリア総合対策には△ベンチャー投資の民間転換促進及び新たな起業支援・新たな起業支援方式の導入 △地域起業クラスターの活性化及び地域ベンチャー投資環境の補完 △ディープテックのスタートアップ育成のための開放型イノベーションの活性化と規制改善△蓄積された経験を通じた起業の雰囲気の造成―などの戦略が盛り込まれている。


<スタートアップコリア推進戦略>



原文:https://www.etnews.com/20230830000210




/media/電子新聞
記事を書いた人
電子新聞

今年で創刊40周年を迎えた電子新聞は、電子情報分野におけるサクセスストーリーのスクープを追ってきた知識経営の専門紙です。 韓国を代表するIT専門誌である電子新聞は、産業·経済を融合したメディアとして成長していきます。

  • ホーム
  • ニュース
  • 「スタートアップコリア」デジタル大航海時代に国境のなき起業国へ