技術スタートアップの支援事業TIPSに30チームを推薦した「名門AC」の秘訣とは
技術スタートアップの支援事業TIPSに30チームを推薦した「名門AC」の秘訣とは
[イノマネー]infobankのiAccelが今年のTIPSに30社を推薦…最高記録達成
政府が運営する起業プログラムTIPS(ティップス)が、技術スタートアップの成長のために積極的な支援を行っている。TIPSは、民間と政府が協力し、優秀な技術を持つスタートアップを育成するプログラムだ。
民間運営会社が有望なスタートアップにまず1~2億ウォン(1,100~2,200万円)の初期投資を行い、中小ベンチャー企業部(中企部)が研究開発(R&D)資金などを連携支援する方式だ。TIPSに選定されたスタートアップは、2年間最大5億ウォン(約5,540万円)のR&D資金を確保することができる。
事業化資金(1億ウォン)と海外マーケティングのための追加資金(1億ウォン)の支援も受けることができる。政府資金は補助金の形で支給されるため、株式の希薄化はない。
TIPSに選定されるためには、推薦権を持つ民間運営会社の能力が重要だ。有望なスタートアップを発掘し、先行投資と育成を通じて推薦する役割を担うため、企業の可能性を見極める洞察力が求められる。
運営会社によって推薦企業の選定範囲(T/O)も異なる。具体的な基準は公開されていないが、前年度の運営実績と初期スタートアップへの投資件数などが主な指標として活用されるという。
スタートアップの「特許出願」を支援…技術・事業の競争力↑
中企部によると、現在111社のTIPS運営会社が活動しているという。TIPSの運営会社には、ベンチャーキャピタル(VC)とアクセラレーター(AC)をはじめ、企業型ベンチャーキャピタル(CVC)、大企業、大学別の技術持株会社、地域別の創造経済革新センターなど様々な主体がある。
中でも、第1世代のベンチャー企業infobankが運営する企業型AC、iAccelがTIPSで目立つ成果を出し、「TIPSの名門AC」として注目されている。
infobankのiAccelは昨年、TIPS運営会社全体の中で最も優れた選定実績を出し、1位を獲得した。それに続き、今年も30社を推薦するという最多記録を達成した。最も多く推薦できたということは、iAccelがTIPSの運営会社として高い能力を備えていることを証明する。
これについてiAccelの関係者は、「TIPSの推薦権は運営会社に一括で与えられるものではない。TIPSの推薦権の数は、運営会社の能力を示す最も重要な指標とされている」と述べた。
今年の推薦企業には、△Ride(ライド)、△UN SOFT(UNソフト)、△AGUNI(エグユニ)、△HIGHERX(ハイヤーX)、△ssyrd、△MFR、△agendabook(アジェンダブック)、△sungwanE&F(ソンワンE&F)、△OpusM (オプスエム)、△INSUDEAL(インシュディール)、△BLESSED MOON(ブレスムーン)、△Infofla(インフォフラ)、△PBTL(medigene) 、△MOFIN(モフィン)、△Taper Labs(テーパーラボ)、△ECO HOPIA(エコホピア)などが選ばれた。
中企部は、今年分のTIPS選定を10月までに終える予定だ。そのため、運営会社のほとんどの推薦作業は事実上終了した状況となっている。iAccelが推薦したチームの追加選定が予想されており、今年の成果はさらに大きくなる見込みだ。
infobankのiAccelがTIPSの名門ACと呼ばれるまでに成長できたのは、2015年に運営会社に選定されて以来、着実に積み重ねてきたノウハウのほか、「特許経営」が大きく貢献したと分析されている。
infobankは本社内に特許法人を設置し、スタートアップとのアイディアミーティング中に特許に関するアイテムのアイディアが出たら、すぐに特許法人の弁理士と会議ができるようにしたのだ。スタートアップの特許出願を支援し、技術・事業競争力を高めたことがTIPSの実績につながったという説明だ。
シードTIPS、ディープテックTIPSでも成果達成
infobankは初期投資にも成功している。昨年61社に新規投資を行い、約187億ウォン(約21億円)を投じた。iAccelは2022年に340億ウォン(約37億6,000万円)規模の新規ファンドを立ち上げ、計540億ウォン(約59億7,000万円)のファンドを構築した。これは2021年の202億ウォン(約22億3,000万円)から約2.7倍の増加だ。
投資を受けた企業の追加投資成功率は74%に達する。昨年の場合、ポートフォリオ会社全体の約56%がTIPSに選定された。このような成果と専門性が認められ、infobankは起業希望者支援プログラム(シードTIPS)の最初の試験運営会社にも選ばれた。
シードTIPSは、1億ウォン以上の資金を調達したスタートアップを支援するTIPSとは違い、その前段階として、投資履歴のない起業予定のチームをシード投資の段階まで成長させるプログラムだ。シードTIPSに参加した企業は、今後TIPSに挑戦する際に加点を得ることで選定に有利となる。
infobankは、今年新設されたディープテックTIPSでも成果を出している。ディープテックTIPSとは、中企部が支援する「超格差スタートアップ1000+」プロジェクトの一環で、技術力の優れたスタートアップを選定し、3年間最大15億ウォン(約1億6,000万円)の技術開発資金を支援するプログラムだ。
infobank iAccelのホン・ジョンチョル代表
従来のTIPSに比べて支援金の規模が約3倍大きいため、技術力・事業性・グローバル進出の可能性など、評価基準が厳しい。それにもかかわらず、iAccelは現在までに5つのスタートアップをディープテックTIPS選定へと導き、運営会社の中で最多記録を達成した。
infobank iAccelのホン・ジョンチョル代表は、「実質的な支援を受けられるTIPSは、スタートアップにとって何よりも重要な関門だ」とし「多くの企業をTIPSに選定させながら得た経験とノウハウを基に、推薦企業が書面・対面評価に徹底的に対応できるようにしている」と述べた。
続けて、「運営会社は一歩先を見据えて、グローバルな技術トレンドをよく調査しながら市場を分析し、企業が能力を最大限に発揮できるように支援しなければならない。マラソンのペースメーカーのように、スタートアップの成長と革新を促進する長い道のりの中で、各企業に合った支援ができるよう、努力を続けていく」と強調した。
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<画像=第1世代ベンチャー企業のinfobank(インフォバンク)が運営するスタートアップのアクセラレーター(AC)「iAccel(アイアクセル)」のメンバー写真>
原文:https://www.unicornfactory.co.kr/article/2023082216373383854
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