[韓国・東国大学ソン・ミンテク教授のフィンテック4.0]生成型AIの発展と金融の変化

2023年、最も広く話題になった技術トピックは生成型AIだ。チャットGPTが幕を開けた後、韓国内外の名だたる企業が巨大言語モデルをベースにした生成型AIに注目している。独自に開発したモデルを競って発表するなど、生成型AIの風は強くなっている。

11月初めにチャットGPTを開発したオープンAIは、開発者イベント「DevDay」を通じて進化したモデルを発表した。このモデルは最新の情報を反映し、反応速度を向上させ、300ページ分のデータ処理はもちろん、画像理解と音声生成能力を高めたという。このような進歩は予見されていたが、その範囲と深さに驚かされる。

ただ、注目すべき点は別にある。最近の開発動向によると、ノーコード(No-Code)プラットフォームの登場により、プログラミング言語を使わずにアプリやウェブサイトなどを作ることができるようになった。チャットGPTはこのようなトレンドを反映し、具現化したものだ。開発に疎いユーザーがコーディングをしなくても、自分だけのチャットボットの生成が可能だ。日常的な自然語を入力することで、ユーザーが望むように特化したチャットボットを誕生させることができる。

このような技術の普及により、アイデアさえあれば誰でもサービス提供が可能だ。ウェブサービスを立ち上げる場合、これまではサーバーやクラウドの購入、運営、配布などのコスト投入と管理が必要だった。このような一連の活動が不要になったのだ。さらに、GPTストアなど類似のプラットフォームにサービスを搭載することで、簡単に収益化までつなげることができる。

このように、生成型AIに関連する技術はますます進化している。その効果が肯定的であろうと否定的であろうと、産業全般に広範囲な波及力を発揮することが予想される。特に金融分野では、機会の拡大とともに脅威の要素を内包している。このような変化は3つの段階に分けられ、各段階は金融産業の成長に重要な役割を果たすと予想される。

第一は接続を通じた共存だ。生成型AIは、金融業務の自動化を越えて意思決定の領域まで拡大している。これは金融仮想アシスタントを通じた顧客サービスの改善、金融商品の推薦と資産管理、資金洗浄防止、リスク管理と金融詐欺防止に至るまで、様々な分野に利用されている。例えば、金融会社が生成型AIを活用し、複雑な内部規定と全体の商品を学習させ、認識している顧客情報と状況をマッチングさせれば、適切な商品の推薦や運営が可能になるだろう。

第二段階は信頼性の問題だ。AIの不透明な決定過程やアルゴリズムの偏向は、信頼が重要な金融分野で必ず解決すべき挑戦課題だ。金融消費者の利益を最優先する透明で公正なアルゴリズムの開発が必要だ。そのためには、継続的なモニタリングと反復的な改善過程を経なければならず、厳格な個人情報保護まで行わなければならない。

第三段階は、AIベースの顧客層の拡大に関連する。生成型AIは、金融サービスのアクセシビリティを高め、多様な顧客層にカスタマイズされたサービスを提供する可能性を秘めている。特に、金融疎外層や金融履歴が不足している消費者に重要な機会を提供することができる。簡素化された金融サービスやパーソナライゼーションされたソリューションは、金融機関のアクセシビリティを向上させる利点があることは明らかだ。

結局、生成型AIはサービスの効率性とユーザーの経験の革新を通じて、金融の構造と運営方法自体を再定義すると思う。これは顧客中心にカスタマイズされたサービス提供、アクセス性の向上、コスト削減などにつながり、金融産業の持続可能な成長を促進するだろう。しかし、同時に透明性、公正性、倫理性など解決すべき課題も提起される。金融業界はこのような問題を解決し、肯定的な変化をもたらすために、自助努力と相互協力が持続的に行われることを期待する。

<画像=東国大学のソン・ミンテク兼任教授>

原文：https://www.etnews.com/20231120000113