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「気候テック活性化には金融市場との連携必須」

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「気候テック活性化には金融市場との連携必須」

Impact投資会社sopoong Ventures(ソップンベンチャーズ)とKakao Impact(カカオインパクト)、気候・エネルギーシンクタンクの社団法人NEXT(ネクスト、以下ネクスト)が「スタートアップのための気候政策ガイド」をテーマに19日開催した月刊クライミット1月セミナーでは、気候テック企業の成長と安着のための様々な提言があふれた。

政府政策の変化に敏感でなければならない気候テック企業の属性と、これを克服するための案についても、各分野の専門家らの生々しい経験談が続いた。

この日のセミナーは<気候政策ガイドブック:気候テックの機会とハードル>(以下ガイドブック)の総括著者であるNEXTイ・ジェフン先任研究院の発題から始まった。ガイドブックは、NEXTが昨年11月に発行した気候政策解説書だ。

2050年カーボンニュートラルのために減らすべき温室効果ガスの50%は、まだ市場に出ていない革新技術が後押ししなくてはならない。

イ先任研究院は「カーボンニュートラルの先決課題は技術革新」とし「温室効果ガス削減をするにはやむを得ずコストを上昇させるしかないが、低炭素技術が出ればさらなる成長動力になる」と強調した。

彼は4つの排出部門(転換、産業、建物、輸送)で必要なイノベーション技術と政策リスクを説明した。

転換は、韓国の温室効果ガス排出の37%(2018年基準)を占め、最も高い割合を占める。さらに、産業、輸送、建物など、他の分野では、既存のエネルギーを電力に置き換える(例:内燃機関車→電気自動車)戦略を主要削減手段として、今後の電力需要は着実に増える見通しだ。したがって、電力需要の増加に安定して対応しながら、同時に発電燃料をクリーンエネルギー源に置き換えることが非常に重要だ。

イ先任研究員は、「転換部門の方向性は明確だ。クリーン電力に対する需要が増え、送配電網追加構築の限界で分散資源が増えるだろう」とし「しかし、原価基盤の電気料金体系が作動しておらず、法条項が予告なく変わる場合があり、留意しなければならない」と伝えた。

産業部門は、ディープテック(先端技術)を中心に気候テックが登場している。ヨーロッパは低炭素製品をより高い価格で購入する「グリーンプレミアム」の事例が増えており、需要に供給が追いつかない状況だ。伝統工程から抜け出したディープテック技術の先占が機会だという意味だ。

建物は、暖房、温水、調理の過程で少ないエネルギーを消費する。昨年4月に政府が発刊したカーボンニュートラルグリーン成長基本計画は、建物の温室効果ガス排出を減らすためにグリーンリモデリングとヒートポンプを言及している。イ先任研究院は「両技術に相当な機会があるだろうが、問題は初期費用が多くかかるという点」とし「(グリーンリモデリングなどで)削減される運営費用を期待される便益に反映し、不動産価値を認めてくれる欧州式制度を検討する必要がある」と述べた。

輸送部門では、電気自動車拡大や充電器普及に加え、共有モビリティなど、新しい交通サービス部門で多くの機会があるが、既存事業者との葛藤が制約要因に挙げられた。

イ先任研究院の発題後、NEXTキム・スンワン代表の司会でおこなわれた2部パネル討論では、各分野を代表する専門家の現実的な提言と経験談が続いた。特に、気候テック企業が市場に根付くためには、補助金に依存した現在の構造から抜け出し、民間金融市場と連結しなければならないという意見が多かった。

ソウル大環境大学院キム・ギョンミン教授は「時代的にグリーン建築が正しい方向性であることは正しい。しかし初期資本がたくさんかかり、現実的に転換が可能かという疑問が挙げられるしかない」とし「これは支援金で解決する問題ではなく、金融商品が出てくるべきだ」と強調した。

続いて「米国では国部ファンドやデベロッパー(開発業者)が気候の観点から不動産を見るが、残念ながら韓国ではそのような見方がない。この分野に資本が入ってくるよう、タックスクレジット(税額控除)などが登場する必要がある」と指摘した。

PLUGLINK(プラグリンク)のカン・インチョル代表も「輸送部門はまだ補助金に依存しているが、総所有コストの面で、いつかは(内燃機関車より)安くなるという期待がある」とし「他の分野は補助金と規制なしには安着しにくいという認識があり、金融ドライブが必要だ」と述べた。

sopoong Venturesハン・サンヨプ代表は、民間主導でおこなわれるインフラ事業を例に挙げ「政府が気候金融をインフラ金融水準に引き上げることができていない。SOC級でインセンティブを確実に与える必要がある」と述べた。

気候テックが政策変化に、特に敏感だという点も共感を買った。

ENCORED(インコード)イ・ヒョソプ副社長は「電力市場は100兆市場と言われているが、企業が生み出せる価値はかなり少ない部分に過ぎないが、これは伝統的な価格決定方式のため」とした。彼は、ENCOREDがエネルギーソリューションに事業を転換した事例を伝え「気候テックで最大のリスクは政策リスクだ。変化する政策で生き残るためには、どの国でも通じる技術を持たなければならない」と付け加えた。

政策の曖昧さは、韓国だけの状況ではない。民間が独自に温室効果ガス削減事業を行い、炭素クレジットを取引する自発的炭素市場(VCM)が代表的だ。VCMは、高い成長の可能性にもかかわらず、国際的に一般的な基準がなく、グリーンウォッシングの手段として悪用されるという批判を受けている。

Greenery(グリナリー)ファン・ユシク代表は「17日(現地時間)欧州議会がVCMの炭素相殺プログラムに基づいて、環境にやさしい主張を禁止する法案を通過させた」とし、「VCMはVerra(ベラ)やGold Standard(ゴールドスタンダード)のような先頭を行く認証機関さえ、同事業において(炭素削減量算定に)差が出るほど信頼度問題がある。これを認識し、欧州を中心としたメジャー6大企業が自発的にガイドラインを作っており、ここで韓国が遠ざかってはならない」と強調した。

NEXTキム・スンワン代表は「気候テックが厳しい現実に負けないよう、指針になるような気候政策ガイドブックを2部にアップグレードして発刊する計画」と明らかにした。



<画像=月刊クライミット1月イベント現場(左から)社団法人NEXTキム・スンワン代表、ENCOREDイ・ヒョソプ副社長、ソウル大学環境大学院キム・ギョンミン教授、PLUGLINKカン・インチョル代表、Greeneryファン・ユシク代表、sopoong Venturesハン・サンヨプ代表、社団法人NEXTイ・ジェフン先任研究員>

原文:https://platum.kr/archives/221325



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