ニュース

【今月のTIPS】 42Maru、ideal lab、 Urban Labs、 Bluewhale Company

アイキャッチ
目次

【今月のTIPS】 42Maru、ideal lab、 Urban Labs、 Bluewhale Company

韓国政府である中小ベンチャー企業部が主管するTIPS(ティップス、Tech Incubator Program for Startup)は、成長可能性が高いと評価されるスタートアップを、政府と民間投資会社が共に発掘し支援する、民間投資主導型の技術起業支援プログラムだ。選ばれた企業は、技術的に検証されたと評価される。この1カ月(対外公開基準)、多数のスタートアップがこのプログラムに選定された。



韓国政府による革新的なスタートアップ支援プログラム「TIPS」|TIPSTOWN アン・ヨンイルセンター長|韓国のIT&スタートアップ業界専門メディア「KORIT」

TIPSとは、Tech Incubator Program for Startupの略語。民間の投資社が創業企業を選別し、民間投資と政府R&Dを連携し、技術を持った創業企業を支援する事業のこと。2013年に約30社程度の創業企業から始まり、2023年1月基準で2,134社の創業企業がTIPSに選定され、そのうち1社がユニコーン企業に選定、11社がIPO、62社がM&Aをするなどの成果をあげている。

korit.jp

og_img


42Maru



Answering AI(アンサーリングAI)スタートアップの「42Maru(フォーティートゥーマル)」が「Post-TIPS(ポストティップス)」プログラムに選定された。

Post-TIPSは、未来有望な創業企業を育成するプログラムであるTIPSを成功裏に遂行した企業のうち、実績が優秀な企業を選別し、本格的な成長(Scale-up)集中支援を通じて、グローバル企業への育成を支援するプログラムである。18ヶ月間、事業高度化に向けた後続事業化資金として、最大5億ウォン(約5358万円)を支援される。

42Maruは2017年にTIPSに選定され、MRC(人工知能読解)ベースのディープセマンティックQAプラットフォームを開発し、2018年にスタンフォード大学が主催するグローバル人工知能読解競演大会であるSQuAD 2.0(スクワッド2.0)で、Google AIチームと共同1位を獲得し、様々な産業分野での商用化の成果が認められ、COMEUP Grand TIPS 2019で優秀賞を受賞したこともある。今回のPost-TIPSでは、「企業向け超巨大言語モデル軽量化プラットフォーム」をベースに、グローバル事業高度化を進める。

42Maruは先月初め、生成型人工知能ベースの超巨大AIの企業向け軽量化モデルであるLLM42をリリースした。TIPS事業を通じて高度化した統合質疑応答(QA、Question Answering)モデルを、超巨大言語モデルと組み合わせ超巨大AIの欠点を完全に補完し、安全に実際の業務に適用可能な企業特化型超巨大言語モデルである。

今回の事業を通じて、自社開発した超巨大AIであるLLM42の高度化を推進する予定で、専門ドメインの専門知識を追加的に学習するファインチューニングを通じて、軽量化による言語AIの品質を高めると同時に、回答の正確性を保証、信頼できる生成型人工知能(Trustworthy Generative AI)技術のモメンタムをリードしていく計画だ。

42Maruキム・ドンファン代表は「TIPSプログラムの支援を受けて開発したQA42として、国内外の大企業や機関から100億ウォン(約10億円)以上の売上を達成した」とし、「Post-TIPSプログラムを通じて自社の超巨大AIであるLLM42を基盤に、グローバル1,000億(約100億円)の売上に挑戦する」と明らかにした。


ideal lab



キッズクラスプラットフォーム「igogo(アイゴゴ)」を運営するエデュテック企業ideal lab(アイドゥルラボ)が、TIPS専門主管運営会社VNTGの推薦により、TIPSに選定された。

igogoは、家庭訪問から体験学習、スタジオや工房クラスまで、様々なオフラインキッズクラスをつなぐアプリサービスとして正規アプリサービスをリリースした後、Googleチャングプログラムに選定されるなどの成果とともに、キッズクラスアプリとして市場に定着した。今回のTIPS選定でも、数千のキッズクラスを運営し、蓄積したノウハウを基に、マシーンラーニングベースの技術競争力とデータアルゴリズムの高度化を通じて、教育市場を革新しようとするビジョンが高く評価された。

韓国教育市場、特にオフラインローカル教育市場は、その規模が10兆ウォン(約1兆円)を超えているにもかかわらず、情報の非対称性によりデジタル転換(Digital Transformation)が遅れている。今回のTIPS選定を通じて、ideal labは幼児教育市場の情報非標準化を革新し、エドテック市場を主導するための競争力向上に本格的に取り組む計画だ。

ideal labのパク・ヒョンジュン代表は、「消費者は依然として教育情報の探索から消費に至るまでの過程を、20年前と変わらないことをしている」とし、「今回のTIPS選定により、この市場に参加している約160万人の供給者と約600万人の学習者のためのサービスへの発展はもちろん、韓国の教育産業を革新するエドテック企業に生まれ変わるだろう」と述べた。


Urban Labs


ESGベースの植物性代替タンパク質R&Dスタートアップである「Urban Labs(アーバンラボ)」がTIPSに選定された。

Urban Labsは、コーヒーを淹れた後に残る残渣であるコーヒーかすをアップサイクリングし、植物性代替タンパク質を開発する。Urban Labsが開発した植物性代替タンパク質は、コーヒーかすの香りと色を減少させ、高い水溶性の特徴を持ち、これを基に様々な食品の原料として活用することができる。

植物性代替タンパク質市場は、ここ10年間で急激な成長を遂げたが、150種以上の植物体のうち、現在使用されている原料が限られているため、食品生産において根本的な限界があった。Urban Labsが開発しているコーヒーかすアップサイクリング植物性代替タンパク質は、既存の植物性タンパク質原料の味や風味の実現の限界を超え、新たな価値を付与することが期待される。またUrban Labsは、独自開発した技術により、コーヒーかすの原料調達コストを削減し、安定的な確保方式を構築する計画だ。

一方Urban Labsは今年、TIPS運営会社であるBigbang Angels(ビッグバンエンジェル)の投資および推薦を受け選定された。TIPSを共に準備したBigbang Angelsのキム・テヒョン共同代表は「Urban Labsは、コーヒーかすの回収処理から高効率のタンパク質抽出および様々な形態の加工可能性を高めた技術を保有している企業である。基盤技術をベースに量産化を試みる本技術は、既存の植物性タンパク質が持つ限界を克服すると同時に、ESG面での競争力を備え、グローバル市場をリードするものと期待している」とTIPS推薦の理由を述べた。

Urban Labsのキム・ソンヒョン代表は「コーヒーかすは捨てられるかすではなく、99.8%の可能性を持つタンパク質供給源である。TIPSプログラムを通じて、世界レベルのESG植物性タンパク質原料R&D会社として飛躍するための高度化された技術開発はもちろん、肉加工品、水産加工品、乳製品、パン類、簡易食など、われわれの食生活全般が商品化できるよう、応用技術も開発する計画だ。2025年、汎用性に優れた植物性代替タンパク質原料の量産および供給を目標としている」と明らかにした。

Urban Labsは今回のTIPS選定により、2年間で5億ウォン(約5354万円)の研究開発資金を支援され、今後事業化および海外マーケティングのため、最大7億ウォン(約7495万円)まで支援されることになった。


Bluewhale Company


Bluewhale Company(ブルーウェイルカンパニー)がザThe Invention Lab(ザ・インベーションラボ)の推薦でTIPSに選定された。Bluewhale Companyは、活用性が低かった遊休空間の潜在的価値に注目し、設立された企業である。

物流事業者は、迅速な配送をおこなうため、都心内のピックアップと積載スペースが継続的に必要である。しかし、刻々と変化する物量に応じて、希望する場所や時間に合わせ使用できる物流空間を見つけるのは事実上難しい。

Bluewhale Companyは、このような都心内の物流の限界点を解決するため、物流事業者に迅速に空間をマッチングしてくれるUHOO(ユフー)プラットフォームを提供し、これにより確保された空間および物流データをAIベースで分析し、効率的に配送が可能な、最適な遊休空間を提供しようとする。

Bluewhale Companyのオ・サンヒョク代表は「今回のTIPSプログラムを通じて、遊休空間ビッグデータを活用した最適な物流拠点マッチングサービスとピックアップ拠点のAI推薦ソリューションを開発するなど、急成長する当日配送市場で、遊休空間の価値を融合して問題を解決し、急速に成長するだろう」と述べた。

Bluewhale CompanyのTIPSを主導したThe Invention Labキム・ジンヨン代表は「Bluewhale Companyは、全国5,000余りの遊休空間を、都心物流/配送ビジネスに繋げた、非常にユニークなビジネスモデル」とし、「クイックコマース市場が急速に成長しているトレンドで、様々な領域のクイックコマース事業者だけでなく、小規模の物流スペースが必要な事業者に至るまで、簡単かつ迅速にサービスに繋げることができるSaaSモデルとして、新たな成長動力を作り出す」と述べた。


原文:https://platum.kr/archives/207880

/media/Platum
記事を書いた人
Platum

Platum is a media service that specializes in startups, and its motto is "Startup's story platform".