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知っておきたい「NFT」(3/4):ブロックチェーンゲームの法的イシュー|法律

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最近、NFTが最も脚光を浴びている領域の一つはゲームです。ベトナムのゲーム会社である「スカイメイビス(SkyMavis)」が出した「アクシーインフィニティ(Axie Infinity)」、大韓民国のゲーム会社である「ウィーメイド」が出した「ミル4」が旋風を巻き起こし、NFTをはじめとするブロックチェーン技術を基盤としたゲームへの関心度が急上昇しました。

しかし、韓国内では、NFTや暗号資産を得ることができるブロックチェーン基盤のゲームが法律上許容されるかに関してまだ論争があります。実際にゲーム物管理委員会(以下、「ゲーム委」)は、ゲームアイテムをNFTでミンティングして取引することができる「Five Stars for Klaytn」と類似のゲームものに対する等級分類を拒否または取り消しており、現在、「Five Stars for Klaytn」に対しては、行政訴訟で激しい攻防がなされている状況です。このような最新の動向を含め、今回は韓国内でブロックチェーンを基盤としたゲームサービスを行おうとする際に考慮すべき主な法的イシューには何があるかに関して紹介します。

最近注目されているNFTに関連する諸般のイシューについて4回にわたってご説明しています。今回の第3編ではNFTゲームを含め、ブロックチェーン技術が適用されたゲームに関連する法的イシューについて概括的にご説明します。

 

ブロックチェーンゲームの法的イシュー

射幸性規制

「ゲーム産業の振興に関する法律」(以下「ゲーム産業法」)によれば、ゲーム委員は「射幸行為等の規制及び処罰特例法」、「刑法」などほかの法律の規定または本法によって、規制または処罰対象になる行為または機器に対して等級分類を申請した者、正当な権原を備えていない、または偽りやその他の不正な方法で等級分類を申請した者または射幸性ゲーム物に該当するゲーム物に対して等級分類を申請した者に対して等級分類を否定することができ、等級分類を受けたゲーム物が等級分類拒否対象である事実を知った場合には地帯なく等級分類決定を取り消さなければなりません。

 

ここでの射幸性ゲーム物とは、偶然的な方法で結果が決定されるゲーム物等で、その結果によって財産上の利益または損失を与えるものをいいます(「ゲーム産業法」第2条第1の2号)。「射幸行為等の規制及び処罰特例法」は、許可を得ずに射幸行為営業を行う行為等を禁止しています。また、ゲーム物関連事業者(ゲームの制作、配給、提供業者等)は、ゲーム物を利用して賭博その他の射幸行為を行わせたり、これを行うように放置しないこと、景品等を提供して射幸性を助長しないこと等、ゲーム産業法による射幸性規制を遵守しなければなりません。このような義務に違反した場合、それ自体で刑事処罰が可能になる場合があり、何よりも関連ゲーム物の等級分類が取り消しまたは拒否され、国内でゲームサービスを行うことが難しくなりえるので、注意が必要です。

 

実際にゲーム委は、NFTや暗号資産を得ることのできる多数のゲーム物に対し、ゲーム産業法第28条の違反等を理由に等級分類取消または、拒否処分を下しました。このような理由により、国内ではなく海外でのみブロックチェーンゲームサービスを発売しようとする事例が増えている状況であり、冒頭で申し上げた「ミル4」の場合も同様に、国内ではなく海外でのみブロックチェーンゲームサービスが行われています。したがって、ブロックチェーンゲームサービスを行うためには、事前に射幸性規制のイシューについて正確に分析し、それによるビジネス判断を下す必要があります。

両替規制

ゲーム産業法は、「何人もゲーム物の利用を通じて獲得した有形・無形の結果物を両替または両替斡旋したり、再買取を業として行う行為」を禁止しています(以下「両替規制」)。そして、同法施行令において、このような両替規制の対象をゲーム物を利用する際にベッティングまたは配当の手段になったり、偶然的な方法で獲得されたゲームマネー、ゲーム物の正常ではない利用を通じて生産・獲得したゲームマネー等に具体化しています。このような両替規制に違反した場合、刑事処罰に処することができます。

 

このような両替規制は、その適用対象の範囲が限定されているので、ブロックチェーンゲームにおいてアイテムをNFTで発行して販売することが可能であるからといって、常に両替規制が適用されるわけではありません。例えば、大法院は、2009年に両替規制違反で起訴された被告人は「リネージュ」で得たゲームマネーである「アデン」が偶然的要素よりは努力や実力によって左右される程度がより強いという理由等により、両替規制の適用対象にならないと判断しました。したがって、ブロックチェーンゲームを発売する際には、法令、判例等に照らし、ゲームの種類や運営方法等によって両替規制の適用有無が変わり得るので、事前に検討してみる必要があります。

ゲーム関連NFTが暗号資産に該当するかどうか

個別NFTが「特定の金融取引情報の報告及び利用等に関する法律」(以下「特定金融情報法」)上の暗号資産に該当する場合、暗号資産事業者に関する規制など特定金融法上の規制が適用され得るので、NFTを活用したブロックチェーンゲームを発売する際には、これに対する綿密な検討が必要です。第1編でご説明したとおり、特定金融情報上の暗号資産とは、経済的価値を有するもので、電子的に取引または移転され得る電子的証票(それに関する一切の権利を含む)として幅広く定義されていますが、「ゲーム産業法第32条第1項第7号によるゲーム物の利用を通じて獲得した有形・無形の結果物」の具体的な範囲がどのこまで認められるかが重要な争点になり得ます。

 

一方、現行の特定金融情報法上、NFTが暗号資産に該当するかどうかは、個別のNFTに内在する権利、用途など具体的な事情を総合的に考慮し、個別に判断する必要があるというのが規制当局の立場であるため、NFTを活用したブロックチェーンゲームを発売しようとする際には、特定金融情報法による暗号資産に該当するかどうか、さらには、暗号資産事業者に該当するかどうかに対して事前に検討の上、考慮しなければならないと考えられます。


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/media/金・張法律事務所(KIM&CHANG)
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