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【ちょい事情通の記者】 [そのとき投資]200兆ウォン(約22.1兆円)規模、世界ツアー・アクティビティ市場の「xCREWユニバース」を夢見る

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[そのとき投資]200兆ウォン(約22.1兆円)規模、世界ツアー・アクティビティ市場の「xCREWユニバース」を夢見る

  • SparkLabs(スパークラボ)キム・ユジン共同代表 

 「そんなビジネスアイテムは一体どうやって見つけたんですか?」

 創業者がよく聞かれる質問である。しかし、ほとんどの場合、この「ビジネスアイテム」というものは、泥水の中の真珠のように、一生懸命探し求めて、突然キラキラと目に入ってくるものではない。むしろ、日常を生きながら、仕事をしながら、繰り返し経験する小さな煩わしさ、不便さ、大きな頭痛の種が積み重なり、「いっそ自分で解決してしまおうか」というポイントに達したときに作られる。

 旅行・アクティビティプラットフォームのスタートアップ、xCREW(エックスクルー)もそのようにして始まった。韓国有名アウトドアブランドのデジタルマーケティング代行エージェンシーを運営していたクァク・サンジュン代表が、顧客をより深く理解するために、キャンプに挑戦しようとした際、直面した高い壁がきっかけだった。キャンプを始めるにはどんな道具をどこで買えばいいのか、それぞれの道具は正確にどうやって使うのか、初心者に最適なキャンプ場はどこなのかなど、必要な情報やノウハウはたくさんあったが、簡単に入手できる経路はオンラインにもオフラインにもなかった。ポータルサイトで検索し、文字通り情報の海でさ迷ったり、複雑な「登録」の過程を経てサイトに入り、また情報の中に埋もれていく過程を繰り返すうちに、クァク代表にもやはり「自分が解決するか」というポイントが訪れた。

 準備プロセスが複雑で参入障壁が高いのはキャンプだけではなかった。初心者には、ほとんどのアクティビティがそうだった。クァク代表はすぐにこの問題を解決できるサービスを構想し、2020年11月、旅行やアクティビティを楽しみたい人のためのプラットフォーム「xCREW」をローンチした。解決したい問題も明確だったが、タイミングもぴったりだった。コロナのパンデミックをきっかけに、アウトドア、アクティビティ市場に第2の全盛期が到来していたからだ。2021年スタートアップ支援事業を通じて出会ったクァク代表をSparkLabsアクセラレーティングプログラムに参加するよう説得し、投資を行った。


xCREW クァク・サンジュン代表 /SparkLabs提供


 xCREWはMZ世代の1人暮らし世帯、会社員を対象に、仕事帰りの特別なアクティビティ参加を通した新鮮な体験を提供している。すべてのアクティビティは、様々なアクティビティを企画・運営する実績のある「クルー長」と、年齢、性別、地域に関係なくアクティビティに参加する「クルーメンバー」で構成されている。ランニング、キャンプ、テニス、登山、サーフィンなど様々なアクティビティと希望のクルーを選んで決済すれば、準備は終わりだ。「漢江(ハンガン)ウォーキングラン」、「バーベキューパーティーとサーフィンMT」、「今年の夏、自分だけのための挑戦、ウィンドサーフィン」など、仕事帰り、週末などの余暇時間を利用して特別な体験をしたい20代30代代の会社員のためのアクティビティが多く存在する。好きな日に好きな場所で楽しくアクティビティを楽しみさえすればいいのだ。飲み会や「打ち上げ」はない。それぞれ楽しく、クールに帰宅すれば終わりだ。

 xCREWは、迅速かつ安価なテストと検証を通じてスピード感を持って事業を成長させる、「リーンスタートアップ」の典型を示した。SparkLabsプログラム参加期間中、私たちはxCREWの「本当の顧客」を見つけることに重きを置いた。やみくもにアクティビティの種類を増やすのではなく、最も早くスケールアップできる「ランニング」に焦点を当て、様々なテストを行った。「ランニングクラス」、「ランニング講習」、「退勤後の漢江(ハンガン)ランニング」など様々な商品を出し、参加顧客のデータを収集して分析した。この過程で、xCREWのアーリーベンジェリスト(新しい商品、サービスに対する洞察力を持ち、それを喜んで購入してくれる顧客)100人以上を見つけ出し、詳細インタビューを行った。 


/SparkLabs提供


 詳細なインタビューを通じたフィードバックの反映、テストの過程を迅速に繰り返し、xCREWの顧客に最適なランニングアクティビティを検証した結果、前年度に43種のアクティビティで達成した月間購入ユーザー数をランニング1種目で3ヶ月で達成するという驚異的な成果を導き出した。xCREWは現在もすべての種目をこのようにそれぞれのPMF(Product-Market-Fit)検証過程を行って増やして行っている。

 xCREWは2022年にSparkLabsを通じてシード投資で資金調達を行った後、同年にKYOWON(キョウォン)とHOME&SHOPPING(ホームアンドショッピング)から投資を受け、、今年KIMGISA LAB(キムギサラボ)とKorea Credit Guarantee Fund,(信用保証基金、KODIT)からプレシリーズA投資で相次いで資金調達を行った。過去3年間ソウルに集中していたサービス地域も、仁川(インチョン)、水原光敎(スウォン クァンギョ)、城南板橋(ソンナム パンギョ)、高陽一山(コヤン イルサン)など首都圏の特定拠点に拡大するため準備中であり、来年初めには日本の東京に進出するための準備を進めている。


 

では、xCREWは徐々に韓国主要都市に拡大し、韓国ナンバーワンのアクティビティプラットフォームへと成長した後に、海外市場に進出するのだろうか?そうではない。私たちは、創業者にいつも「その時ではもう遅い」と言っている。xCREWはすでに本格的な海外進出のためのテストを行っている。xCREWの海外進出戦略は、「Blue Marble(ブルーマーブル、世界を巡って攻略していくボードゲーム)」のように、国単位ではなく、旅行者やアクティビティマニアが集まる主要都市に集中する。xCREWソウル、xCREW東京、xCREWニューヨーク、xCREWシドニーなど、OECD38加盟国の主要都市を拠点としたxCREWグローバルコミュニティを形成し、韓国人、韓国在住外国人、旅行者などが一緒にアクティビティを楽しめるようにする計画である。

 まだソウルでサービスしているスタートアップの計画にしては大げさではないかと尋ねる人には、心配するなと言いたい。全世界の人々のライフスタイルを変えたAirbnb(エアービーアンドビー)やStarbucks(スターバックス)も、みな、ある一つの都市で生まれ、発展してきた。数多くのPMF検証過程で鍛えられたxCREWはすでに準備が整っている。彼らが次の都市で披露する胸躍るようなアクティビティが待たれる。

/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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