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【ちょい事情通の記者】Supercoder、毎月エンジニアの給料から10%受け取るビジネス「2年後には100万人の海外エンジニアをテストしたい」

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 【ちょい事情通の記者】Supercoder、毎月エンジニアの給料から10%受け取るビジネス「2年後には100万人の海外エンジニアをテストしたい」

[Second Team] Supercoderが顧客からエンジニアの年収10%を受け取る理由

「海外発展途上国の有能なエンジニアを企業が在宅勤務の形で雇用できるように支援するビジネスモデル」

ある意味、ありふれたペインポイントです。2020~2021年のITエンジニア不足で、どのようなスタートアップ起業家も一度はお酒の席で「こんなにエンジニアを採用するのが難しいのに、私がこの問題を解決してみようかな」と思ったことがあるはずです。今すぐ、企業の痛いところに、海外のエンジニアをつなぐだけでビジネスが回るのですから。本来、人材派遣やヘッドハンティングは長い歴史があるため、ニーズさえ解決すれば企業の支払い意思も明確です。

しかし、ほとんどの人は首を横に振ってしまうでしょう。障壁も100個くらいはあるはずだからです。 「海外のエンジニアをどうやって集めるのか」「韓国企業の独特な開発文化を外国人が理解できるか」「海外の人材プールをきちんと管理できるか」「何より人を紹介するビジネスは変数が多すぎる」「労働市場の柔軟性は突破不可能ではないか」などなど。

Second Team(セカンドチーム)のチェ・ジェウン代表はそれを実行した人です。 現在、投資誘致額10億ウォン(約1.1億円)に過ぎないSecond Teamは、「韓国第1号海外エンジニア採用仲介プラットフォーム」という肩書きを持つ、「Supercoder(スーパーコーダー)」をリリースしたスタートアップです。法人設立2年目の2022年には、帳簿上ですが損益分岐点(BEP)も達成しました。

誰もが知っているペインポイントを解決すること。ありふれたビジネスに見えれば見える程、実は潜在的な市場はもっと大きいということ。他の人も知っているけどスルーしていること。投資がなくても回るビジネスモデルという、氷河期のスタートアップ起業家が羨む立場に立ったチェ・ジェウン代表のストーリーです。

Second Team チェ・ジェウン創業者/Second Team

海外のエンジニア2万5000人を面接してテストした...合格したのは1000人

-Second Teamは会社名ですよね。外部的には「Supercoder」というサービスが有名です。

「Second Teamは、全世界にいる海外エンジニアを先進国につなぐプラットフォームであるSupercoderを運営している会社です。単純に開発者を繋ぐだけでなく、Second Teamが海外エンジニアを集め、この開発者を事前にテストするプロセスまで行っています。実績のあるエンジニアをそれぞれの会社へ紹介します。エンジニアの採用プロセスもサポートしています。実際、海外エンジニアを採用すると際には、様々なプロセスが容易ではありません。そうしたプロセスまでHRのように担当します。」

-実績をお聞きしてもよろしいでしょうか。どれくらいの人数がSecond Teamを通じて韓国企業で活動しているのですか。

「現在まで、スタートアップから大企業まで約80社ほどでSupercoderを活用して海外エンジニアとの仕事が行われています。Supercoderでは2万5000人の海外エンジニアを集め、そのエンジニアを一人一人テストしました。実際にSupercoderのプラットフォームから顧客に繋ぐエンジニアは、5%未満です。2万5000人いて1000人程でしょうか。いわば、2万4千人程はSecond Teamのテスト過程で脱落したということです。このような1000人のエンジニアのうち、実際に企業に繋がっているエンジニアは100人前後です。」

-初期と言うべきでしょうね。

「そうです。」

-気になるテーマとして、どのような「ペインポイント」を見て、解決できると思ったのでしょうか?

「実はSecond Teamより前の2018年にブロックチェーン分野のスタートアップを起業しました。当時は開発者の需給はそれほど難しくはありませんでした。エンジニアをたくさん採用しました。2019年になると、ビッグテックがエンジニアを大量に採用するようになりました。韓国だけでなく、世界中でエンジニア不足が起きていました。開発者の供給が需要に追いつかなかったのです。同じように、当時の会社でも2018年にエンジニアをたくさん採用していたのですが、多くの人が離職しました。その後、自社でエンジニアを再び探すのはとても大変だったのです。」

-覚えています。エンジニアの年収が急に上がりました。

「分析してみると、2019年~20年頃、エンジニアの絶対的な不足人数が1万人から1万5000人程になっていました。昨年基準で1万5000人です。 エンジニア採用ができない理由は、単に自社が今小さな会社だからというわけではなく、エンジニアの供給が絶対的に不足しているという問題だったのです。」

エンジニアのアビトラージ...アメリカかアフリカかによって、同じ人材でもコストは10倍の差

-エンジニアの不足数は1万5000人?むしろ体感していたのより少ないですね

「政府は2つの方向でこの問題を解決しようとしました。一つはエンジニア育成。新人教育や非専攻生を教育することです。政府がcodestates(コードステイツ))や「LIKELION(ライクライオン)」のような企業を支援するんです(上記2社は非専攻生にエンジニア教育を行う企業)。実際、それでも育成する人材の数が絶対的に不足しています。育成したエンジニアが全員採用されると仮定して、1万5000人足りないのです。」

「エンジニア育成といっても、実のところ、非専攻生であり、もともとエンジニアになろうとしていた人たちではないため、実際の企業現場ではいろいろと期待に沿わない面も少なくありませんでした。企業では、実際に入社してすぐに仕事ができる、少し中・上級のスキルを持ったエンジニアが必要としていたのです。韓国で不足している絶対数は1万5000人ですが、実際に不足していると実感されている数は6万人ほどになります。」

「人材育成だけでは難しいので、絶対的な供給を増やすには海外から連れてくるしかないと思いました。グローバルにリサーチしてみると、これは世界的な問題でした。世界的に不足している人材の数は4000万人程で、あるレポートによると、そのうちITが占めるのが2025年時点で400万人程になるそうです。アメリカだけでも140万人、150万人程足りないと言います。」

-誰もが一度は考えたことのあるペインポイントです。しかし、労働の柔軟性など解決策も容易ではありません。

「そうです。以前は通常、会社の近くに暮らす人材を探していました。韓国では韓国の人材だけを採用し、アメリカはアメリカで採用するのです。労働市場の柔軟性が非常に低かったためです。他の国で働くために、その国のビザを取得して入国しなければなりませんでした。コロナ禍でリモートワークが一般化し、このようなツールが発達、人材戦争がグローバルに行われるようになりました。」

「Second Teamの解決の仕方は2つあります。第一に手続き的な海外エンジニアの採用問題、第二に、優秀なエンジニアをグローバルで先占です。」

-ちょっと待ってください。ITエンジニアが400万人不足していて、それも初級者ではなく中・上級者が不足している、例えばアメリカだけでも140万~150万人足りない。逆に言えば、これを埋めてくれる、そのレベルのクオリティのエンジニアで供給が溢れる地域があるはずではないでしょうか?

「GDPが低い国では、エンジニア育成を非常に盛んに行っています。だいたい人口に比例して、エンジニアが多いようです。インドだか中国とかですね。最近ではアフリカでもエンジニア育成が盛んです。そのエンジニアがどうして先進国に行って仕事をするのか。様々な社会的条件のために労働のアービトラージがあります(アービトラージ(argitrage)とは、ある商品の市場価格が地域によって異なる現象。)同じ業務でも、その人が韓国でやるのか、アメリカでやるのか、アフリカでやるのかによって、多くの場合、(コストが)10倍も違います。」

「少なくとも先進国のエンジニア不足は多く解決できるということです。いわゆる発展途上国といっても、国が後進国だからといって、エンジニアのスキルが低いわけではありません。このような海外エンジニアによって、韓国のITトランスフォーメーションに必要な人材を補充することができるのです。」 

Second Teamのビデオ会議の様子/Second Team

エンジニアを2週間で採用する方法...応募すれば面接は2~3日以内に可能

-レベルはどのように確保しているのでしょうか?先ほど、Supercoderのプラットフォーム2万5000人中、たった1000人のみが紹介できる人材だと仰っていましたよね?

「Second Teamは2021年12月から実際に海外エンジニア者を韓国国内企業につなぐ仕事を始めました。創業は6月ですが、それまではエンジニア不足の問題を別の方法で解決しようとしていた中、結局は絶対的不足だという判断により、海外のエンジニアで埋めなければならないと考えました。最初はベトナムでエンジニアの募集を始めました。理由の一つは、共同創業者の一人がベトナム人であることでした。しかし、ベトナムの人材だけでは不十分です。ベトナムでもすでにIT開発者の需要が非常に高くなっているのです。」

「グローバルに考えることにしました。一番多く来られるのは、結局は国の人口数に比例するんですよね。インドから一番多く来ます。パキスタン、バングラデシュからも来ており、現在はフィリピン、インドネシア等、Supercoderのプラットフォームには80カ国からエンジニアが集まっています。その地域のエンジニアの立場では、その国でできなかった様々なベネフィットをグローバルアビトラージによって満たすことができます。」

「2つ目はテストです。実際、企業はエンジニアを採用する際、しっかりテストしているわけではありません。テスト能力がないだとか、プロセスを知らないだとかによって。Second Teamはテストに特化しています。シリコンバレーやビッグテック企業が行っているプロセスをそのまま取り入れて軽量化・自動化しています。最初に履歴書を検討します。さらに、学歴・経歴などの様々なデータポイントを確認します。電話インタビューや技術検証も行います。Second Teamが見るポイントとして、行動面接を通して、この人たちがどれだけ人格的にきちんとした人なのか、つまり、どれほどポジティブに活動しているのか、コミュニケーションが取れているのか、そういったことを評価しています。技術的な部分は当然シリコンバレーやcoupang(クーパン)、Toss(トス)のような企業が共通して見ている指標があるのですが、当社もそれと同じものを使っています。アルゴリズム能力がどの程度あるか、そしてコーディングスキル。実際にコーディングをしながら問題解決能力がどれだけきちんとアプローチできるか。シニアエンジニアであれば、システム設計をより大きな視点で見ることができるかどうかなどをテストします。」

「1人1人面接を行って、テストした後に合格するエンジニアの数は、先ほど申し上げたように4~5%程度だと思います。順番にまとめると、履歴書の検証が1つめ、2つ目に電話面接による行動テスト、3つ目にコーディングテスト。最後はライブインタビュー。コーディングを実際にライブで、リアルタイムで行い、質疑を行いながら問題を一緒に話し合って解決していく方式です。」

-顧客である企業側としては、不足しているエンジニアを確保するのも良いですが、金銭的・業務上のメリットがしっかりなくてはいけませんよね?

「顧客は、すぐに採用を行うことができます。Second Teamはすでにプールを集めています。通常、中・上級のエンジニアを採用するには、最低でも3ヶ月、長くて1年待つ会社が多くあります。 Second Teamは、エンジニアがリクエストすれば24時間以内にマッチングを行います。2~3日で面接ができ、早ければ2週間で採用できます。これが一番のメリットです。」

「開発途上国にいるエンジニアを繋ぐので、エンジニアとしては現地より多く給料をもらえ、韓国企業としては韓国国内エンジニアより50~60%安い費用でこのエンジニアと一緒に仕事をすることができます。実際のところ、コスト的な部分を固定し、より良いエンジニアと仕事をすることができるのです。」

Second Teamのスタッフ/Second Team

Supercoderを通じた採用の場合、エンジニアの給与の10%が売上になる仕組み...海外エンジニア採用の仕組みはフリーランス契約+無期限契約形態

-Second Teamはどの段階で収益を得るのですか?何%程なのでしょうか?

「エンジニアをソーシングして検証、マッチングしてくれるサービスです。ヘッドハンターのように、エンジニアの年俸の20%を貰っています。また、海外エンジニアと仕事をするので、彼らの人事管理をしなければなりません。賃金の支払いとか、法的手続きとかを代わって行い、エンジニアの給与の10%を人事管理手数料として受け取ります。」

-採用形態を具体的に教えてください。契約社員採用ですよね?

「正確には、フリーランスのように無期限契約という形です。法的な仕組みとしては、Second Teamと請負契約を結び、当社がフリーランスを雇う形です。」

-海外雇用の場合、国によって税金の問題など、難しい問題が少なくないですよね。

「そのような問題をすでに解決しているプラットフォームがあります。Second Teamはそうしたプラットフォームを使って海外のITエンジニアを雇っています。」

-グローバル人材雇用システムを提供しているスタートアップのシステムを活用し、税金や現地の雇用問題を任せるということですね。企業顧客からすると、「お金を払って人材を使う」という部分だけでいいので、残りの複雑な部分はSecond Teamがすべて担当してくれるという形ですね。

「そうです。最近では、エンジニアを韓国内で採用しても、大きな会社などではテックHRが別にあるんですよ。」

-市場規模はどの程度とお考えですか?

「ものすごく大きいと見ています。以前は昔ながらの人材派遣事業を行っている会社もたくさんありましたよね。ものすごく大きな人材派遣会社でも、そこが持っている人材を見るとそんなに大きくないのです。1万5000人程です。だから規模が1000人、2000人でも企業価値はすごく高くなります。例えば、売り上げはその人の年収を基準に出るので、Second Teamは300~400人だけでも、売り上げは数百億ウォン(約数十億円)出るほどものすごく大きいです。1万人以上というと、数千億ウォン(約数百億円)以上になる可能性があるということです。」

-韓国市場だけ制覇しても億単位が可能?

「韓国国内だけ見た際、不足しているエンジニアだけでも、とりあえず2~3兆ウォン(2000億~3000億円)はいけると見ています。」

MarkAnyのチェ・ゴ代表「まず、とても腕が良く、次にとても態度が良く、そして重要なのはコストパフォーマンスがとても良い」

-最近のスタートアップの課題は、BEPをいつ達成するかということです。起業してすぐにBEPを達成した?

「実は貢献利益で見れば難しくないと思っています。Second TeamはBEPはかなり早く合わせられます。実のところ、2021年に創業し、2022年に財政的には達成しました。 実質的には会社全体の運営費用の損失は1億5000万ウォン(約1600万円)でしたが、TIPSが補ってくれたのです。このビジネスは結局マージンが非常に大きく、市場自体が非常に大きいので、Second Teamは100人でも貢献利益で十分BEPになるのです。もちろん、どれだけビジネスを成長させるかはまた別の話ですが。」

-現在、成約させたのは100人前後とお聞きしました。海外エンジニア仲介プラットフォームという仮説は検証されましたか?

「例えば、採用分野のWanted(ウォンテッド)のイ・ボッキ代表にお会いしてお話を聞くと、「以前の一斉採用から随時採用に移行せざるを得ない。だからこそ、Wantedのプラットフォームも活性化せざるを得ないのだ」と考えられていました。Second Teamは「グローバルなトレンドは、全体的な人材市場もオープン化するしかなく、リモートで働くこと自体が一般的なものになる」と見ています。それを簡単にできるプラットフォームが本当のチャンスをつかむでしょう。グローバル採用が一般化するとトレンドを見ています」

-市場で証明されたのであれば、Second Team以外にも韓国国内・海外に同様のアイデアを持つライバルがいるのでは?

「インドへの外注は、1990年代からありました。しかし、Second Teamのように直接採用することはありませんでした。実は2021年まで、リモートワークはよく知られておらず、、海外のエンジニアと仕事をするのもかなり怖がられていました。みんな「これは無理だろう」と言ってました。でも今は1、2社ずつ出てきています。韓国のエンジニアをアメリカに繋いでくれるサービスも出てきました。」

「海外にはSecond Teamより2~3年早く似たようなサービスがありました。その一つが今、Turing(チューリング)というスタートアップです。すでにユニコーンバリューを記録しています。Andela(アンデラ)という会社もあります。2021年にSoftbank(ソフトバンク)から15億ドルの価値を認められ、2億ドルの投資を受けました。Andelaは、最初はアフリカで教育事業をしていました。教育したエンジニアを活用して別のビジネスにピボットしたのですが、それがアフリカのエンジニアをアメリカにつなげようというアイデアでした。」

-セカンドチームが持つ競争力は?

「先ほどお話しした2万5000人の質疑を分析してデータポイントを集めています。単に質疑応答をして、この人良いね、悪いねではなく、どのようなポイントで見て、実際の顧客企業にとっても良かったのか、という点です。データが増えれば増えるほど、精度が高くなります。 このようなプロフィールを持つエンジニアがこのような会社に適しており、顧客が満足する可能性が高い」という判断をするエンジンを開発していると考えていただければと思います。」

-具体的な事例はありますか?

「セキュリティ業界にMarkAny(マークエニー)という会社があります。チェ・ジョンウク教授が設立した会社で、現在は息子のチェ・ゴ代表が運営されています。昔からセキュリティ方面で有名な会社であり、エンジニアもたくさんいました。エンジニア難だった時、エンジニアがたくさん出て行ったんです。それを補うために新人エンジニアを多く採用しましたが、良いパフォーマンスが出ませんでした。Second Teamを通じて海外エンジニアを採用しました。チェ・ゴ代表は、「まず、とても腕が良く、次にとても態度が良く、そして重要なのはコストパフォーマンスとても良い」と仰っていました。もともと最初は一人から始まりましたが、今は9人に増えました。チェ代表は、半分以上海外エンジニアにするべきだと考えられているようです。」

「こうした苦悩があります。エンジニアが見つからないからといって、高い賃金を払って低レベルのエンジニアを連れてくるのは、結局は会社の競争力を削るのと同じです。お金を払っても、より良いエンジニアと仕事をするべきで、海外のエンジニアがそこに合っていると判断されたのです。」 

韓国のSIウォーターフォール方式による慢性的なエンジニア文化、チェ代表が語る簡単な解決策

-失敗事例はどうでしょうか?韓国には韓国のエンジニアチームがあるのに、外国人1人がリモートで入ってきて適応できない可能性が高いというのが普通ではないでしょうか。

「はい。海外のエンジニアの態度が悪い場合もありました。しかし、一般的なケースを見ると、韓国企業のエンジニア文化の成熟度が低いという風にも考えています。開発過程のプロセスがそうです。韓国はSIが多く、SAMSUNG SDS(サムスンSDS)やLG CNSのような大企業がすべてIT系列会社を置いていました。これに合わせて外注する中小企業が多かったので、ほとんどの場合、ウォーターフォール形式で開発の多くを行っていました。」

「このやり方では海外のエンジニアは働きづらいのです。英語も不自由な上に、ウォーターフォールで進めるにはすぐ隣に座って話し合わなければならず、そうしたことはとても難しいです。開発プロセスが文書化されないので、韓国開発チームは、自分たちの仕事も忙しいのに、さらに海外エンジニアのためにプロセスを作って、文書を作って、というのはできませんでした。海外のエンジニアと仕事をするときには、海外エンジニアがうまく仕事をするために、会社の準備が必要です。」

「Second Teamは企業にアジャイル方法論をコンサルティングします。1ヶ月程訪ねて行き、アジャイルで仕事をするにはどうすればいいのか、文書を簡素化する、コミュニケーションはどうすれば効率的にできるのかというような部分を共有します。コンサルティングした顧客会社では、海外エンジニアの業務がスムーズになっています。今まで私たちは、エンジニアにスキルがないのが問題だと思っていましたが、結局、プロセスがうまくいっていないから大変だったのです。」

-文書化ができないというのはどういう意味ですか?

「エンジニアに正確に指示が出せないんです。SIウォーターフォール方式は最初に50ページ、100ページの企画書が作られます。その文書をエンジニアに渡して、スケジュール通りに作るように言いいます。 (エンジニアとの)コミュニケーションがあまりなく、(エンジニアが参加する)検証タイムもありません。そして、変更点がすごく多いです。いきなり「これもやって」と言うようなやり方です。スケジュールは決まっているのに、変更要求は入ってきて、エンジニア側としてはオーバーロードになり、品質はどんどん落ちていきます。要望をただ反映させるのも難しいためです。 」

「変更点は途中でコミュニケーションしながら整理する必要があるのですが、これをきちんと行わないため、エンジニア間のコミュニケーションが多くなります。」

-その場その場で誰かが代わるるように開発が進み、なぜ変えたのかの記録がないので、他のエンジニアがその変更を理解できないということですね。

「結局、後で他のエンジニアがここに追加で入ったとき、これはどうなったんだ、文書はある?そうすると、また質問も多くなり、お互いにたくさん聞くことになります。しかし、外国人なため、お互い大変になります。」

「実のところ、文書化ができないため、実際のエンジニア同士で話したり確認したりすることが多くなってしまったんです。 開発するとき、まず製品について詳しく知っている人があまりいません。よく分からないため、とりあえず昔のソースコードを持ってきて、コピーしておきます。エンジニアが解釈しなければならない部分が多いのです。」

「後に実際のアウトプットが出ると、「私が求めていたものとは違う」という反応が出て、そうするとまたコミュニケーションが増える。お互いに不満が高まる。このような時、すぐそばにいれば聞けますが、離れていると効率が悪いです。これが積み重なると、顧客から『当社は海外エンジニアでは無理だろう』と言われるのです。」

-どうやって解決するのでしょう、解決策をお聞かせください。即効性のある解決策とは?

「あまりプロジェクトを長い目で見ないようにということです。変更については迅速に対応するが、その変更は2週間など、一定の間隔で変更し、その都度、変更内容を分析して要件を明確にした上で変更する。要求事項を書くときには、要件一つ一つを短くし、エンジニアがすべて理解できる範囲の内容を書くようにする。そのミーティングを2週間ごとに行う。そしてシンクアップは毎日行う。そうすると、定期的にやる会話は増えますが、全体的な量は減ります。」

「アジャイルで、コミュニケーションや、コラボレーション、そういう部分が全体的に整っていく中で、企業としては、海外のエンジニアの働く環境を作るという業務ではありつつ、他の開発環境改善のメリットも感じています。 」

Second Teamの共同創業者左がチョ・ボムシク、中央がLe xuan ahn、右がチェ・ジェウン代表/Second Team

2025年までに100万人のエンジニアをテストし、5万人のクオリティエンジニアプール確保を目標

-現在、クライアントが80社ほど、採用したエンジニアが100人ほどだとすると、1社に1人くらいですね。顧客企業が追加雇用するかどうかが勝負です。

「昨年は30社の顧客が採用を行い、そのうち15社の顧客が追加で採用を行いました。50%が追加採用を行ったのです。他の会社も追加採用の予定が決まれば、海外エンジニアでやっていくしかないと思うでしょう。海外エンジニアが受け入れられるプロセスを用意すると、(高額な)韓国エンジニアの採用は難しいのです。海外エンジニアを一度採用してみたら、韓国のエンジニアより50%以上安いので。」

「例えば、韓国企業が最初に海外に工場を設立するのは難しいですよね。現地に行かなければならないし、いろいろ確認もしなければならないし。今はその工場が韓国に戻ってくるのも難しいですよね。海外エンジニアもそういう過程だと思います。」

-短期的な目標値はどうですか?何人くらい採用を仲介するのでしょうか?

「今年は200人採用を仲介するのが目標です。プラットフォームでは2025年までに5万人のテスト済みエンジニアを集めようとしています。韓国のエンジニア不足を十分に解決するくらいまで。」

-少し理解しがたい点があるのですが、現在、プラットフォームに登録している方は2万5000人ですが、そのうちテストを通過したエンジニアは1000人だと仰っていましたよね?5万人とはどんな基準なのでしょうか?

「今年は200人の採用が目標で、毎年3倍、4倍くらい増やしていこうと思っています。来年は500人、再来年は1000人といった具合です。Second Teamのビジネス自体は、韓国にだけ適用されるものではありません。来年からは日本、シンガポールなどをまずターゲットにし、次に中東も視野に入れています。中東の方も最近デジタル変革が進み、エンジニアを大量に採用しています。アジアは韓国より3~4倍くらい大きく、中東も韓国と同じくらい大きいと考えています。」

「Second Teamが韓国で500人の採用を考えると、海外のこのような場所でも同じように進めることができ、2~3倍程早く成長できると判断しています。Second Teamが2025年までに5万人程度のテスト済みエンジニアを確保するというのは、言い換えれば100万人をテストするということです。 」

「ベネフィットが大きいため、エンジニアのサポートがとても多くなります。Second Teamは、今年海外エンジニアのテストを自動化しようとしています。100万人を1人1人テストするのは難しいですから。自動化プロセスを制作中です。現在はエンジニアを1人テストするたびにSecond Teamのリソースが2時間かかっているとすると、このリソースを1時間、30分、10分でテストできるプロセスを作るのがSecond Teamのプラットフォームだと思ってくださればと思います。昨年は2万5千人だったとすると、今年は10万人までテストを行い、その後、もっと大きく50万人、100万人など増やす計画です。」

-海外からそれほど応募者が多いのでしょうか?

「実際、満足しているエンジニアは他の同僚を連れてきます。なぜなら、通常インドではシニアエンジニアの給与は1000~2000ドルですが、Second Teamを通すと4000ドルもらえるのです。周りの友達に紹介し、ネットワーク効果が起きます。」

-IPOも検討する?

「今のスピードで成長して1000人の開発者をつなげれば、韓国ではIPOをする基準になると考えています。年間1300億ウォン~1600億ウォン(約143.5億~173.5億円)程の売上になりますPERを20代で見ると、さらに成長する基盤となるでしょうし、もっと大きく見れば、ユニコーンになり、アメリカにも進出したいと考えています。悩みますが。」

-アメリカのTuring、Andelaなどと競争するのですか?逆にアメリカ企業が韓国に来るリスクは大きいのではないでしょうか? 

「Second Teamがアメリカに行けると思う理由は、アメリカのTurringやAndelaは、エンジニアソーシングの主なターゲット国がアフリカとラテンアメリカであるためです。アメリカで働ける時間帯はアフリカとラテンアメリカくらいで、アジアは難しいからででしょう。Second Teamはアジアで動いているので、集められるプール自体がインドからインドネシアまであります。後にアメリカでも競争できるのではないでしょうか。」

-100万人テストして5万人のテスト済み人材プールがあれば、やってみる価値があるということですか?

「もっと多くなければなりません。すでにTuringは100万人のエンジニアをテストしたと言われています。そこでTuringは中級エンジニア市場はまだ見ていません。Turingはハイレベルなマネージャーがフィルタリングするという戦略で、アメリカの企業につなげるため、海外エンジニアの間で期待値がかなり高くなっています。海外エンジニアからすると、ここなら1億ウォン(約1100万円)はもらえるという期待。Second Teamは実は5千万ウォン(約550万円)しか用意していません。韓国企業なので、少し話が違うのです。」

-最後に、なぜこの分野で起業したのでしょうか?以前はブロックチェーンで起業されていましたよね?

「元々はOracle(オラクル)とSunmicrosystems(サンマイクロシステムズ)でエンジニアとして7年ほど働いていました。スイスのあるスタートアップにジョインする機会があり、プロダクトとサービスを統括していく中で、スタートアップに興味を持ちました。2018年にブロックチェーンというものが面白くて、ブロックチェーンスタートアップを起業しました。エンジニアをたくさん採用しました。当時は、ブロックチェーン関連のサービスが流行していましたよね。」

「しかし、エンジニアの離職が多くなり、年収が50%も上がるようになって、これでは韓国でビジネスができるのかなと思ったんです。知り合いが海外エンジニアと一緒に働いてみないかと紹介してくれたのですが、とても良かったんです。それに当時、ブロックチェーンはいろんな規制を受けていました。規制のせいで前にも出られないし、後ろにも下がれない状況だったので。むしろ、エンジニアの問題はとても現実的で、海外エンジニアを直接採用してみるととても良いので、これはビジネスになるのではと思いました。ブロックチェーン起業は他の創業者に譲り、こちらを始めたんです。」

「例えば、(エンジニアでなくても)他の人はフィリピンから50万ウォン(約5万5000円)、60万ウォン(約6万6000円)で採用しているのに、韓国は英語のせいでダメだと言われたら、どれほど大きな損失でしょう。人もいないのに。 Second Teamが投資を受けてどんどん大きくなればいいのですが、そうでなくてもこのビジネスは成り立たなくてはならないと思います。」



/media/ちょい事情通の記者(쫌아는기자들)
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